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4話 鍛冶屋アンカ


 ==4話 鍛冶屋アンカ==


「おう、ここだ」


 そう言われた場所はただの家の前だった。


「え? ここ?」

「おう、入るぞ」


 そう言ってノックとかもせずに入っていった


 大丈夫か? と思ってエネさんに付いてはいると中は見た目と違って思いっきり廃墟だった。


「え……」

「えっとこっちだな」


 そう言って廊下の壁をペタペタ触っている。


 そう思っているとガコンとずれる音がすると触っていた壁とは反対側に扉が出てきた。


「すげー」

「あー入るなよ、それダミーだから」

「え?」

「先行くぞ」


 そう言うと壁から扉が出てきたのに目もくれず先を進みキッチンの跡地みたいになっている所に入って行った。


 なんか冷蔵庫に違和感を感じる……


「入るぞ」


 そう言って冷蔵庫を開けて入って行った、エネさんの身体より小さいはずの冷蔵庫に入っていって一瞬目を疑った。


「早く来い」


 そう言われて入ると冷蔵庫の中は階段になっていて地下につながっているみたいだ


「これは?」

「これな……これから会うのは鍛冶バカだ、あいつ腕を上げるためにこうやって無駄に回りくどくしてんだよ」


 そう言って歩くこと二分くらいで下まで来れた。


「入るぞー」

「いいぞ」


 そうやりとりすると扉が勝手に開いた


「こっちから入れないのに入るぞーって言わないと入れないという無駄なこだわりだ」


 俺が驚いているから付け足すように言ってきた。というよりそれ無駄じゃね?


「なんだエネ、また防具壊したのか? 誰のだ?」

「違うぞ、手ぇ止めろやアンカ」


 そう言われもこっちを一瞥もせずに炉に向かい続けている。


「はぁ~また時期が悪かったか……」

「どういうこと?」

「一度鍛冶始めるとこいつそうそう手ぇ止めねぇからな」

「ああ、そういうこと」

「こいつは腕は良いんだよ、作る物は基本魔剣だしな」

「魔剣?」

「ああ、剣には普通のと魔力を流して色んな力を引き出す魔剣というものがあるんだよ」

「剣使わないのに詳しいんですね」

「冒険者は情報が生命線だから」


 カーーン、カーーンと響く音が続く


「剣ならそこの倉庫から呼べ、呼んで剣が来なければ帰れ」


 金槌を打ちながらこっちを見ないで突然言ってきた。


「かか、ヒロ呼んでみろ、珍しいなアンカがそれを言うのは」

「……」

「かか、だんまりか」


 呼んでみろ? どう呼べば……


「……」

「ヒロ、普通に――」

「エネ、黙っていろ」

「かかか」

「……来い」


 呼ぶってこんな感じかな?


 そう思いながら手を前にだし開いた状態で待っていると倉庫と指さされた方から一本の刀が飛んできた


「かか、おいアンカこれはどんなのだ?」

「……」


 さっきまで響き続けていた金属音がやんだ


「そうか……そいつが来たか……そいつは月の涙と呼ばれてた隕石を使っている。特別な点は刀身が青白いことだ、俺が鍛えてできあがったときは驚いたものだ、かなり良いできで作れた逸品だ丁寧に使ってくれ。手入れの仕方は……知っていても俺がもう一度教えよう――」


 ガンガン喋ってくる……さっきまでこっち一切見なかった……ああ、今も見られてないわ


「かか、アンカ一度とまれ」

「ん? あれ? エネなんでここにいるんだ?」

「かか、変わらねぇな」

「ん? 俺は成長しているぞ、もう少しで神具につながるものが作れそうだ」

「そういうことじゃねぇ」

「ん?」

「分かるか? ヒロ、こいつは昔から人を見ないからな刀貰ったらさっさと行こうぜ」

「いや、待て。エネ、丁度良い、この素材が欲しい、とってきてくれ」


 そう言って壁際の棚から紙をとってきて見せている


「……お前は阿呆か? 「ちょっとそこのものとって~」のテンションでAAランク素材を依頼すんな!」

「大丈夫、エネなら死んでも土に返れるよ」

「そこは拾いに来いや」

「誰がそんな死地に行かないといけないんだよ」

「それを依頼主が依頼者の前で言うのか?」


 仲良いな


 二人が言い合っているのをよそに刀を抜いてみるとさっき言われた見たいに刀身がほんのり青く感じる色だった、抜いて持ってみると手に馴染む感じがした。


 銀月流が使えるようになってから一度刀を持ってみようと魔術じゃない刀を持ってみたが三日月を撃つと同時に刃が飛んで行ったことがあるがこの刀からはそんな不安を感じない。


「試し振りがしたいな……」

「「ちょっと隣に行こう」」


 ギャーギャーといった感じに言い合っていたのに俺が呟くように言った言葉が正確に聞こえていたみたいだ。


 ◇◇◇◇◇


「よし、振ってみろ」


 アンカさんとエネさんに連れられて鍛冶場の隣の部屋に行くと広い空間があった。


 そう言われて縦と横に何度か振ってみた。


「おお……なんか魔術で作る刀より手に馴染む」

「そうか、それは良いことだ」

「じゃあ、強く振ります 銀月流 壱之型・三日月」


 シッ と空を鋭く斬る音がした。


「銀月か」

「アンカ知っているのか?」

「まぁ……ま、どうでもいいさ」

「俺はあの型を見たことがあるんだが、壱之型と言っているやつ以外他で見たことがないんだよな」

「それは誰が使ってるんだ?」

「フルトっていう後輩Aランクだ」

「あ~そいつなら知ってるな、そいつは紅月だな」

「なんか違うのか?」

「俺に聞くな自分で調べな」

「ちっ、知りてぇんだがな」


 なんか喋ってるけどなんだろ? というかこの感じ鉄刀じゃ無理だったあれ使えるかも


「ここを壊すわけにもいかないしな」

「そうだな、ここを壊されると困る。それは君に託す、今いくら持っている」

「えっと……」


 そう言って小指で持てるくらいの軽さのお金の入った袋をそのまま渡した。


「かか、ヒロ金ねぇな」

「全財産です」

「かか」


 そう言うと悩んだ顔をしている


「分かった。それは貸してやる、まぁほぼやるに近いがな、お前さん今度の武闘大会(まつり)出るんだろ?」

「はい」

「じゃあそれで本戦一勝しろ、それが条件だ」

「……まだ本戦出れるか決まってないですよ?」

「それも含めての条件だ、精々頑張ることだ」


 そう言うとアンカさんは見たいものと言いたいことは言ったという感じで鍛冶場に戻って行った


「かか、ヒロ。調整付き合ってやるよ」

「エネさんは戦いたいだけですよね」

「それ以外にねぇよ」

「まぁ助かるから頼みますけど」

「かか、楽しくなってきた~」


 そう言って笑いながら来た道を戻って外に出た。ちなみにアンカさんに何を喋っても無駄な状態に戻っていた。


 

この物語の続きが気になる、この物語が面白いと思って頂ければ是非ブックマークと評価、感想をくださいよろしくお願いします。

ではでは。

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