13話 剣聖
==13話 ==
――!? 身体に感覚が……
「ん?」
「銀月流 肆之型・繊月凶鳴」
「まだ動けるとは……そうか……生きていたから情報が少ないのか……だがまだその型は終わっていない、枯れろ」
何も起きない
「ん?」
「もうそれは識った」
「どういうことだ?」
「銀月流 漆之型・燕飛刀擊」
刀をぶん投げる型、もはや型と言えるかのか分からないな
「武器を捨てるとは、我はもう月の型を全て知っているのだぞ?」
「気づかないように言葉で誘導か?」
「……なぜ気づく」
俺の手の中には刀がもうある。
この空間は刀で戦う場、常に同じ刀を持ち戦うことがここでのルール、逆を言えば戦う意思があれば常に刀を持てる空間ということになる。
「銀月流 壱之型・三日月」
「銀月流 壱之型・三日月 もう知っていると言っているのだ」
そう言って同じ型を撃ってきた、さっきまでは俺が飛ばされたが……識るというのは大きい
真っ向からぶつけてくると識っている、軌道を僅かに下にずらしやや上向きに力を伝える。
「――!? なぜ……」
落ち将軍が戸惑っている声を上げた。
「銀月流 玖之型・雲脚弄月」
「く……死木流 守式・木食場〈繊〉」
俺の攻撃を待つ構えだな、銀月流を知って更に強化されているんだろうな。でもこの型はどういう型か理解できていないのだな。
雲脚弄月は攻撃をしながらカウンターをする型、構えている相手に最適だ。
構えている落ち将軍の右から水平斬り、それに反応して上に鋭く斬り上げようとしてくるが落ち将軍の言い方を真似するとそれはもう知っている。
当たる直前に振り下げに変更、そのまま地面に突き刺さる前に振り上げる。
「――! 木流 流れ成」
ギリギリで後ろに退いた、今までで一番身を退いていた。
雲脚弄月は一度の攻撃で終了でなく連擊の型、流れるように振り下げ、横薙ぎ、そのまま回転して振り上げ、回転から振り上げた力を使って空中で三回横薙ぎを三連擊。
落ち将軍は刀で受けるだけで攻撃の態勢に入らせなかった。
「童……死木流 奥義・縛層連々壁喰」
地面から大量の黒い木が落ち将軍を中心に生えてきた、そこから斬擊を辺りを見境なしに放ってくる。
頭が熱い、目が燃えるように熱い、飛んでくる斬擊がゆっくり見える、音が遠く、見えるものが必要最低限になっている。
雨のように降ってくる斬擊が飛んできた。当たらない場所が見える。
「型は知れたのだ、もう貴様自体に用はないのだこれでいい」
「銀月流 壱之型・三日月」
感覚が大きい、斬った!
「がぁあ!? な、なぜ……なぜあれを避けられるのだ! あれは奴を殺すために作った技、未だに奴以外に破られたことはないのに!?」
「覚醒?」
なんだ? それ?
「炎喰」
密閉されていて暗めの視界が明るくなった。
「な!?」
「ほぅ……まだ生きていられたのだな、もう安心しろ~俺が終わらせよう」
赤い髪で朱色の軽めの服を着た男が上から降りてきた。
「なぜ我の刀兵領域を破れる!」
「分かってねぇえのかぁ~格下の領域は壊せるんだぁ~」
「生きている人間ごときが我より格上な道理がない!」
「生きた年月が正解じゃ~ね~」
ブワッと背中から汗が出た。目の前の赤い髪の男の持つ剣の間合いには入っていないはず、こちらに意識を向けている訳でもないのに自分の意識をじわりと奪われたときよりも恐怖を感じた。
「――! 死木流 特式・連木層獅喰」
落ち将軍が上下にうねるように感じる見える斬擊を放ったが赤髪の男は剣の柄に手を当てた状態で動かない。
「お、おい!」
腕を無防備に前に来るような体勢だったため腕に当たった。その瞬間から抉り始めたと思ったが瞬きを一度すると何もなかったような体勢のまま立っていた。
「ど、どういう……」
「……見えていない、分からない、その時点で駄目なんだぁあよ」
剣をゆっくり抜いた、剣は赤く光を反射する剣だった。
「炎砲」
呟くように言うと下に向いていた剣は上を向いていた。
上にいつの間にか向いていたと思うと遅れたように赤い斬擊がまっすぐに地面を抉りながら落ち将軍を捉え何も言わさずに消滅させた。
「余計なことをしたか~?」
「……」
「ん?」
ついついその光景に唖然として声が出なかった。
「い、いえ……」
「そうか~。俺は~エドガーって言うんだエドと呼んでくれ、お前さんは?」
「ひ、ヒロトと言いまふ」
「まふ?」
「ま、ますです」
そう慌てて訂正するとプッと笑われた。
「あははは、緊張しているのか? おらぁすぐに何でもかんでもきるわけじゃぁあねぇえよ~」
「「ヒロ(ト)! 大丈夫か!」」
カイ達が来た、そういえばあの人の名前知らないで共闘してたな……
「って! 剣聖!?」
「おお? 氷弓? 珍しいのがいるな~」
剣聖? 氷弓?
「そういえば名前聞いてなかったですけど」
「お前……名前くらい言っとけ~」
「あ……忘れてたよ、こっちは知っていたからついね……俺はアイナ、改めてよろしくな」
「で、この悪魔はなぜ討伐しないんだ?」
「酷い言い方ですね」
「悪魔はそのままにしておけば禄でもねぇえ」
「何もしないつもりですが?」
「悪魔の言葉は聞かねぇえ」
お互いに挨拶をして和やかな雰囲気から突然今にもカイを斬ろうとする雰囲気になった。
「剣聖、待ってくださいよ、この悪魔は無害ですよ、この魔物の軍団の殲滅にも協力してくれたし――」
「氷弓、それ以上はお前が言うな。それ以上言えばお前も斬る」
「――!」
アイナさんはその言葉で黙ってしまった。
「悪魔の言うことは聞かない、これより貴様が魔力の行使をしてときその瞬間に斬る、俺の問答に答えろ」
「……ああ」
「一つ目、なぜここにいる?」
「契約者のヒロト君に付いているからです」
「契約してるのか? ヒロト」
「……はい」
「……そうか。二つ目、この魔物の軍団との関わりは?」
「ないですよ、ただ知っている事、分かったことはあります」
「なんだ?」
「この軍団には二つの要因で起きたということです。一つは魔族が動いたということ、二つ目はこの国の地下のことが原因でしょうね」
「一つ目は分かるが二つ目はなんだ?」
「……この地下で禁忌を犯しているんじゃないかってことです」
「……そうか」
「俺からの質問です」
「……なんだ?」
「一つ、それ、知ってましたよね? ってこと。二つ、貴方いつから見てました?」
「カイ、どういう意味だ?」
「……はは、なんだ。気づかれていたのか」
「「「……」」」
「見てた、ヒロト達が地下から出てくるところから見てたよ」
「なんでもっと早くから助けに来なかったんですか?」
「ヒロトって存在の意味を知りたかったから」
そう言って剣から手を離してこっちをじっと見てきた。
「どういう意味ですか?」
「俺も卵を持っていてな、この国の調査で動いていたときにヒロトの持つ卵の気配を感じて探してい見ていたって訳で、すぐに来なかったのは卵を持っているだけの奴なら興味がなかったからだ」
自分の興味優先かよ……
「……なんていぶだまご……であべ?」
急に視界が歪み出した、鼻から温かいものが出ている感じがする、頭も温かい。何が……
「――! マズイな、そうか……あれは無理矢理……氷弓、氷出せ」
「は、はい!」
「移動できるベット作るぞ」
「助かる悪魔」
「カイと呼んでください、ヒロからつけられた大切な名前なので」
「……変わった悪魔だな」
そう言いながら左手に黄色い炎を灯しで俺の頭を掴んだ。
熱くなくスッと眠くなってくる。
「それは?」
「俺の卵は治卵、治療が役割だからな」
そう言いながら右手は青い炎が下に向かって燃えていてそれを俺の身体に当てながら動かしている
「それは?」
「身体サーチ、以上が他の部分に出ていないかを調べている。集中する、話しかけるな」
仰向けに寝させられた状態で首に氷を当てられた状態で俺は意識を失った。
次回は閑話です、αシリーズの続きです。
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ではでは。