音のおくりもの
春
昼下がり、音が宙で止まるんだ。
温かくなった空気の土の匂いの中。
息継ぎ無しの歌声が響き渡る。
どこに行ってもっても聞こえるし、どこを探しても見つからないよ。
青い空の高く遠く。
歌い手は・になっている。
ピチクパチクピーピーピンクパチクピーピーピーピチクピーピー。
夏
夜、UFOが出るんだ。
昼の熱気が和らいで、草や木の呼吸の香りがする藍色の夜空から謎の音が!
さぁ 行くぞ! 行くぞ! 行くぞ! さああぁぁぁぁあ!
手持ちの花火が消えて、揺らめく星を見上げても、影も形も見えないな。
ジッジッジー、ジッジッジージッジッジー シューーー ゴ ゴ ゴ ゴ !
秋
夕方、風が見えるんだ。
真っ赤な夕陽に、金の畑。
役目を終えた茎に大きな実り。
ずーっと、ずーっと遠くから、お辞儀のように、波のように。
パタリ、ぱたり。パタリ、ぱたり。
倒れた稲穂が目の前まできたら。
ひゅー、ごごご。びゅー、ごごごぅ。
冬
明け方、音が消えるんだ。
寝坊の太陽はまだお寝む。
暗い、黒い、窓の外。
車の光は見えるのにエンジン音がぜんぜん聴こえない。
急いで外に出ていくと。
結晶が繋いで、集まって。
大鳥の羽のように舞い踊る。
音は羽を揺らして、揺さぶって。
ちっとも前に進まない。
静かで、静かで、静かすぎて。
マイナスの音がささやきだす。
シーーン しーん しんしんしん。
おしまい
デジタル絵本、音本?を目指して。
春はヒバリ パラボラ集音マイクで検索するとイメージに近いものが見れます。
夏は オオジシギ 繁殖期の鳴き声と羽音で。
秋と冬は見つけられませんでした・・・。
ごめんなさい。