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愛してるが故に  作者: あま菊
7/10

七話 夢の中で


 午後八時。戦闘隊の定時時刻になった。


 コンコン。と、食事に行く支度ができた小巻と椿が小町を迎えに来た。


「こーま・・・ありゃ、寝てるね」


「え?あ、本当ですね・・・きっと疲れてるのでしょう」


「ま、いっか。夜見よみ少し遅れるって言ってたから、一時間ぐらい寝かせてあげましょう」


「そうですね」



 ここからは、少し小町の夢の中を見てみよう。


 暑い暑い夏の終わりを告げる金木犀の香り、リンリン。と優しい鈴の音。小町は、ひたすらに柳の下で誰かを待っていた。


「小町っ」


 その聞き覚えのある声は、優しくてとても安心する声だった。


「紅月さんっ!」


 いつもの小町からは、想像が付かない無邪気な笑顔で紅月の胸に飛び込んだ。


 ふんわりと、彼女を包み込むとても優しい暖かな腕、それと同時に金木犀の香りが鼻をくすぐる。


「甘えん坊さんやな・・・困ったさんや」


 全然そんなこと思ってもいなくて、ただ二人の時間を素直に楽しんでいた。


「紅月さん、私ね!!誰よりもアナタを愛しているのよ!!ずっとこのまま・・・時が止まってくれればいいのに」


「俺も愛してる・・・」


 そうして、二人の唇は重なり笑顔でおでこをくっつけた。


 嗚呼、こんなにも素直になれたらどんなに楽だろうか。素直になりたい。こんなにもそう願ったことはなかった。もっと自分が愛想の良い娘だったら、浮気なんてされなかったかもしれない。もっと自分が無邪気に笑えたらこんなことにならなかったのに。


 小町は、夢の中でも現実でも自分を責めて、本当の自分を殺して、隠して生きてきた。それは、今もこれからも変わらない事を何より自分自身が分かっていた。


 それが悔しくても悲しくても仕方ない。彼女には、他の使者たちが持っていない宝物を持っているのだから、それは・・・。


「ん・・・」


 目が覚めるとそこには、愛おしい紅月はじゃなく妹の小巻だ。


「あ、ごめんね。起こしちゃった?風邪、引かないように・・・毛布掛けようとしたの・・・」


「ううん、大丈夫。、最近、スッカリ寝不足よ」


 ふぁ~っと、欠伸を一つ零す小町。


「ふふ。ひぃくんにはお仕事ちゃんとしてって、私から言っておくから」


「あの人は、本当に小巻の言うことしか聞かないんだから困ったものね」


「そうかな~?」


 ふふっ。と、笑う可愛い妹。


 大切にしなくては、守らなければ、この優しい大切な妹・・・宝物を。


「あ、小町!やっと起きた~早く、お腹ペコペコ・・・今なら牛一頭でも入りそうなんだけどっ!!」


「椿さんがいうと本当にそうなりそうで怖いです」


「怖いのは椿じゃなくてその後のお会計よ」


「確かに」


 隊長羽織を置いてはいけない規則になっているので、羽織を着直してもう鈴がついていない刀を差して、小町は隊長室の外へ出て行く。


 外に出ると、じ~んとした暑さと一緒に涼しい風が靡いた。


 ふんわりと香る金木犀の匂い。


「ん~!!いい風!!今年ももう夏は終わりね」


「夏の終わりって・・・なんか寂しいわよね」


「ん?小町、なんか言った?」


「なんでもないわ。さぁ、行きましょう」


 あの夢の続きをいつか見れる日を彼女は待っていた。

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