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8話 脱出開始


 ==8話 ==


 俺がいた場所は巨大な手で振り払うように周りの鉄格子が変形する位の勢いがあった。


「どういう……こいつさっきラーニャに眠らされていた奴のはず……」


 というより俺が斬ったことには斬った、胴が泣き別れ状態で空中に留まっている、血も出ていないし……この状況はどういうことだ?


「ちっ! 俺の実験場を何荒らしてくれてんだよ!」


 ラーニャに眠らされる前と声の音は同じでも質というのか? 何かが違って聞こえる。


「だれだ」

「お前は俺の実験の魔力の供給だけしてれば良かった物を逃げ出すとかふざけるなよ、こっちは忙しいってのに」


 俺の問いに答えるつもりなしか。


「ヒロ! マズイ、それは何かがやばい」

「ダーリン、私は訳あって力を使えないの万全じゃなくそいつと戦うのは得策じゃないわ」

「しししし、お仲間二人は逃げる気満々みたいだが、逃がすわけないだろ?」


 後ろから何かが来ている……


「あぁぁああ……」「ぐ……がぁああ……」


 ゾンビ!? いや、腐ってないな、何になるんだ?


「こんなレベルの敵なら問題ないぞ」

「私の力見間違えてないかしら?」

「そいつらは何も罪を犯していない善良なこの国の国民だ。俺の力〈人改之王〉の力で弄った人間さ、まだ生きている」


 そう言うと「しししし」と気味の悪い笑い方で高笑いをしている、その顔は俺達がそれを知った上でどう動くのか楽しみでしょうがないという顔だった。


「こいつ……」

「私には関係ないわね。私が全員消してあげるわ」

「待ってラーニャ」

「駄目よダーリン、それじゃあ逃げれないわよ」

「でも! 生きているなら!」

「ダーリンだって魔物になった人間を殺したでしょ? それと同じよ」


 どうしてそれを知っているんだ?


「……」

「この魔力供給装置(このガキ)の言うとおりだぜ、俺の意思でこの状態なんだよ」

「……たちが悪いわね、〈人改之王〉……大罪系の保有者同士なら力を十全に使えない私達じゃ相手できないわ」

「ならば使えば良い。何も遠慮することないだろ?」

「……できないこともあるのよ」

「ここにこのガキがいるからだろ? ここで魔族の反応を漏らせば人が来て人間であるこのガキに罪が来る、その捕まえに来る人に対してこのガキは反撃もしないと考えているのだろ?」

「正確に当てすぎてキモい!」


 竜眼で見ているが何か壁越しに相手を見ている感じだ、正確な情報が出てこない。


「ああ、この身体を見ても意味ないぞ、情報遮断の改造をしている」

「改造?」

「しし、無知は罪だね~」


 人を嘲笑い自分の考えをひけらかすように語る


「先生! 俺の身体はどうなっているのですか?」


 さっきまでご満悦という顔だったのが嘘のように冷たく自分を刺してきた蚊を潰してそれを見ているような目だ。


「№20041……もう用済みだ、消えてろ」

「せ、先生! どういうことですか! 私には生かしておく価値があるとおっしゃっていたではないですか! それに私には先生の研究の一つ〈過裕者〉を持っています!」

「お前は俺を脅すのか?」

「そ、そ、そんなつもりは!」

「もういいんだよ。お前は自由意志を残すことでスキルの進化の仕方を知りたかったのだがお前は好き勝手をし続け結果として王位に足りない存在……もう興味がない」


 そういうとゆっくりと俺が胴を斬った奴に近づいていく。


「あ、あ、あああぁああ! い、いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! まだ死にたくない死にたくない!」

「もう生きたろ? 五十年も生きたんだ自由にね【人改之王(スランフォート)】」


 そう言いながら触るとグチュグチュと気持ち悪い音の後にボキボキと骨の折れる音がした……この変形が起きる前に声帯を消しているのか叫ぶ声は聞こえなかった。


「使えない奴だったがスキルを進化させてくれただけの感謝はしてるぜ後は俺のこの場しのぎの武器になってくれればいいや」


 人の姿から歪な剣の姿に変わっていた。


「キモい……」

「ヒロ、逃げるぞ。こいつは相手しても勝てない。今なら逃げれる」

「……全員で逃げる……逃げる! ラーニャ、牢に入っていた人達は?」

「全員出したわよダーリン!」

「カイ、ローブって作れるか?」

「ん? 何に使うんだ? まぁできるぞ」

「全員分頼む、同じ色にしておいてくれ」

「分かった」

「逃げられると思っているのか? ここは俺の研究場だ、実験の失敗作はいくらでもあるからな!」


 そう言うと逃げようとした先からカイ達が相手していたゾンビみたいな状態の人達が来た。


「ヒロ、この人達は斬らないと無理だとおも――」

「銀月流 肆之型・繊月凶鳴」


 壁に向かって全力で撃った。


「逃げるぞ」

「はは、無理矢理な道ね【灰素陣 配点】 ラーニャさん」

「【嫉妬之王】!」


 さっきまでの拳をギュッと小さくして威力を高めた拳でカイが展開していた魔法陣を思いっきり殴ったその威力がそのまま壁に当たるのではなく分散して壁にあたることで俺の斬擊より掘り進めていた。


「そんな一本道じゃあ俺の攻撃が通しやすいだけだぞ?」

「カイ」

「便利扱いですか? 【灰素陣 灰場地縛】」

「ほう~これが灰素魔法……伝説物を受けれるとは嬉しいですね~でもあなたたちを逃がすとこの国の王にうるさく言われるので残念ながら破壊します」


 そう言うといともたやすく縛っていた物を吹き飛ばした。


「これで――」

「銀月流 壱之型・三日月」

「そういうことですか」


 あいつの意思がこっちに向いていないときにはあいつが弄った人達は単純行動しかできなくなる、縛られればもがくという行動しかできなくなる。これはさっきあいつが人を武器に変えたときに意識が完全にこっちを向いていないときに分かったことだ。


 だから今はあのやばい奴を縛ることで意識を逸らす前に弄られた人達を縛っておき行動を変え、あいつの意識を反らして道を塞ぐ。


 これで時間を少し稼げるがあいつも力業で塞いだ部分を壊してくればすぐに追いつかれる。


「このまま行っても無理よダーリン」

「大丈夫、そこら中に上向きの穴を作っておいてどこに行ったか分からないようにする」

「それでも掘り進めるのは俺達だ。長く掘れないし、ここが崩落しない保証がない」

「掘る人ならいるぞ?」

「「だれ?」」

「もう掘ってる」


 そう言って指を指す先で牢に入っていた人達が掘り始めていた。


「お兄ちゃん、掘って行けば良いんだよね!」

「ああ、二ニナ、思いっきり頼む」

「うん、皆離れて!」

「「「「「「おう」」」」」」


 そう言うと可愛い声はフリですか? というレベルの勢いで壁を殴った。


「すごいなこの子……すごい威力だ」

「さすが私の恋のライバル」

「や、やばい勢いが想像以上だった!」

「「そこ計算外かい!」」


 やばい周りの壁に亀裂が入り始めている


「カイ、固定する魔法ある?」

「一時的なら」

「それを頼む、二分持たしてくれ」

「了解」

「ラーニャ、皆を前に進めながら先が見えにくいくらいの穴を上に掘って」

「了解よダーリン」

「二ニナ! さすがすぎて何も言えない」

「うう、ごめんなさい」

「大丈夫、なんとかなる、皆について行って」

「うん」


 そう言うと皆が動き出した、そこまで大きくない空間だからゆとりがないがちゃんと動けはする


「ヒロ、固定できた」

「分かった、後はローブを作りながら進んでくれ」

「ヒロは?」

「殿ってのだ」

「……気をつけろよ」

「問題なしなはずだ」


 そう言うとカイは心配そうだったが進んで行った。


 ◇◇◇◇◇


 一分で皆は前に進んで行った。あと一分でここが崩れる


「あれれ? まだいるのですか?」

「ああ、最悪なことにこのままじゃ危ないと思ってね」

「さっき凄い音でしたね~そのままでも問題なく穴を塞げていたと思いますが?」

「確認したかったんだよ。この穴を正直に開けてくるかな? ってね」

「良かったですね~ちゃんと来ましたぞ? まぁそのまま捕まえるけどな」

「フリだな、横か」


 横から掘り進めてきていたのか人が左右の壁から出てきた。手から血が出ている、無理矢理手でこの壁を掘らしたのか


「ご名答、そしてそいつらは足止めに使っただけだ」


 そう言うと俺に触れようと手を伸ばしてきた


「そうか、そのスキルの発動条件が知りたかったが触れることか」

「今知っても遅いんだよ」

「遅くないよ」


 俺は普通に後ろに下がれた


「ちっどうやって」

「不運にも簡単に外れてしまったんじゃない?」

「不運神の加護の使い方って物にそんな使い方があるのか……面白いな~不運神の加護は俺はまだ触れたことがないんだ~良い実験になりそうだ~!」

「時間ピッタリだ」


 壁が崩落した。カイの魔法陣の力が消える時間はピッタリだったな。


「くそ! ここをすぐに掘り返せ!」

「三文芝居だな! そんなことを言いながらも何人かを上に送っているのだろ? 自分が乗り移れる身体を」

「…………ししし、なんで分かったんだ? バレないと思ったが?」

「当たりか……急がないと」


 あいつの言葉を無視してカイ達と合流するために走った。



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