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9話 決着


 ==9話 決着==


「そのコインが浮いている間だけ早く動けるのか?」

「……さぁな」


 今の間は怪しい……と思ういたいがそれはおそらくフェイクだろう、にぃさんのスキル多才の上位互換なら演技ができてもおかしくない、まぁこの深読みをさせる演技の可能性もあるが


 まだあっちには余裕があるのだろう


「銀月流 捌之型・滅烈孤月」

「酷いな、年上を敬い時間を与えて休憩させるべきだろ」

「余裕を持って演技しまくりの人が何を言っても無駄です」


 当然の様に滅烈孤月(俺の攻撃)は躱されたそれと同時にさっきと同じようにコインを上に弾いた、そこからさっきと同じように防御一択の状況に変えられてしまった。


 無言で斬り合っていくがだんだんと俺の防御を抜け斬られるようになっていった。


 体感では何十分も斬られた気分だがコインが落ちる音が響き本来の時間感覚に戻ると距離を素早くとられた。


「もう一歩が足りないか」

「くっ」


 俺は身体中の擦り傷の様になった傷が痛く言葉が出せない


「無理矢理にでも終わらそうか……霊具顕界」


 鎖で柄がつながった剣がトドロの手にあった。


 さっきまでの武器とは感じる存在感が違いすぎる、何かの生き物みたいな感じだ


 そんなことを考えているといつの間にか天地が逆になっていた。


「そこまで、勝者、トドロ」


 その声が聞こえると地響きに近いような歓声とともに天地がまた逆に、違うか、元に戻った。


「ヒロ……お前強くなったな」

「強くなったって、子どもの頃一度も戦ってませんよね?」

「……そうだった」

「……」

「おい、ジト目で見るな」

「はは、ありがとうございました」

「これ終わったら一度家に戻るから一緒に行くぞ、みんな心配しているしな、それにお前ショートにまだ会ったことないだろ?」

「だれ?」

「お前の弟だよ! 手紙来てるだろ!」

「ああ、来たわ」

「おいおい」

「分かった、一緒に行くよ」

「おう。またな」

「じゃあ、また」


 そう言ってお互いに案内人の人に連れられて控え室に戻ってきた。


「お疲れ様です」

「負けてしまいましたけどね」

「いえ、興奮してお二方の戦いを見てしまいました」

「……ありがとうございます?」

「いえ、それでは退室を、と言いたいのですがここにもう一泊されることをオススメします」

「良いんですか?」

「はい、ギルマスからもう一泊の許可を頂いております」

「理由はなんですか?」

「簡単な事にAAランクと張り合って戦える方がいるということが周知されました、それにより国絡みの策略に巻き込まれる可能性があると言うこととSランク冒険者の方が話をしたいとおっしゃったそうで、ここにいていただくと話が楽に通せるとのこともあります」

「じゃあ泊まらせていただきます」

「ありがとう御座います」


◇◇◇◇◇


 その日の夕方はエネさん達が来た。


「残念だったな……とは慰めれないな、すごかったぞ」

「あの時は俺達と互角だったのにな」

「二人相手だったけどな」


 入るとすぐに褒めてくれた


「あ、ありがとうございます」

「そういえば、隊長って無者と旅したことあるって言ってましたよね」

「ああそうだな」

「へぇ、父さんと旅したことあるんだ」

「それ気になっていたんだがヒロお前トドロさんの子どもなのか?」


 エネさんがすごい疑問顔で聞いてきたがこの世界ではあの人の子どもだからな……


「そうですよ。まぁ冒険者だったなんて知りませんでしたけど」

「かか、そうか。あの人と旅したときは一日に最低で一回は家族の話を聞かされたからな、そのときはお前の兄貴しかいなかったってことか」


 それはずいぶんと前の旅したのは


 その後父さんのことを聞かれたり試合でこのときの観客の声の凄さはすごいとか教えてくれたが今日は夜に見回りをするらしく一時間くらいで皆いなくなってしまった。


 ちなみにリングの結界は強固にしないといけないが為に会場の声を遮断する仕組みの為観客の声はリング内に届かない。だが逆はできるようにして損はないということでリングの地下にマイクを埋め大きな声のみ拾って観客に届かせる仕組みがあるらしいが基本的に観客は動きで興奮しているため声を聞いている人は少ないらしい


 ◇◇◇◇◇


 その日の夜


 Sランク冒険者が話したいということで残ったがいつ呼ばれるんだろうと思って少しそわそわしていた


 そんなとき扉がノックがされた……いや、違うか破壊音が出された


「おーい、いるかね? あれ? 壊れた?」


 馬鹿力だ……扉はいくら木製と言っても結構分厚かったのに外側の木が拳横の形で凹んでいる


 扉のあった所にノックをしていたと思われる手の形と姿勢のまま固まっているおじいさんが一人いた、そこまで背が高いわけではないが背中に自分と同じくらいの大きな両刃斧を背負っていた


「だれ……とかじゃなさそうですね、Sランク冒険者の人ですか?」

「おお、いたな。邪魔するぞ」


 そう言って中に入ってきた。


「ふー」


 と言って中をぐるっと見ていた


「どうしました?」

「ん? ああ、なに、懐かしいなと思ってな、今じゃ特別席だ、特別室だ、と違う部屋に通されてしまうからな」


 そう言う顔は本当に懐かしげな顔だった。


「ふむ、懐かしむのは後だな。俺の自己紹介をしておこう、俺はエミバル。よろしくな」

「あ、えっと、俺はヒロトと言います、よろしくおねがいします」


 お互いに挨拶をするとエミバルのおじいさんはその場にドカっと座った。


「椅子なら持ってきますけど?」

「ああ、いい。こういうときは地面に座るもんだ」

「そ、そうなんですか?」


 おう、と言うと懐から瓢箪を出して飲み始めた、そこまで近くにはいなくても分かるくらいの酒の匂いがする、それ酒かよ……直飲み!?


「ふー、お前さんに言っておきたくてな、お前さん識の卵の持ち主だろ?」

「え?」


 なんで分かったんだ?


「なんで分かったかだって? それはなー俺のスキルに先導者というのがあるからだ」

「先導者?」

「おう、このスキルはな、人にものを教えるのが上手くなるっつーすげー地味なもんだが卵持ちと言われる奴を見つける力があるんだ」

「……なんとも言えないスキルですね」

「かか、それだけじゃないぞ~これはな、卵持ちの力を引き出してやれるんだ」

「な!?」


 そんなものがあるのか!?


「かか、驚いてる驚いてる。がははは」


 どこにツボがあるんだか、すごい笑い出した。


「かー、お前さんの持つ識な……この戦いで一つ進化した……言い方が違うか? まぁ似た意味合いか、まぁそれをしたのは分かるか?」

「……はい、戦っているときに声がしました」

「かか、声ね、まぁそれで合っている。それが起きるにはエネルギーが必要でな、そのエネルギーについて教えてやろうか」

「本当ですか!?」

「かか、ああ。そのために来た」


 そう言ってこの会話中はずっと持っていた瓢箪を地面に置いた


「それはな、経験する事だ」

「…………はい?」

「経験するんだ」


 ……どいうこと?


「かか、詳しく言うとだな、識卵というのは文字に寄る意味で学ぶ事が基本だ、だが学べばその分自分が進化するという性能がある、だから経験、つまり、自分の知らないことを知りさえすれば良い、こうすることでお前さんは強くなれる」


 そんな簡単なことなわけないだろ? それって経験する事さえすれば強くなるってことだろ?


「実感がないか……だが確実にそうと言えることがあるだろ?」

「なんですか?」

「なんだ、実感がないか……まぁあの状況じゃそうか」


 そう言うと石を何個か拾って渡された。


「なんですか?」

「それを曲げてあそこの瓢箪の蓋だけを弾け」


 そう言って指さすのは石を拾っている最中に遠くに離された自分の持ってきた瓢箪だった


「……できるわけないじゃないですか」

「いいからやって見ろ」

「無理ですよ? 俺は父さんみたいに多才っていうスキルも無いですし」

「……」


 無言で見られた


 確か父さんは戦いの最中にリング内の石を投げて攻撃して来たから経験していることになるがあんな見てすぐ正確にできるわけがないだろ?


 そんな風に思いながら一応のつもりで狙って石を指で弾くと瓢箪の蓋を正確に当て蓋だが弾いた


「な!?」

「これが第二段階の識卵の力だ」

「第二段階……ん? 第一段階とは?」

「特に感じてないだろうな、だが使っていると思うぞ、常に何かを計算しているだろ? お前さんは」

「あ、してますね」

「それのサポートしているそれが第一段階だな」


 そう言って笑っているがこれはとんでもないものなのでは?


「これはすごすぎませんか?」

「まぁ欠点もあるだろうな」

「え? どんな?」

「普通に考えるなら基本がなくなる危険性だな」

「基本?」

「物事には手順というものがある、お前さんの国なら魔法で例えれるな、火弾から火炎弾、業火と順に覚えるだろ?」

「はい、そうでしたね」

「なんで?」

「え? それは制御がドンドン難しくなっていくからで……」

「そうだろう、それこそが基本そこを飛び級で使うと失敗の可能性だけでなく暴走の可能性が出る、それが危険性だ」

「じゃあ、おちおち使えない?」

「そうは言わん、完成形の様なものがあるならそれを知れているというのは大きい、そこを目指しながら基本を埋めれば使える、つまりすぐには使うことはできなくとも一旦置くことで使えるというものだ」

「つまり、努力を続ければ良いと言うことですね!」

「かか、嬉しそうだな」

「うぐ! ついテンションが戦闘狂みたくなっている……誰かさんに影響された……」

「かか、良いじゃねぇか戦闘狂」

「い、嫌ですよ、安定が一番です、態々危険を冒したくないです」

「かか、もう遅いわ」


 そう言うとまたガハハハと笑い出した。


 その後は自分の冒険者の全盛期の話を聞かせてくれた、話を聞いている内に夜も遅くなり嫁と来てるからな、となぜか嫁の部分を強調して言い残してから帰って行った。


 見た目がおじいさんなのに中身が若い、だからまだ冒険者をやれているゆえんなのかな?



この物語の続きが気になる、この物語が面白いと思って頂ければ是非ブックマークと評価、感想をくださいよろしくお願いします。

ではでは。

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