15話 皇太子選挙
==15話 皇太子選挙==
俺は昔から恵まれていた。
神託の時に正確に分かったことだが俺は魔眼を持っていた、この魔眼は人の嘘なんかをすぐに見分けれた、俺はその力のおかげでどの王子よりも自由に生きられた。
それがツケとして戻ってきたんだろう、俺が初めて会えた俺の考えを理解してくれる同年と会えた。親友というものになれたと思っていた。だけどその存在は俺の手から滑るように落ちていった。
だが、彼は生きていた。目が見えないにもかかわらず普通に動いていた。前よりも強くなっていた。それでも国としては処刑した人間が生きているのを許さないだろう。
俺と彼のような関係になった人を理不尽に上から搾取するのを防ぐために俺は王になりたいと思った。
俺は王になるために協力者が必要だった、そのときに頼ったロード兄さんは今回の事も協力してくれた、「彼の存在を滞在させるのではなく自分の身分を作らせれば良い」とすぐに行動をしてくれた。
もう始まる、選挙が。彼が地下から出てきたときに感じた……いや、自分は理解していたことを忘れていたノかも知れない。本当に投票なんかでこの国の次の王を決めるのか? と。
その答えは今目の前にある。
「今回お集まりいただきました理由は今回の皇太子選挙の結果についてで御座います」
父上の側近の一人、この国の宰相がこの場に集まった面々に向かって話し始めた。
今集まっている場所はこの国で大きな出来事があるときのみ使われる部屋で無駄な装飾がないという王城ではそうそう無い部屋の一つだ。
この部屋には中心に円卓があり誰がどこに座るかが決まっているが椅子などに違いは無い、これは見てすぐに誰が位が上か分からないようにするためだ。
今ここにいるのは父上の兄弟、公爵、侯爵、の位に就いている貴族とこの国の軍部から軍将大隊長とその補佐官、軍将隊長と補佐官の四名とこの国から認められている大商人などがいる。もちろん今回の皇太子選挙の参加者の四人と四人の補佐官もいる。
「今回の皇太子選挙国民からの投票集計が終わりました」
「ビメルト」
「はっ」
王が宰相の言葉を遮った
「皆の者、そこの四人以外は知っているな?」
「理解しております、そのためにここにいます」
ここにいる人を代表するように軍将大隊長が言った。
俺の懸念は……当たったのか……
「今から皇太子を決める。この民の意見は参考だ」
ここにいる人達は誰も驚かない
「我らの前にて改めて自分たちの意見として述べろ」
「この国民のからの投票の低かった者から順とします、第三王子ピーナ」
始まった、ピーナがツラツラと話していく、聞いていることを纏めると結局王の血を継ぐ者、貴族として生きる者は他の者どもとは違う、種族としても違う、だから俺達がしっかりと舵をとるんだ。
ということを綺麗な言葉にして言っている。
「次にロード第四王子」
ロード兄さんは最初に俺は王にはならないといった上で自分はライラックを守れれば何でもいいと言い切って下がった。軍部の人間四人が少し反応していた。
「次、マイン第五王子」
俺は自分の考えを、国民のことを守ることができるようにしたいことを伝えられように言葉を連ねたが魔眼で見てもほぼ誰も動かなかった。さすが重鎮か……そうそうに心を動かしたなどしないか
「最後にライン第一王子」
俺と同じようなことを言っていたが流石か……言葉が上手く俺より数段伝わりやすいか……
「貴様らの意見は聞いた、すぐに意見を出す、貴様らはそこにて留まっておけ。他の者は来てくれ」
そう言うと王が最初に立ちすぐに宰相が他の人を立たせ、宰相を先頭に部屋を出て行った。
誰も話さない、目を合わせることなく立たされたまま戻ってくるのを待った。
◇◇◇◇◇
二時間後、結果が出た、次の王になるのは……ライン兄さんだった。
ライン兄さん……俺がなることができれば一番良かったが覚悟はしていた、ライン兄さんならまだ大丈夫か……
ロード兄さんも「マインになって欲しかったがまぁあいつでもまだマシか……」と言っていた。
だが、それは勘違い……いや、この国のことをロード兄さんですら見間違えていたのかも知れない。
◇◇◇◇◇
次の日、皇太子がライン第一王子になったと公布された。王都の王城前の広場ではライン兄さんが皇太子としての演説をしていた、俺はそれを見ようと思って広場に来たが目を、魔眼を疑った。
広場に設置された所にいたライン兄さんの心が二つになっていた。
分離している? 違う……明らかに色が違う、外から入れられたように見える程の違和感
「なんだ……あれは」
ライン兄さんの後ろの王城から流れてくる粉みたいなのが見えた。
ライン兄さんにスッと入って行く、その度にライン兄さんの中の心の色が濃くなっていく……なんなんだ、あれは……
『マイン、見るな。バレる』
見たものについて考えようと思ったが頭にラズリの声が響いた。
「どういうことだ?」
『あれは精神攻撃の一つだ、王レベルのスキルだ。見続けるとバレる。バレると面倒だぞ』
精神攻撃? そんなものをこの国の次の王に……王レベルのスキル? もしかして……
『多分もう遅いぞ』
「まだ何も言ってない」
『まずまず力的に足りない、それとちゃんと見ろ。あの精神攻撃を受けている奴はあの攻撃に耐えている』
「……ぐぬぬぬぅぅ」
歯がギリギリと鳴っている、くそ、このままじゃまた俺の手から大事な人が……あの糞爺!
この攻撃ができるのは……王レベルのスキルの保有者はこの国では俺達の父親、国王、目的はおそらく乗っ取り、もしかして同じ人間がこの国の王を続けているのか?
『マイン、逃げるなら――』
声が途切れた? なんだ?
「かか、やっぱり厄介だな、こっちに来い」
響くような声が聞こえると俺の周りの景色が変わった!? ここは王の間!?
「魔眼を持つ子が生まれるとはな……まぁここで殺せば良いか」
目の前にいるのはいつもとは明らかに気配の違う王だった
「どういう力で……」
「かか、教えてやる。俺のスキルは継王、俺は二千年間この国の王にいる、今回の様に子の身体を奪ってな」
かか、と笑う姿は姿と中身が合っていないような違和感があった。
「なぜ教えた」
「簡単な事だ、ここで殺すと言ったろ? ヒ・レ・フ・セ」
その瞬間上から思いっきり抑えつけらるように地面に叩き付けられた。
「がぁあ!? な、何が」
「終わりだ、顕現しろ〈王断〉」
そう言うと手の中に身の丈ほどの剣が現れた
「我が息子よ。さようなら」
「剣よ鳴れ鍵よ開け、剣現」
ギュゥゥイと金属の表面と表面がこすれる音がした。
「……お前が邪魔するとはな、ロード」
「マインはやらせねぇよ、遺物が」
「口だけじゃないと期待しておくぞ? 【王ノ時間】」
意識があるのに動けない?
俺の目の前ではロード兄さんと国王が斬り合っていた
「かか、驚いたぞ! 動けるとはな」
「重い……」
「かかか」
速さがないが一撃一撃に何かを感じる。
「一撃でも食らうと面倒そうだな」
「かか、どうだろうな、受けてみれば良い」
「遠慮します。 氷を蒼し猛とゆけ 氷点矢」
ロード兄さんの前に氷の塊ができていた、次の瞬間飛んで行った。あれはなんだ?
「かか、法術か、この国では知られないようにしていたのだが……ああ、そうか貴様はライラックにいるからか、まぁこれも一興か! 【王砲】」
飛んで行った氷の塊が砕けた
「ちっ」
「【王ノ伏兵】 連々と連なり連なれど曲がりはて――」
「くっそれは不味い……」
ロード兄さんが焦ったように剣を振るが黒い人型が五体で攻めてくるために近づけないようだ
「――地からうばみたまえ喰らいたまえ 煉喰蛇巳」
「――氷蓮蒼矢!」
窓の外から矢が飛んできた。
「バカ王子、逃げますよ」
「バカとは酷いな」
そう言いながらロード兄さんは俺を担いで窓に逃げるために動いてくれた。
「逃がすか! ト・ド・マ・レ」
「ぐ!?」
俺が空間に固定されたように動けない!?
「マイン!」
近づかれる! やばい
「――我が髪を捧げる、力を貸せ! ラズリ!」
『はは! 解除! ついでに~視界乱散』
「ぬ!?」
動ける!
「ロード兄さん!」
「ああ」
ギリギリで逃げれた。俺の髪の長さが伸ばせば肩まであったのが短髪になっていた。
「危ない危ない」
「バカ王子、追加請求して良いですか?」
「……マイン払え」
「ロード兄さんの護衛でしょ?」
「万を助けるための無茶だ、よってマインが払え」
「なんかロード兄さんのイメージが崩れていきます」
「バカ王子言われてるぞ」
「くっ仲間がいない!」
そう言いながら落ちていく。
「まぁいいか、帰るぞ、本格的にやばいなここは」
「いいんですか? 俺、犯罪者的な者になってません?」
「ライラックにはそんな奴ばっか、関係ないさ」
追っ手が来る前に急いで王都を出ることになった。
どうも。ロキュです。
二章が……終わりました……あれ? 速くない?
というのが今の感想なんですけどネタ切れなんですよね……二章の。
まぁ良いかと言うことで次回から三章です! 閑話を入れるか悩みどころでしたが入れない予定です。
さぁ、三章の目標は、二百話目に到達ですね。これからもよろしくお願いします!
ではでは。