戦国の世に生まれました。
皆様。
おはようございます。またはこんにちは。はたまたこんばんわ。
作者の久之浜です。
前作の豊臣家による豊国時代から長い月日が経ちましたが二作目になります。
宜しくお願いします。
目を開けるとそこは知らない場所で、体も小さくなっていた。体を起こそうとしても身動きがとりにくく、声を出すことしか出来なかった。
「あう。あう(誰か、いませんか~)」
何度か叫んでようやく誰かが気づいたのか近づいて来るのがわかった。
『ありぁ~。元気だね~高坊。どうしたんだい』
うん。どうやらこの人が俺の母さんのようだ。
『お~い。なか。どうしたんだ?』
男の人の声が聞こえて顔を向けるとそこには男の人が部屋の中に入ってきた。
『あなた。高坊が呼んでたんですよ』
『そうかそうか。そりゃぁ、すまんな。しかし日高は大きくなるのが早いな』
「あうっ。あうっ。(日高?って俺の名前か?俺の前の名前は、、、あれ?なんだっけ?)」
『おっ。日高。このまま成長すればこの木下家も安泰だな』
「あい(よくわからんが、とりあえず返事しておこう)」
俺こと日高と両親との初対面は終了となる。それから三年後、俺に弟が誕生した。弟の名前は日吉という名前だった。
「おとうと(おいおい。ここは尾張国中々村で、姓が木下で日吉てっことは、俺の弟は豊臣秀吉かよ)」
『そうだよ。日高。お前さんの弟だ』
母のなかは日吉を抱いて、俺に見せてくる。その日吉の顔を見た俺は絶対に守らなければならないと心に誓うのである。
それから俺は毎日修練を行うようになった。その修練に村の幼馴染達も徐々に加わるようになり、俺が6歳の時には村全体まで木下日高の直伝の体術などと言われるようになり、中々村の人達は皆、毎日、日高の体術(実を言うとラジオ体操)をするようになった。
「お父。村の皆が、俺の体操を真似してやってる」
『おっ、日高。実を言うとな。あの体操とやらは中々良くてな。仕事する前にやると動きやすいんじゃ。だから皆、やっとるんだ』
「そ、そっか。後、お父。俺、田んぼでやってみたいことが有るんだ。だから、田んぼ貸して」
『田んぼでか?何をするんだ?先ずは教えてくれや』
俺は頭のなかにあった知識を使い米作りをしたいと親父に頼み込んだ。
『ふむ。確かに日高の言っているやり方が出来ればこの上ない豊作となろうな。ん~。よし、やってみい日高』
「あ、ありがとう。お父。頑張ってみるよ」
日高は父弥右衛門から借りた田んぼで、米作りを始めた。
土壌の弄り方は村の大人達に教わりながら土壌を整える。そして今までは米を田んぼに投げて米作りをしていたが、その前に植える米の選別から行った。その後、苗から葉が出るまで植えるのを待ち、ある程度育ったところで田植えを行う。田植えも真っ直ぐ均等に植えるように材木を加工したものを使い、村の人達で一切に田植えを行う。
そして月日が経ち収穫の時期を迎える。
『高。お前の田んぼ他の田んぼに比べて凄く実りがいいな』
日高と父弥右衛門の目の前には立派な稲穂が広がっていた。
「御天道様がよかったからだよお父」
『それもそうだが、この稲穂はまた別だな。他の田んぼより穂の高さが違う。後、米粒の大きさも一回り大きいな。これも、お前が言ってた間隔を均一したお陰だろう。来年の田植えもこのやり方でやろうか』
「その前に稲刈りだね」
『そうだな。よし、始めようか』
そして、今年の稲の収穫量は去年に比べて、1.5倍から2倍の収穫量となった。その情報を村の人達は直ぐ様掴み。日高にやり方の教えを乞いに何度も足を運んだそうだ。その為か翌年の中々村全体の収穫量は2倍以上の成果となった。
しかしそうなると、美味しい臭いに駆けつけて来る奴等が中々村に迫り来るのである。
「(米作りは上手くいったな。これで飢え死にだけは避けられるだろう。でも、こんなに収穫が多いとやっぱり来るよな)」
俺は今後起こりうるであろう問題を簡単に書き出した。
一、米等を狙って、獣達が村に来る
一、獣達が来た際の防御体制がない
一、納める量が多いと今後役人がやってくる
一、役人からもっと寄越せと言われる
一、この村で武士は父弥右衛門(元武士)と他領地から流れてきた浪人が数名程度
色々と挙げていくときりがないため大まかな問題点を俺は弥右衛門に伝える。
『日高。お前って奴は。この村の弱点をよく知ってるじゃないか』
「僕はただこんなこと起こるんじゃないかと思っただけだよ」
『ふむ、確かにその通りだ。役人達や村の防衛の件は次の集会で議題に挙げよう』
そして村の集会で、弥右衛門はこの問題点をどうするか話し合った。
『やはり、領主様に頼むしかないのではないか』
『いや、領主様は村の防衛などに力など貸してくれぬわ』
『む~。ならば、材木で柵を森側に作るしかないのでは』
『材木はどうやって調達する』
『森の木を伐採するしかなかろう』
『それでは逆に獣達が襲ってくるぞ』
集会は白熱の論戦が繰り広げられ、終わりを見せない。
ドンドンドン ドンドンドン
『なんだ。入ってこい』
集会の場所に来たのは弥右衛門の妻のなかだった。
『大変だよ。山から鹿と猪が来て、畑や米倉が』
『『『なんだと』』』
『今、日高と浪人さん達が追っ払いに向かってる』
『日高が!!。あいつはまだ6歳だぞ』
『あんたの部屋の小太刀を差して浪人さん達と行っちまったんだよ』
『くそっ。皆の衆。集会は終わりだ。獣退治にいくぞ』
『『『おう』』』
弥右衛門は一端家に戻り、部屋から使っていた太刀を取り出し腰に差す。その風貌はいかにも武士の風格である。その頃、日高達は猪達と対峙していた。
「獣達を袋小路にします。右翼と左翼、正面の柵持ち隊は少しずつ距離を狭めてください。その間に背後に竹槍隊で蓋をします。その後、浪人さん達は獣達を倒してください」
『『『おう』』』
なぜか、子供の俺が指揮をするはめになり、いま、獣達をやっと追い詰めることが出来た。そして最終的には獣達の断末魔が響き渡ることとなる。
『これは』
弥右衛門達は村の男達を召集し、日高達の元に向かったが既に決着がついて獣の肉を解体していた。
『日高』
「あっ、お父。獣達ならほらこの通り、皆で退治したよ」
日高達が仕留めた獣は鹿3体、猪4体で、中々の大きさであった。その為、解体している肉の量も中々の量である。
「村の人達に均等に分けて配ろうかと思ってるんだけどいいかな?お父」
『あ、あぁぁ。いいとも。日高の好きにしたらいい』
日高は村の人達全員に肉を配った。そして再び獣が村に訪れると村の男達は総出で獣達を狩り、女達はその肉を焼いてご飯と一緒に出すという連携をし始めた。幾月か経つと村の人達の体は他の村などに比べると、丈夫で大きな体つきとなった。日高もよく食べよく動き、よく学び、よく寝る生活をしていたため、7歳になった日高は130cm近くまで身長が伸びていた。
そして今、日高は弥右衛門の部屋で弥右衛門の刀を眺めていた。
「ねぇ、お父。俺、刀作ってみたい」
『刀か?刀ならお父の奴をお前に譲る予定だが』
「それは日吉にあげて。俺は俺の刀を作ってみたい」
『ん~。知り合いの商人に連絡してみるよ。それ次第だな』
「うん」
弥右衛門は武士だった頃に、世話になった熱田の商人に手紙を書いて連絡を取り合った。そして帰って来た返事には簡単に『堺に行くぞ』と記されていた。
そして弥右衛門が日高に堺に行けることを告げた次の日、弥右衛門は倒れてしまった。
誤字脱字。等がありましたら教えて下さい。出来るだけ早く訂正致します。それまでは暖かい目で見守ってください。