秀高と小梅の秘密と大雨災害
お待たせいたしました。どうぞ~
屋敷に戻った秀高に多方面から次々と訪問者がやってくる。
『お次は、越後の~』
『次は四国から~』
『次は九州~』
『最後は南蛮の~』
秀高は新たな商売相手と取引を増やすことが出来るのは嬉しかったが、その反面不安もあった。
「取引する量を考えないとな」
余りにも大量生産してしまうと売れ残りが後々響くからである。
「いっそのこと、注文生産制か予約制に、いや海外に売り払うか。、、、ん~。いい案はないかな~」
秀高は紙に現在の取引先を地図にして書き記す。
『北から蝦夷、伊達、長尾、北条、今川、織田、斎藤、六角、足利、細川、三好、尼子、毛利、大友、島津、琉球、高山国、ルソン。国内、台湾、フィリピンまで俺の経済圏になった。後はやはり明と朝鮮かいや、朝鮮は無しだな。やはり明の高官に余剰分を流した方がいいかな?そうか、ヌルハチが清を興すからヌルハチと取引をするかな』
秀高が一人で構想を考えているなか、その背後で小梅が覗いていた。
『(何回も呼んでいるのに返事しないから心配して入ってきたけど凄い集中力ね。あれ、よく見たら日本地図とその周辺図?よね。でもこの時代、こんな正確に地図を書ける人なんていないはず?確か伊能忠敬が初めて日本列島を測位した人だからそれより前に書ける人なんて。しかも日本だけでなく、大陸や東南アジアの大まかな地図まで書いてる。しかも今、明から清って言ったわよね?と言うことはこの人私と同じ)秀高様~。聞こえてますか』
「わあぁぁぁ。小梅。いつからそこに?」
『え?北から~の所からですが』
「ほぼ、最初じゃん。で?どうしたんだい」
『ふふふ。秀高がなぜその年で色々わかるのか少し解りましたわ』
「おいおい。からかうな」
『あら?からかっているとお思いですか?』
小梅は秀高の胡座で座っている所に向かい合うように座り、首の後ろに手を回し抱きつく。そして秀高の耳元で囁いた。
『事実で御座いましょう。貴方も私と同じ、時を越えた旅人なのですから』
「!!!ってことは小梅も」
『はい。私も転生者ですよ。でも、前世の名前はわかりませんけど』
「そ、そうか。俺も前の名前は解らない」
『似た者同士ですね』
「そうだね」
『秀高様』
「ん?」
『キスをしてもいいですか?』
「いいよ」
この後、秀高と小梅は大人のキスを交わし、そのまま~っていうのは数年後に御預けで、しばしイチャイチャしあっていた。その光景を部屋の外から聞いていた屋敷の者達は揃って『またイチャイチャしてるよ』と言ってため息を吐いた模様。
小梅との戯れを終えた秀高は三役と各省に伝文を出し新たな取引先との交易を進めるのであった。
半年後
天文13年7月
新たな交易を初めて半年が過ぎた堺は新規取引により更に賑わっていたが、7月に入りその賑わいは影を潜めてしまった。
「今日も雨か今年の梅雨は去年より一段と長いな」
『秀高様。市があまり開けない場合はどうしているのですか?』
「人通りは少ないが損にはなっていない。大量生産はさせてないからな」
『それでも損をしている所があった場合は?』
「それも問題ない。納められている税の三割は有事の際の特別補助金としている。結構な額になっているからもしもの時でも大丈夫だ」
『そうでしたか。秀高様は先のことを考えているのですね』
「そうでもしないと領主なんか出来ないからね」
『でも、今年の雨は確かに長いです。水害が出そうですね』
「うむ。警戒はしているが、どうなるかは御天道様次第だな」
『そうですね』
しかし、その後も雨はやむどころか更に激しさを増し、遂には
ドゴォォォォォォォォン
「何事だ!」
秀高は直ぐに飛び起きて、部屋から出る。この時も雨は収まっていなかった。
『殿』
秀高の側に、伊賀衆の忍が現れる。
「状況を」
『はっ。この雨により各地にて地崩れ、氾濫等が一斉に起きております。現状、堺と城は大丈夫です』
「わかった。急ぎ、皆を呼んでくれ」
『はっ』
暫くして屋敷に各省の面々が揃う。
「皆、情報省から知らせは聞いているな。では、これより、災害救難部隊を畿内の各地に派遣する。派遣する地域での不良行為は即刻断罪とする。ここで堺の実力を世に知らしめるぞ」
『『『おぉぉぉぉう』』』
秀高は災害救難部隊を山城、大和、摂津、和泉、河内に四千人ずつ派遣する。この人数は堺の兵と堺城築城の作業員達を双方二千づつ分けた人数である。残りの兵と作業員は各地への物資輸送を担当する。また秀高は忍達に畿内の大名と領主達に書状を送る。その内容は、救難部隊の派遣と支援物資の提供の為、関所の交通許可等を含む書状である。
「物資が整い次第、各隊は出発せよ」
ここに後に語られる。『堺少将の畿内救済』が始まったのである。
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