ハネムーンです!
皆様、新年おめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
体調の方はお変わりなくお過ごしでしたでしょうか?
年始め一発目ですので、誤字や脱字があるかと思いますが宜しくお願い致します。
足利、三好、織田、鷹司による首脳会談が終了し、各々が領国に帰参した頃。
秀高のお膝元、堺では商人たちが通常営業をしている。
それと同時に、堺城も本丸の石垣普請が完成し、今は二ノ丸の石垣を施工している。
秀高は本丸執務室にて三役の津田宗達と仕事を捌いていた。
「そう言えば土建省長官からの報告で当初の試算より工程が3年程短縮しているようだな」
『そのようです。二ノ丸、三ノ丸、その他の曲輪が終わるまで後2・3年と言ったところと報告がありましたな』
「2・3年か。少し骨伸ばしに行くか」
『では、外へ』
「そうだね。各省長には既に連絡してある。今は我々の旅路に必要な船の完成を待つばかりだ」
『南蛮船ですな。かなりの大きさと聞いておりますが』
「なんでも兵部省内に新たに設けた造船開発部が俺の為の軍艦を造れると興奮していると聞いてな。後で、図面と模型、波耐久試験などを見てみたのだが、、、、、はぁ( ´Д`)=3」
『殿?』
「、、、本当にとんでもない代物だったんだよ」
『それはそれは。完成が待ち遠しいですな』
「いや、それがな」
秀高が続きを話そうとすると執務室の扉が勢い良く叩かれる。
『殿様、殿様はおりますかい?』
『入りなさい』
『失礼しますぜ』
宗達の許可で入ってきたのはかの造船科船大工の棟梁だった。
『殿様。完成しましたぜ。例の軍艦が』
「っていう感じなんだわなぁ」
秀高は執務を終わらせ、小梅や三役他、各省長を引き連れ造船所に向かった。
造船所は巨大な母屋により完全に中が見えないようにしており、入退場する職人達の身分証の確認等が撤退されていた。
『殿様方。ようこそ第一造船工廠へ。完成した軍艦はこちらですぜ』
棟梁が先導して件の軍艦の場所に案内する。
そして、中に入れる大門がゆっくり開かれ中に鎮座する軍艦がその目に映りだす。
鉄張南蛮船
全長は約80m 全幅約20m
艦中央部に三重櫓が建ち、艦の前部と後部に二重櫓が建つ。
マストは3本あり、前後櫓を貫通する形で2本。中央3重櫓の後ろに1本となっている。
前部、後部、大砲4門 計8門
左右舷側 大砲15門 計30門
前後二重櫓内に大砲2門 計4門
鉄砲挟間 各所多数
「本当に完成させやがったな」
『秀高様、これって』
「あぁ。南蛮船だよ。しかも飛び切りバカでかくてカチカチなやつだがな」
『殿様。これが我が造船局が建造した南蛮型軍艦でさぁ。どうですかい』
「見た目は上出来みたいだがその他はどうなんだ」
『へへへ。早速、見てもらいやしょうか。どうぞ、艦内に』
秀高達は足場を渡り艦内に足を踏み入れる。
「うむ」
秀高は隅々まで艦内の問題点が無いか確認し頭と職人達が集まっている所に足を運ぶ。
「頭。ありがとう。素晴らしい船だ。次もまたいいのを造ってくれ」
『『『よっしゃー!』』』
秀高の言葉に職人達は歓喜の声を上げる。その喜びようを見た秀高は、いかに大変な仕事だったかを想像した。
「さて、第一段階は合格だ。第二段階に行こうか。頭、海にはいつ出れる」
『もちろん。今すぐでも可能でさぁ』
「海軍精鋭の船乗りたちを呼び、試験航行を行う。準備せよ」
『『『はっ』』』
そこからの行動は迅速だった。
食料や、衣類、寝具、武器、弾薬等。航海で使うものを全て艦載し、海軍の乗員達も乗込みを済ませている。
『水門開け』
工廠にある水門が開かれそこから海水が流れ込み始める。
しばらくすると軍艦は浮力により海水に浮き始めた。
「浮いたな」
『浮きましたね。でもここで転覆とかしないですよね』
「全長と全幅の塩梅がいいからこの程度ではひっくり返らない設計にしてある、はずだ」
『そ、そうなんですか。良かったです』
そして、海水が満載になり準備が完了した。
「錨上げ」
『錨上げ~』
「一つ帆を上げろ」
『帆上げひと〜つ』
3本のマスト内、1番前方の帆が一段階張られ、風を受けてゆっくりと進み出す。
水門を抜け、突然出てきた南蛮船を見た南蛮人達は度肝を抜かれだろう。
東の果の島国、嘗て黄金の国ジパングと呼ばれた国が自分達の船に匹敵または凌駕する軍艦を見てしまったからである。
「上々だな。艦長、最大船速。沖合にて砲撃試験を行う。準備させろ」
『はっ。帆上げ〜全部。沖合まで全速〜』
『『ヨーソロー』』
乗員たちが一斉に動き出し全ての帆を上げる。
帆には鷹司家の紋と天皇より送られた五七桐紋、そして旭日紋が刺繍されていた。
全ての帆を上げたことで風を受けた軍艦は速度を上げて行く。
「いい速さだ」
『秀高様。気持ちいいですね』
「そうだな。この船でようやく君と婚姻旅行にいけるな」
秀高の傍に来ていた小梅を秀高は優しく抱き寄せる。
『秀高様』
「ハネムーンの準備忘れるなよ」
『はっ、はい』
「さて、そろそろ砲撃が始まるな。大丈夫かここで」
『はい。秀高様と一緒なら問題ありません』
『殿。始めます』
「うむ」
『総員。砲撃戦用意』
艦長の号令で兵士達がバタバタと動き出す。両舷の砲門が開かれ砲身が次々と飛び出てくる。
『左舷、撃ち方始め』
艦長が号令した直後、左舷側の大砲が次々と砲音を上げる。その衝撃で少し右舷側に傾く程。
『左旋回。取舵一杯』
帆と舵が操作され船体が遠心力で右に傾きながら旋回し旋回が終わり暫く直進すると。
『右舷。撃ち方始め』
今度は右舷側の大砲が轟いた。
『両舷。各10発まで自由射撃。始め』
自由射撃が発令されると両舷の砲門が準備出来次第次々と砲音を上げ始める。
「壮観だな」
『はい。本当にいい船です』
「あぁ。これで更に楽しい戦国時代を送れそうだな(ふふふ、ここから漢のロマンを追求できるぞ)」
秀高の満面の笑みを間近で見ていた各幹部達は身震いを起こした後に直ぐに直感する。
『『『(あ、これヤバいやつだ)』』』
一通りの試験航海を終えた秀高達は堺の海軍基地に軍艦を係留させ引き渡しと命名式を行う。
秀高が準備された紙に筆を取り艦名を書き始める。
「よし。、、、この軍艦の艦名を堺とする」
『『『おぉぉ』』』
「そして、2つき後。私と小梅は暫くこの堺で旅に出る。各々準備を怠るな」
『『おぉぉぉぉぉ』』
秀高により軍艦が堺と命名され更に2ヶ月後、正式に小梅と旅に出ることを宣言した。
そして秀高が旅に出るという知らせは日ノ本中に知れ渡った頃には2ヶ月が経過しており、堺ではまた違う意味でお祭り騒ぎであった。
「三役及び省長達や。暫く国家運営は任せた。2年後、戻ってきたときを楽しみにしている」
『『お任せください』』
「では、行ってくる」
軍艦、堺に乗船するための階段には小梅が待っていた。
「行こうか」
『はい。宜しくお願いしますね』
二人は手を取り合い階段を上がって行き乗船する。
『出航〜』
バーン バーン バーン
空砲が鳴らされ見物人達がどよめくなか堺は少しづつ動き出した。
そして徐々に速度を上げその姿は小さくなってゆく。
そして紀伊水道を抜ける際に再度、空砲が鳴り響き太平洋へとその姿は消えていった。
誤字、脱字がありましたら温かい目でご報告の程、宜しくお願い致します。