10話 それぞれの神託
==10話 それぞれの神託==
Side リンナ
今日は神託の日少し前にやっと仲良くなれたヒロと一緒に教会に向かっている。 もちろん隣には私のパパとママがいる、ヒロの隣はヒロのママだ。
「リン、今日はあまりはしゃいではだめだぞ」
「もう、分かってるよパパ、お姉ちゃんに聞いてるからー」
「だけど……」
「もう、落ち着いてジル、ヒロ君と一緒にいればヒロ君がなんとかして止めてくれるわよ」
「む……そうか……」
「ちょっと私を少しは信頼してよ」
と私のパパとママが酷いことを言ってきながら教会に着いてパパにもう一度釘を打つようにはしゃぐなよと言ってきてから分かれてヒロと一緒に広間に入った。
「ヒロ、すごい人だね」
思わず声にしてしまってからついヒロの服の袖を握ってしまった。ヒロは離してと言ってきたがまだ怖くて袖を離すことができなかった。
少しヒロと話していると知らない貴族の子のような格好の子に話しかけられた。私はすぅっと寒気を感じてしゃべれなくなっている中ヒロが淡々と話をしてくれてその子を遠ざけようとしてくれていたが離れてくれず挙げ句の果てにはその子は貴族でなくこの国の王子様で思わず声を出してしまいそうになったところをヒロが止めてくれた。結果ヒロがその王子様に連れて行かれることになってしまってどうしようと思ってヒロにどうするのか聞いてみたらヒロも何も考えれなくなっているみたいで最悪の気分で神託を受けることになってしまった。
◇◇◇
神託の祈りをした後私の目の前に紙が浮かんでいた。見てみると、加護も称号もなく少し残念に思ってスキルを見るとこう書いてあった。
支える心 ▽
自分以外の為に動くときにいつもの二倍近い力が出せる
暴れん坊 ▽
怒りが一定になると自動で発動する。通常の五倍の力になる。怒りの程度によって自我がなくなることもある。
すごく残念なスキルが来た、二つ目なんか皆に知られたくない、だってこれは女の子向きじゃないじゃん!まぁでも一つ目の支える心ってスキルならヒロを支えれるかな?
と思いながらヒロ神託はどうなんだろと思って見てみると紙が赤かった。
「ヒロ……それってもしかして炎神様の加護?」
ヒロはそうみたいと答えてくれたがヒロがスキルに目を移すと凄く元気がなくなっていた。
「どうしたの?」
「えっと……スキルの使い道が分からない……」
とすごく残念そうに言ってきた。
「どんなスキル?」
と聞くと
「簡単に言うと視野が広くなるのと耳が良くなる、後考えるのが早くなる」
と答えてくれた。
「え……本当に何に使うの?」
「分からない……」
とすごく焦ったように言っていた。
◇◇◇◇◇
Side マイン・ロワ・プリネラ
「マインお坊ちゃま今日は神託が御座います。貴族のご子息が多くおられることでしょう、この国の皇太子としてのご振る舞いをお願いしますね」
そう口うるさく言ってくるのは俺の教育係を務めるチヨ・ヒュノ・ローダス、俺の乳母も務めてくれていた。彼女の家は公爵家でそこの四女だ。
「チヨ分かってるよ、でも俺の継承権は五位だ、あまり皆見てなどくれないさなんたって同じ場に二位の彼がいるんだそんなに硬く行かなくとも」
「なりません。継承権が低いと言っても王家は王家です。その血を欲する者がいるかもしれないのですよ、それ故に気品のある振る舞いはそんな者達から身を守る盾となるのです、理解しましたか?」
「はいはい」
「はいは一回です」
「はい」
そんなに硬くしないでくれよと思うがチヨが言っていることも一理あるのだからなんとも言えないな
「失礼します。マイン殿下、陛下より手紙が来ております」
この屋敷の執事長のピズが教えてくれた。
「そうか、教えてくれてありがとう、馬車の中で読むよ」
「はっ、それと馬車の準備が整いました」
そういってチヨに手紙を渡して部屋から出て行った。
「行きましょうか、マインお坊ちゃま」
「ああ」
そう言ったあと俺たちも部屋を後にし馬車に向かった。
『マイン、手短に伝える。今日はおまえを救ってくれたトドロ殿のご子息も同じ教会に来る、おまえの目で見て信用がありそうな子なら接触をしておけ』
と書いてあった。
「マインお坊ちゃまどうなさいました?」
読み終えたあとため息をつくとチヨが聞いてきた。
「王からの命令書だったよ」
「そうでしたかでは私は何も聞かない方が良いですね」
「その言い方だとチヨもこれについて知らないのか」
「そうなりますね、今日については何も聞いておりません」
「そうか」
「ある程度の推測はつきますが……」
「言ってみてくれないか?」
「はい、陛下からの御命令文と私が何も聞き及んでいないことから考えられるのはマインお坊ちゃまの目を使ったご命令かと」
「ふふ、正解だ」
相変わらずの推理力だ。チヨはこの推理力が買われ長く王のそば付きとして従者をしていたが歳となり引退のタイミングで王から教育係になることを勧められ今に至っている。元王のそば付きの為王からの信用が強いためある意味俺の監視もある。
「まぁマインお坊ちゃまはその目が特殊ですからね」
「まぁな」
そう俺の目は特殊だ、神託の前からスキルに近い力がある、それは人の器が分かる。人の器が分かるとその人の成長域や心の悪意・善意などが分かる。
「まぁ、なんとかやりながら俺の派閥を作るよ」
「そうなさってください。私としては貴方に王になって欲しいですしね」
「相変わらず本意か虚偽かわからないな」
「それが取り柄です」
ほほ、と笑いながら言ってきた。
それからチヨとあれこれを離していると教会の広間の前に着きチヨと分かれた。
目的の人物はトドロ殿が笑いながら言っていた特徴を持つ人物を見つけた。近づいてみると驚いたことに器の形が見えなかった、その事に驚きながら話しかけてみた。
話してみるとこちらのことを終始警戒していた為少し騙して家に連れて行ってみることに成功した。
少しうれしくしながら器の形の良い者に話しかけ顔を売りながら前に移動していった。
◇◇◇
神への祈りを解くと目の前に紙が浮かんでいた、見てみると
礼節 ▽
礼儀作法を正しく行える
魔を知るもの ▽
魔法の威力が普通より高い
護身術 ▽
身を守る時の力が二倍になる
ふむ、結構良いスキルだ、しかしまだ続きがある。
称号
魔眼の所有者 ▽
審眼 ▽
人命の器を見ることができる
そうか、俺が人の器と言っていたのは人命の器と呼ぶのか、しかもこれは魔眼か、これが一番の驚きだな、くく、これでこの後のヒロトとの話し合いが面白くなりそうだな。と顔に出すことなく心の中で笑ってヒロを迎えに行った。