変わり始める歴史
皆々様。おはようございます。またはこんにちわ。はたまたこんばんわ。作者でございます。
遂に歴史が大きく変わり始めました。此から大名達がどの様に動くのか編集している私も楽しみです。
今後。『こんな話を加えれば?』等々がありましたらご意見をお寄せください。
宜しくお願い致します。
では
1545年天文14年の2月初旬
山崎の地にて始まった足利義晴率いる幕府軍と細川晴元率いる管領軍が激突した。結果は幕府軍の勝利。この報せは直ぐに全国に知れ渡り将軍家の再興と言われるまでとなる。足利義晴はその後に京と山城を抑え若狭攻めの準備をしているという。幕府軍により京の治安が安定したことで京に帰参する民が増え、人口増加を促す。それにより市場も嘗ての賑わいを彷彿させる程に繁盛していた。
それから時間が経過した5月のある日。将軍足利義晴より秀高宛に書状が届いた。
「法隆寺で会談したいか」
『秀高様。会談したくないの?』
「いや、行こうとは思っている。だがな」
『何かあるかもしれないと』
「うん。まぁ千程の護衛を付ければ大丈夫か」
『お気をつけて』
「うん。行ってくるよ」
5日後。大和の法隆寺にて将軍足利義晴と南摂津、大和、和泉、河内、紀伊の経済を掌握している近衛左少将(昇進した!)鷹司秀高による会談が行われた。
「先ずは、先の戦の戦勝。おめでとうございます」
『うむ。少将殿のお陰で晴元を山城と京から追い出すことができた。此方からも礼を言う』
「有り難き御言葉。それで、話とは」
『うむ。実は相談があってな。以前、少将が朝廷にてやろうとしたことを教えてくれんか?』
「え?何故ですか」
『儂は京を抑えたのだ。都の守護者として都を再建しなくてはならんからな』
「なるほど。そう言う事なら」
秀高は義晴に内裏を本丸とした城の建設。町割りの整備。古の建造物の再建と補修等々。秀高がやろうとしたことを義晴に全て話した。
『うむ。確かにこれは壮大な計画だな。公家達が動揺するのも頷ける。しかし、其処までやらんと都は再建出来ないのも事実。よし。やるだけやってみよう』
「我ら堺に出来ることがあれば言ってください。また、公家の皆様や帝にも宜しくお伝えください」
『任せろ。後、少将殿。ここだけの話なのだが』
「はい」
『来年の春に。儂は将軍職を菊幢丸に譲るつもりだ』
「まっ、真に」
『うむ。菊幢丸を将軍にし儂が大御所となり支える。これで足利の治世を盤石とするためよ』
「そうですか(確かに義晴は来年義輝に職を譲るけどそれを俺に言われてもな)」
『ついては、少将殿に烏帽子親を務めて貰いたいのだ』
「えっ。そ、そんな。恐れ多い。私は元々は百姓上がりの武士ですよ。帝の血縁たる足利将軍家の方の烏帽子親など到底」
『そこをなんとか頼む』
「義晴様。因みになぜ私なのですか?関白様なり公家の方々に頼むのは駄目なのですか?」
『か、関白様がな『堺少将に頼むがよかろう』と言ったものでな』
「はぁ?なにそれ。関白様が」
義晴からの告げ口を聞いた秀高はその瞬間、身体中から溢れだしそうな怒気が義晴を襲った。
『しょ、少将殿。そ、そんなに怒らなくとも』
「怒る?義晴様。何を言っておられる。私は怒ってなどいません。ただ、あのクソ関白にどう仕返しするか考えているだけですよ」
『そそ、それを怒っていると言うのではないのか?』
「怒ってません」
『わわか、解った(少将殿を怒らせてはいかん。息子達には争う前に頭を垂れた方が身のためと言っておいた方がいいな)』
余談だが、この会談の後に秀高から近衛屋敷に様々な嫌がらせがあったことは内緒である。
秀高と義晴はその後も、じっくりと話を続け有意義な時間を過ごし会談は終了した。
法隆寺から堺に帰る道中、秀高は
「(これから足利が何処まで行くのかが解らんな。もしかすると三好が細川から下克上するのも早まるかもしれん。後は将軍の暗殺もだな)影はおるか」
『はっここに』
「丹波に伝えよ。畿内の情勢荒れる恐れあり。足利、細川、三好、六角、山名、若狭武田の動向を探るように」
『はっ』
「情勢が変わった今。堺とその周辺だけの領土では危ういな。戻って長官達と話をせねば」
秀高は堺に戻ると直ぐに三役と長官達に集まるように指示を出した。1時間後、全員が揃った。
「まず始めに今後の事で、幕府軍が勝った今。畿内やその周辺の情勢は変わった。山城、京を抑えた将軍家。戦には敗れたが未だに大勢力の細川。大和の筒井。河内、和泉の畠山。紀伊の国人衆。伊勢の北畠。南近江の六角。北近江の浅井。越前の朝倉。そして最後に我々堺だ。皆に聞きたいのはこれからは領土拡大をした方が良いか否かだ。忌憚なく言ってくれ」
『大蔵省からは特に何もないですが。堺と周辺の格差が広がるのは如何なものかと危惧はしております』
『文部省からは学舎を各地に広めればそれだけ国力増強に繋がるかと思います』
『土建省からは領内と領外の差が出ているので統一したいとは思っております』
『農工省からはありません』
『交易省からはありません』
『外交省も同じく』
『環境衛生省は拡大に賛成です』
「うむ、兵部省はどうだ」
『兵部省は何時でも準備は出来ております』
「そうか。三役はどうか」
『確かに、堺だけで終わるお人ではないですからな殿は』
『我々は殿の天下を見たいですな』
『そうなれば全国で商売ができます』
「ということは、領土拡大するという方向で良いのだな。これからは普段より格段に忙しくなるぞ」
『それは覚悟の上』
『堺の力を見せてやりましょう』
「よし。ではこれより戦時体制に移行する。各省は速やかに体制を整えよ」
『『承知しました』』
「外交省」
『はっ』
「大和の筒井、河内、和泉の畠山。紀伊の雑賀と根来に従属するように使者を出せ」
『はっ』
「兵部省」
『はっ』
「武器の補充と兵の鍛練を念入りに」
『承知しました』
各省の長達は直ぐに屋敷を飛び出して戦時体制への準備をするために動いた。
「三役」
『『はっ』』
「すまんな。この様な時勢になってしまって。戦という金にならない商売をすることになるとはな」
『殿。頑張りなされ。我らは一丸となり殿を支えまする』
『いかにも、それこそ三役の務め』
『天下統一し後世に伝えましょう。堺の商人達が天下を制したと』
「ふふ。心強いな。宜しく頼む」
『『はっ』』
そして秀高の命令により筒井、畠山、雑賀、根来に使者を出した。内容は至ってシンプルに
【服従し傘下に入るように】
という感じだが、其だけでは喧嘩腰の為、確りと説き伏せられるような内容の書状も持たせている。
秀高達は変わり始めた歴史に呑まれぬように行動をすることとなったのである。
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