神との交信②
7話!
「私達からの重要な要件は以上です。残りの時間は何か質問があれば私達が答えられる範囲でお答えします」
その女神の問いに二人は考え込んだ
「うーん‥‥‥あっ、では女神様質問なんですが、私は前世で女神様の加護、妖精の加護と世界樹の加護を授かっていました。ですが前世の記憶が解放された際には加護が無かったのですが何故なんでしょう」
「っ!申し訳ありません。忘れていました」
「すまねー。忘れてた!」
そう言うと女神と魔神はもう一度雄吾と空に手を向けた。
“御剣雄吾に女神の加護が掛かりました”
“御剣雄吾に魔神の加護が掛かりました”
“御剣空に女神の加護が掛かりました”
“御剣空に魔神の加護が掛かりました”
「本当に申し訳ありません。先程の質問の答えなのですが加護は肉体に掛かっています。ですので、一度転生なさって肉体が変わっているお二人の加護が無くなっているのです。今の質問をされる前に加護を掛け直そうと思ってはいたのですが忘れていました。本当に申し訳ありません。」
「ハッハッハ女神、お前がまさか忘れるとはな。何度も何度も勇者に謝らなければって言ってたくせに」
「魔神、あなただって忘れていたでしょう。人のこと言えませんよ」
「俺らは人じゃねぇ-けどな」
「分かっています。今のは言葉のあやに決まっ‥‥‥コホン、お見苦しいところを見せてしまい重ね重ね申し訳ありません。他に何か質問はありますか」
女神の答えに魔神がふざけ、女神が言い返そうとするが雄吾と空が見ていることに気が付き、もう一度頭を下げ質問を促した。
「うーん‥‥‥俺の家族は今、どうなっていますか」
「申し訳ありませんユウゴ。一人一人の人間を見ることは特別なことが無い限り出来ませんが私達はこの世界の輪廻も司っています。ですがまだユウゴのご家族の方は見てはいませんので、亡くなってはいないとしか言えません。」
「そうですか。まぁー、死んでないと分かっただけでもありがたいです」
「あっ、じゃー俺の妻と娘はどうなっている?」
「ソーラの家族か‥‥‥。一応、二人とも生きてはいる。だが、‥‥‥。」
「‥‥‥さっき、女神様は一人一人を見ることは出来ないって言ってたな。なのにそんな言い方をするってことは何か特別なことでもあったのか?」
空は質問の答えにに言い淀む魔神に答えを促した。
「ソーラ、お前が前世で使ってた魔王城、覚えているか?」
「あぁ‥‥‥、確か魔神様に加護を貰って称号の魔王に(神)が付いた者が王座の間に入ってやっと動かすことが出来るって言われた。ダンジョンのことだよな?」
「あぁ。俺もそう作ったと思ってたんだがな‥‥‥。実は必要なのは称号に魔王があることと俺が加護を与えているってことで良かったみてぇなんだ。」
「‥‥‥ぅん?別に同じことなんじゃ無いのか」
空は今いる世界で魔族のゾーラとして生きていた頃、魔神から加護を得るずっと前から魔王の称号を持っていて加護を得て魔王(神)に変化した。その頃には称号に魔王があるものは複数いたが魔神の加護を得ているのはゾーラだった頃の家族だけであったので空は何が違うのか気付けなかった。
「えぇーとな‥‥‥、称号に魔王を持つ奴と俺の加護が掛かっている奴は一緒じゃ無くても良くて、二人で同時に王座の間に入りさえすればあのダンジョンはまた動かせるんだ」
「‥‥‥!もしかして、それで俺の妻か娘が!」
「あぁ‥‥‥。魔王の称号を持っているのは多分お前の元部下で、お前の娘が操られて王座の間にその操った奴といるな。お前の妻の方は地下の牢獄に入れられている」
その言葉に空は怒りで震え、手をキツく握りしめた。
「‥‥‥無事なのか」
空は怒りに震えながら何とか声を出し魔神にそう尋ねた。
「‥‥‥安心しろ。お前の元部下はお前の娘に興味がないみたいで手は出していないし、妻の方もお前の元執事が上手いことやって衰弱しているように見せているから手は出されてはいない」
「‥‥‥そうか。ありがとうございます。魔王様」
「いや、このことも本来謝らなければならないことだったな。本当にすまない。だが俺はこれ以上は手を貸してやることは出来ない。お前の娘を利用している奴が同族の魔族でさえ無差別に殺している奴ならお前に名前を教えたり出来たし。お前の娘が今、言ったことをしていれば加護を取り上げたり出来たんだが‥‥‥。」
「いや、さっき教えてくれた情報だけで十分だ。魔神様」
「‥‥‥本当にすまんな‥‥‥」
魔神は改めて空に頭を下げた。
「他に質問はありますか」
「うーん、今のところはすぐには思いつきませんね。‥‥‥空はどうだ?」
「俺も取り敢えず妻と娘のことが聞けたから、取り敢えず今のところは無いな」
「そうですか。では、発動している“神との交信”について説明しておきます。このスキル発動すると私達に会うことが出来ます。ですが発動には時間が掛かり、今回は私達からはお呼びしましたので三時間でしたが次回以降は丸一日つまり、二十四時間掛かります。それに、本来この空間は私達以外の生きている者は本来いられない空間で、私達両方の加護がある貴方たちでやっと存在することが出来ますが先程と同じ理由で次回は五分が限度だと思います。ですが会う時間は何度も発動していれば長くなるとは思います」
「それと俺らも本来、忙しいから会うのは多分どっちかになると思うからな。‥‥‥まー、なんか聞きたいことがあっても、俺らは二人とも神だから問題ねぇーだろ」
特殊スキルの神との交信の説明が終わるとすぐ、今まで白で塗りつぶされていた空間に色がつき始めた。
「では、ユウゴ最後に貴方にメッセージがあります」
「伝言?誰からですか」
「申し訳ありません。名前を言うことは出来ません。ですが貴方ならこの伝言だけで分かるとそのものは言っていました“師匠に会え、あの道は続いてる”以上です」
「‥‥‥師匠に会え、あの道は続いてる‥‥‥分かりました。女神様、もし可能ならばその伝言を言ってきた奴に伝言ありがとうって伝えて下さい」
「はい、伝えて起きます。では、お二人とも私達が言えた義理ではありませんが今度こそ自由に生きて下さい」
「じゃーな。いつでも質問しにきな」
そう言うと女神と魔神の二柱は来たときとは逆に上に上っていった。
「あっ、女神様最後にもう一つ教えてください。前世での私達の闘いは女神様と魔人様のケンカが原因と言っていましたが、そのケンカの原因は何だったんですか」
雄吾は上っていく女神と魔神に大声で質問した。すると既に離れているはずなのに耳元で囁かれている感じで返答が聞こえた。
「‥‥‥プリンです」
そんな耳を疑う声を聞いた直後、周りの景色は雄吾が与えられた部屋に戻っていた。
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雄吾と空と別れていつも仕事をしている神域に戻ると女神は赤くなった顔を両手で覆いうずくまっていた。
「そんなに恥ずかしいなら正直に言わなきゃ良いのに‥‥‥」
うずくまる女神の後ろで魔神が呆れたように声を掛ける。
「うぅー‥‥‥、だって今回は謝罪もあったし質問も言える範囲で正直に言おうって約束したじゃん」
「ハー、そりゃそうだけどよ‥‥‥」
「‥‥‥というかユウゴに言われて思い出した!あの時のプリン返して!」
「いや、もうそれは謝っただろう」
「うー‥‥‥。じゃー、プリン出して!」
「それも無理だって、俺も148年前に異世界の菓子を取り寄せたんたがら後、52年待たないといけないし何より俺だって食いたいもんがあるんだから」
「うー‥‥‥」
そんな風に二柱が口喧嘩していると三つある仕事机の内、唯一書類が溜まっている真ん中の机から声が聞こえてきた。
「あのー、女神様、魔神様戻ってきたのでしたら私に押しつけた書類をやって貰えませんかね」
声の主は本当に疲れた声で話しかけた。
「あっ、ごめんなさい」
「あぁー、すまない。マーク」
次回は閑話です。
女神と魔神の名前は良いのが思いついたら書き直しますがたぶん思いつかないので募集します。ですがおそらく来ないと思うので名無しだと思います。