最終話 幸せ
あれから一年たった。
「はー。出産したら運が元通りになっちゃったのがなー。妊娠してた頃に戻りたいなー。楽しかったのになー。」
娘のアタリをあやしながらウサミちゃんはぼやいた。
「アタルくん!早く二人目作ろうよ!」
「ウサミちゃん、一人目の妊娠中にスロットはギリギリ許したけど、二人目でスロットはだめだよ。ていうか運目当てで二人目作るのはだめだって。」
「だってー!妊娠中超楽しかったんだもん!運50000って凄いんだね!スロットは出まくりだし、コンビニくじは毎回当たるし、宝くじも五万円当たったし!もう一回経験したい!」
「わかったけど、まだ僕もアタリの世話になれてないし、もう少し先にしようね。」
レイの予想通りウサミちゃんは妊娠していて、妊娠が発覚してすぐ入籍した。今は僕とウサミちゃんとトラジロウと娘の四人家族だ。ウサミちゃんは家事はできるし、トラジロウが小さい頃から世話していたから、育児もそつなくこなすとてもいい奥さんになった。ギャンブル好きが玉にキズだけど、これはもう目をつぶるしかなかった。僕も運だけで生きてるしね。
僕達の娘、アタリは運50000超えの子だ。しかも周りの運気を上げられる。僕の超強運と、トラジロウの体質を混ぜたような子が出来た。ウサミちゃんは低運ではあるが、トラジロウが強運なところから見て、ウサミちゃんの家系はわりと強運のようだ。娘のアタリは見事においしいとこ取りの体質で産まれたのだ。
アタリのおかげなのか、周りもいいことだらけだった。レイはテレビドラマのレギュラーが決まって大忙しだし、(レイは運0だから実力だろうけど。)ハヅキさんの店はさらに繁盛してるし、カナメは論文が大きな賞を取った。カナメとハヅキさんも来年には結婚するらしい。トラジロウは中学受験して無事合格し、僕の母校に通っている。
僕はというと、一年生のころは死神呼ばわりが続いていたが、既婚子持ちになったことで、死神のイメージがかなり薄れた。しかも、去年の学園祭の福引きで一等引いて学内でさらに有名になってしまい、僕の運目当てで寄ってくる人が増えた。宝くじ代わりに買ってとか。当たりがあるか怪しい懸賞にあえて応募してとか、部活の大会のトーナメントのくじ引いてとか、考古学の教授に一緒に遺跡発掘しようとか言われた。バイト代わりに面白そうなのは引き受けて、生活の足しにした。
家族のために一億円使うつもりでいたけど、僕とアタリのおかげなのか、お金が入る機会がいくらでもあるので、一億円はまだ綺麗に残っている。
僕は今とても幸せだ。僕は本当についている。今なら断言できる。だけど、この先、どんなにお金を手にする機会があっても、家族と友達との幸せがずっと続くのだけが僕の望みだ。
それだけは、絶対に揺るがなかった。




