9話 外に
==9話 ==
「ヒロ、こっち」
追いつこうと走っていると上から声をかけられた。
「カイ!」
「私が引き上げるわダーリン」
ラーニャが黒い手を伸ばしてきた。
「そのスキル……便利だね」
「ラル、どうしよう。ダーリンと手を繋いでしまったわ! もうこの手消せない!」
「駄目よ、まず落ち着いて、結婚すればいつでも手はつなげるわよ!」
「は! 確かに!」
引き上げられながら聞こえてくる会話が少し怖いんですけど……
「ヒロ、言われてたローブだ。何に使うんだ?」
「ありがとう。皆ここにいる?」
「いるぞ、ヒロ。ここまで派手に逃げるとは思ってなかったぜ」
「儂が生きている内にこんなことが起きるとはな……」
「でも……もうここまでだろ!」
「そうだ……俺達を連れて逃げるなんて足手まといでしかないだろ! もういいよ。俺達はここまででいい」
何人かの人が言い出した。
「いや、全員でないといけない」
「ど、どういうことだ」
「まずまずとしてあなたたちは本当に人を殺しましたか?」
「……当然だ、じゃなければ俺達はここにいる訳がないだろ」
「じゃあ思い出して俺に教えてくださいよ」
「お、おれはあの時に俺の爪で!」
狼獣人だろう人が前に出てきて言ってくるが
「どんな天気でした? 人数は? そのときに周りの人は何か言ってきましたか?」
「は? あの時は快晴……いや、曇り? あれ……お、思い出せない……」
「この中の多くの人が本当は殺しをしていないんじゃないですか?」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
皆黙った、俺の言葉に思い当たる部分があるんだろう
「お、お兄ちゃん、じゃあ私達は何のためにここにいたの?」
「実験だろうな。〈過裕者〉のスキルを測るための」
皆が更に暗くなった。
「巫山戯るなよ……俺達はそんなことの為だけにあんな目にあってたのかよ!」
「勝手に捕まえられて死にたいと思わされる毎日を暮らしにぶちこまれるなんて」
皆の心が暗くなってきた。
「今から外に出るが一つ約束して欲しい。人に手を出さないで欲しい」
「それは無理だ。俺達の怒りが収まらない!」
「そうだそうだ!」
「恨みは恨みしか生まない。暴力には暴力が帰って来る。常に行なうことは回って帰って来る。今皆の心に復讐の心があるならば一度溜めて欲しい。今すぐに解放できれば良いのは分かっているが今すぐに怒りをぶつけれないのはさっきの奴を見れば分かるだろ? 今はその心を溜めて必要なときにぶつけてくれないか?」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
出てすぐに暴れられるとすごい困るんだが……
「分かった」
「二ニナ……いいのか?」
「お兄ちゃんの言い方ならその内私達にやらしてくれるんでしょ?」
「頑張る」
「じゃあ、今は逃げる。皆も熱くならないで! 私達はこれまで我慢してきたでしょ? それがまだ伸びるだけ、お兄ちゃんが来てなければこんな風に外に出てなかった、じゃあここは言うこと聞こうよ!」
「……そうだな、二ニナちゃんの言うとおりだ、それに二ニナちゃんが俺達の中で一番きつい目に遭っていたんだ、二ニナちゃんが我慢するって言っているのに俺達年上がはしゃぐことはできんだろ!」
「カノン……」
「……お、おう。そうだな、そうだな! それにいつかやり返せるならそれでいいか!」
カノンと二ニナのおかげで話がまとまった。俺はあまり前にでて発言するの緊張するんだが……できて良かった。
「ダーリン、どうやって逃げるの? 一応この穴で休憩できているけど外に出れば私達は目立つわよ?」
「ラーニャ、君を使う」
「え……私の身体が欲しい? え、え、恥ずかしいけどダーリンが求めるなら!」
「違う。断じて違う」
「断じられすぎてそれはそれで悲しい」
「ラーニャは魔族……ここの混乱が目的なんでしょ?」
「え、ええ」
「混乱を起こす俺達全員魔族として動いて誰も殺さない混乱を起こす」
「……ダーリン、すごく言いにくいのだけど私の仲間が外にいるのよ……見つかれば……」
「やっぱりいるのか……まぁ大丈夫。ラーニャは存在感を出して俺達が魔族ぽく見えるようにしてくれないか?」
「ええ、でも」
「まぁそれで大丈夫」
少し不思議そうな顔をしているが問題ないはずだ。魔族の反応があればあいつは来るはず
「ヒロ、ローブは全員分渡ったが何に使うんだ?」
「全員で着て統一感を出せるかなって思ってね、カイありがと」
「そうか」
すごい顔が嬉しそうですね……
「どれくらいで出ることができそう?」
「一発で出ることもできるしゆっくり安全に行くこともできる」
「……一発は派手?」
「派手派手」
「それで行こう」
「後悔するなよ。二ニナさん」
「うん!」
そう言うと二ニナの片腕が二ニナの身体と同じくらいの長さになっている、腕に線みたいなのが走り暗いこの場てらす紅くなってきている。さっきより力強さを感じる。
「灰素陣 重層連」
「いっけーーー」
うん……声は可愛い、すごく可愛いのだけど行動とのギャップが酷い……すごく酷い……
「【嫉妬之王】捕まって!」
ラーニャが手を変形させて枝を広げた形になっている
「ヒロ! 最後は下に撃って」
「そういうことか……【火炎弾】【爆】」
全員が勢いに乗って飛び出れた。先回りされていたかもしれないが関係なく逃げれたな
「あはははは」
「すげー高いーー」
めっちゃ楽しんでいる人が多いな……
「カイ、カナは?」
「王都に向かっている魔物を感知したから偵察に行って貰った」
「いつ戻ってくる?」
「もうすぐだと思う……あ……来た」
空中を飛びながら言われた方を見るとカナが空中で止まっていた。
「カナ! 壊してきて」
ああ、聞こえないのかい!
「ヒロ、声を届かせるのは無理だと思うぞ? こういうときの為に合図は作っておいた」
「先に言って!?」
大声で頑張ったのだけど?
カイが合図を出すとカナが結界を壊して入ってきてくれた
「ヒロ! ボロボロ……何があったの? 壊して良かったの?」
「ああ、逃げるためにも迷惑をかける程度の迷惑をかけたいから」
「でもちょっとやばそうだよ? 魔物の軍団みたいなのがこっちに来ていた」
「もう来る?」
「あと1時間で見える距離に来るんじゃないかな?」
「ラーニャ、魔物の軍団ってラーニャ達の作戦?」
「ダーリン……その娘は誰?」
「ダーリン!? ヒロ? どういうこと!?」
「ラーニャ……それどころじゃないんだけど」
「……わ、私はダーリンを信じる……私は正妻……」
「正妻!? どういうことヒロ!?」
「話聞いて!?」
話がすぐに戻るんだけど!?
「私は知らないわよ?」
「ヒロト、もう落下するぞ、落ちたら何すれば良いんだ?」
「とりあえずついてきてくれ」
地面についた。
「な、なんだ?」「何だこいつら」
ざわついている、すぐにでも騎士が来るだろうな……
「ラーニャ、あそことあそこを壊して、カイはあれ。二ニナ地面を軽く壊して」
「「分かった」」
「了解」
三人が同時に俺が言ったことを実行してくれた。
「わあああああ!」「まさかま、魔族!」「もう安全じゃないのか!?」
ざわめきが混乱になったか……
来た!
「【業風ノ弾】×三」
「【業火ノ弾】×三」
威力が上がっているな、マイン
「またあのような騒動は起こさせない!」
覚悟が宿っているような目をした目でこっちを見てくる。
どうも。ロキュです。
最近の話を振り返ってみたらタイトル付け忘れてましたね……まぁ考える時間を省いたつもりだったのかもしれませんが……今の状態が落ち着けば付けれるかなと思っています。
二章の幅に悩んでおります、このまま進むと割と早めに二章が終わる気がします。これからのことが分からないので何も言えませんけどね……
この物語の続きが気になる、面白いかもと思って頂ければ是非ブックマークか評価をしてもらえると作品作りの励みになります。
ではでは。