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14話 ロード


 ==14話 ==


 ………………目が覚めると知らない天井だった。


 ってこの感想十何年前にも思ったな


「起きたか」


 パタンと大きめな本を閉じる音がした後に声をかけられた、あれ? 何にも見えない……ってあ、俺、目見えないんだった。


「聞いたこと無い声だな」

「そうだな……確かに会ったことないからな」

「じゃあ……どなた様?」

「ふふ、面白い言葉だな、俺はロード、この国の第四王子だ」


 第四! マインの異母兄弟の!


「マインのお兄ちゃんか……」

「お兄ちゃん……まぁそうだな」

「マインいますか?」

「いや、あいつは今ここにヒロト君、君がいることを知らない」

「なぜ?」

「あいつには王になって貰いたい、その原動力の君が手の届くところにいると困るからな」


 声に滲む違和感……嘘か?


「嘘ですね」

「……むむ、バレたか」

「面倒な嘘つきますね」

「いや~マインから君のことを頼まれていてね、実力も無い視力も無い。そんな奴に手を貸す理由がないからな、結果君は実力に関して言えばこの国の中なら上位だ、視力も氷弓から聞いた限りでは克服できるみたいだしな。ちなみにマインは本当にいない、あいつはまだ王宮で走り回ってるだろうよ」


 変わっている人だ、多分マインより強い、目で見ない分存在感を感じやすいけどマインより大きい……


「さて、目が覚めたなら……この先の話を、と思ったがマインから暗号受け取ったか?」

「……ああ、あれか。解読できてますよ、「にしのまちらいらっくいけ」ですね」

「ちゃんと伝わっているのかよ……俺はあの暗号解けなかったぞ?」

「あ……あの暗号俺がマインに教えたんで……」

「そういうことか、まぁそれは置いておくか」


 そう言うと離れていく音が聞こえる。まだ竜眼を使える程回復できてないな、魔力を上手く使えない。


「この先君に動いて欲しいルートだ」


 戻ってきてから何かを俺の膝の上に置いてくれた。


「俺の行き先?」

「ここがどこかまだ言ってなかったな、ここはまだ王都だ」


 戻っている状態なのか……ここがどこかって重要な情報なのに一番に聞くの忘れてたな


「説明するとまず、マインから俺の領土で匿ってくれと言われたが、さすがに身分のない奴は置いておくにも面倒ごとがつきまとうからヒロト君には冒険者になって貰う。次にそのために冒険者ギルドの総本山、冒険者国家の別名をもつ、レポラル自由国家に行ってもらう。以上」


 完結でしょ? と言いたげな終わり方ですね……まぁわかりやすいけども


「なんでマインから頼まれるんです?」

「あいつにとって君は大切なんだろ。まぁ本人には聞いても答えてくれるか分からんが、まぁとりあえず行ってくれるか? レポラルへ」

「……一応俺には助けた連中がいます、彼らの居場所に送らないといけないですし、それからでいいですか?」

「……ふふ、こういうとこかね、マインが気に入ったのは……まぁ本来これくらい人間は他の種族とも手を取り合えると思うんだがな……」


 なにか言っているけど聞こえにくい、途切れ途切れにしか聞き取れない……俺で聞こえにくいってどれだけ小さい声で言っているんだよ


「どうしました?」

「いや、大丈夫だ。地下から連れてきた彼らは俺が保護した……というかもう動き出している。そこに君のお供の悪魔と半魔族の彼女が付いているよ」

「……もしかして俺一人で国を超えるんですか?」

「できるだろ? それにあの二人に聞きたいことと頼みたいことがある、君に協力するから対価に彼ら貸して」

「人をものみたいに言うなよ……」

「そんなつもりはないぞ」


 一人旅……いける気がしない


「まぁ心配なのは分かるが悪魔ってのがレポラルでバレると面倒だ、同じく半魔族もな」

「……分かりました、行きますよ」

「そうしてくれ。で、これがギルドに宛てた書簡だ、これを見せて冒険者の認定を貰ってこい」

「それってレポラルってとこに行かないといけないんですか?」

「冒険者ギルドならどこでもできるが……君、この国じゃ死んでいることになっているし、無理だろ? それでこの国以外のギルドってなると距離がほとんど変わらないからだったら総本山に、と思ってだが嫌なら違うとこにするぞ」

「いや……理由があるなら良いんです」

「おし……じゃあもう少し安静にしていろ。ちゃんと回復してから出ろ、いいな」

「はい」


 念を押すように言ってきた。無理して動いたりしないけどな?


 三日後に身体は回復しロード王子の手引きで王都を出ることができ、そのまま冒険者ギルドの総本山レポラル自由国家に向かった。


 ◇◇◇◇◇


 ヒロトが目を覚ます前


「聖剣が王都に来ていたとはな」

「まぁこっちも色々動かないといけなくてな」

「仕事の内容まで聞くような無粋なことはしないさ」

「助かるよ、変に詮索されると面倒だからな」

「まぁそれは良いとしてヒロト君はどうだ?」

「なんとかなるだろう、俺が治した訳だしな、ただ、脳を酷使ししたと思う、その部分が影響を出していないかが心配なとこだな」

「全ては起きてから、か?」

「ああ……」

「すまないな、もうここまでで大丈夫だ、これ以上こっちに手を回し聖剣の仕事に影響を出したくない」

「……助かる、もう行く」

「ああ」


 そう言うと患者(ヒロト)の側から立ちドアから出て行った。


「忙しそうだな……さて、何を調査していることやら」


 ロードの独り言は誰にも聞かれずに空に溶けていった。



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