12.5話 領域の中にて
==13話 ==
Sideトドロ
ギリギリだった、上から見ていて検知できる範囲に入って時にはもう落下の速度がかなりなものになっていた、結界が消えるタイミングに合わせていると気づき割って入ることができたのは運が良かったこともあるか
結界の影響で中の人間は外の状況を把握することが至難、割って入ったときにエミバルさんも驚いていたくらいだ、中々悪辣なことをしやがる
とはいえ今の状況に持って行けたのはエミバルさんの早すぎるくらいの状況判断のおかげだ
割って入ってすぐに敵を視認すると俺に対してすぐに道化領域の準備を始めろと指示を出してきた。基本的にSランクレベルでは即座に領域を作れるが普通では無理だ、俺の中に住んでいる精霊に協力をして貰ってやっとできる。
この指示のおかげで最悪は回避できた、この闘技場全てを領域で囲むなど恐ろしい限りだ
「あら~まさかの展開ね」
「イトねぇ。これカシミに怒られるな」
「もう~しょうがないわ、これは」
目の前には人型の魔物がいる。
魔物が人型になっている判断が付きにくいが、冒険者をやっている限りこういう魔物に会うことも多くなる、経験の勘で判断できないと上には来れないからな……
「お前らまだ仲間が外にいたのか?」
「あらー? 目の前の私達じゃなく外に気を向けるの? ジェラルわ~」
「意味分からんな……分かるか? トドロ?」
「とりあえず倒しましょうそれから外を助ければい良いですよ」
「うふ、そう簡単にはやらせないわよ~」
「イトねぇ、あの男は強い」
「大丈夫よ~ガジュ。ここなら私達も本気になれるのだし」
「そうか……僕は勘違いをしてたよ」
「……トドロ、これは勘だが嫌な予感がするから即終わらせる、これを使え」
そう言って何か箱を……って見覚えが……
「これ……良いんですか? アリアさんが一ヶ月に一回しか作れないものでしょ?」
「アリアが心配だ、さっさと終わらせるためにお前とあのガキが邪魔だ」
あ……これスイッチ入ってる……やばい、これやばい!
この状態はこの人に付いて旅をしたときに一度だけ見たことがあったが……
この人の霊具顕界が見れる
「分かりましたよ」
「助かる」
その後は魔物二体がもう気にもしていない双雷に近づき渡された箱の効力を使った
この道具はアリアさんが作る結界箱という物で使うときに込める魔力によって出てくる結界の強度が変わる、俺レベルで全力で魔力を注いでもSランク冒険者の霊具顕界状態の攻撃は数発くらいしか耐えられないだろう
「あら? 私の相手をしてくれないの? それとも一人で二人を相手する気~?」
「ああ」
「あらあら……舐めてんじゃねぇよ」
そう言うと腕が蜘蛛の脚のような形になり背中からも腕が生えてきた
「舐めてるのは……そっちだろ? 外の魔物レベルがたった二体で俺を相手できると思い上がってるじゃねぇか……」
エミバルさんとしては威嚇の意味も無いのだろうが俺を含めあの魔物二体もビクッとなっていた。
これは威嚇じゃない、ただ戦闘態勢になっただけ、ただ霊具顕界の準備をしただけだ
「イトねぇ!」
「ガジュ、貴方も早く体勢を整えなさい!」
「準備は……待たんぞ。霊具顕界」
そう言うと手に武器が現れた、残念ながら全力ではないらしい
現れた武器は柄の部分は二本の柄が絡み合っているような形をしており刃の部分両刃で刃には片面ずつで書かれている模様が違う。見てすぐ分かるのは太陽の象形画と月の象形画がかたどられていることだろう
「ぐ!? 私達が畏れを抱くなんて……」
「知るかよ……」
そう言ってからエミバルさんは魔物二体に接近した、早い。
二体を同時に狙いながら避けても分断できるような軌道で斧を振っている
振り斬ると斬擊が飛び共に後ろに避けていた二体の魔物は着地と同時に上に避けているがそれでは無理だと悟った蜘蛛の魔物の方は上に向かいすぐに糸を出し急加速で上に避けたそれと同時に仲間を糸玉で吹き飛ばしている辺り中々冷静だな
だが吹き飛ばされた魔物は無理だろう、今やエミバルさんが分身しているように見える速さで斬擊を二方向飛ばし上の魔物は放置で下の魔物を斬りに行っている。
接近に気づきすぐに闇に溶けるように消えたがエミバルさんの速さが勝っていた、腕を斬られていた、もうまともに攻撃ができないはずだ。
魔物ならば腕の回復を行えるだろうがエミバルさんの速さの前で回復などする時間は無いだろう
「ガジュ!」
「自分の心配をしておけ」
そう言うとさっきまで下にいたのにいつの間にか曲線を描いている天井に立つ状態で斧を肩に背負っているエミバルさんがいた。
「は……速すぎる……」
「言っただろ? 舐めてるのはそっちだって」
「……まだよ」
そう言ってエミバルさん死角から短剣を口に咥え顔を突出す状態の魔物がいたが見向きもせずに肩に背負った状態を下に振り下ろす形で斬り伏せた。仲間を犠牲の上に隙を狙うつもりだったのだろう蜘蛛の魔物の攻撃は単純に避けられ突き出していた腕と後ろにあった腕を斬った
魔物二体が上から振った来た。
蜘蛛の魔物は自分で着地をしたがもう一方の魔物はドサ、ドサ、と落ちる音がいやに響いた
「言え、誰の手引きだ?」
「誰でもあるわけないでしょ。私達は魔物、人間を襲ってもおかしくないのよ?」
「それは用意された言葉だな、言え」
「残念だけど本当よ」
そう言うと確実に死んでいると思った魔物の方が突然動き出した
「チッ。面倒なことしやがる」
そう言うと斧を片手から両手に変えてその場で横に一回転し威力がそのまま上に向かっていった
範囲のでかい攻撃の為一瞬見えなくなったがまた見えるようになると俺の結界がギリギリだったのか見えるようになると同時に壊れた
そして薄暗い程度だった周りが明るくなっていると思い上を見ると領域が壊れていた
「エミバルさん! 怖すぎですけど!」
言っても無意味なのだが言わざるを得ないような言葉が出た
今の俺達の状況でこれだ
相変わらずSランクは
化け物だ
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ではでは。