表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12

眠り姫

雄吾と空は地図を頼りに進んでいき、城の入り口と真逆のにある小高い丘のようになっている場所に出た。


「ユーゴここは?」

「ここは王族の墓だ」


そこは城の入り口から一番離れている場所であり、この国の歴代の王族達が眠っている墓である。


「ちょっと待ってくれ‥‥‥」


そう言うと雄吾はさっき手紙を異次元収納から取り出し、封を切った。すると中からは手紙と赤い液体の入った小瓶も出てきた。


「それは何だ?血のようだが‥‥‥」

「血であってるよ。さっき言ってた出入り口ってのは正確にはこの城が襲われたときに使う脱出路なんだ。でっ、その通路を開くのには王族の血が必要だから多分これはマークの血だろうな」


そう言い、雄吾はその小瓶を握りしめる。


「‥‥‥ユーゴ、ここまで来たらもうその通路から逃げるだけだろだったら手紙を読んでやったらどうだ。俺も、マークって奴がどんなことを書いたのか知りたいしな」

「‥‥‥そうだな。でもここだと誰かにこんなとこにいるのを見られるのは拙いから中で見よう」


そう言うと雄吾は墓のに入っていき、雄吾もそれに続いた。

墓の中も暗かったが外よりまだマシで文字を読む分には十分であり、雄吾は折りたたまれた手紙を開いた。



親愛なるユーゴへ


この手紙をラモンドから受け取って読んでいると言うことはお前は魔王を倒して生きて帰ってきているということだろう。

まずは魔王の討伐お疲れ様。よく帰ってきてくれた。だが俺は兄であるライヤに仕向けられた刺客に殺されてしまった。

お前が帰ってきたら俺は宰相となって支えると俺から約束したのにその約束を守れずにすまなかった。ライヤは父上も母上も俺の後に何だかんだ理由をつけて殺して王座を奪うつもりだと思う。

だからお前も殺される危険がある。例えお前が女神様に選ばれた勇者であっても人間であることは変わりないのだから、お前は俺から破った約束は忘れてくれ。この手紙と一緒に俺の血を入れた小瓶を同封しているから昔、休憩の合間に教えたあの道を使って逃げてくれ。

お前と過ごした日々は本当に楽しかった。同年代の友ができ、俺に目標が出来て叶うことは無かったけれどそれに向かって頑張れたのもお前のおかげだ。本当にありがとう。

最後にお前に一つだけ頼みがある。俺の妹、エマのことだ。エマにある王位継承権はライヤの後だがあいつのことだからエマの命も危ない思う。だから俺はあの道の出口近くに俺が使ってた槍を媒介にしてエマを眠らせた後、魔法を掛けておいた。同封している俺の血には魔力込めておいたからそれをかければ解除される。

あいつはお前に惚れている。だからって結婚しろまでは言わないからせめて、一人の女としての幸せを見つけさせてやってくれ。まぁー、お前が結婚してくれるのが俺には一番だけどな。それにこの国は養えるのであれば平民でも重婚が認められている。エマが良いならお前がずっと言ってた幼馴染みとの重婚も構わないと俺は思っている。

とにかくお前はお前で幸せを掴んでくれ。

追伸 お前を昔この城に連れてきた騎士達は亡くなったり左遷なりでこの城には師匠しか居ないから故郷に逃げてもバレないはずだ。ライヤは知ろうともしてなかったしな


お前の友マーク・フォールキンより


「‥‥‥良い奴だな」

「あぁ‥‥‥」


空は雄吾の後ろから読んでいたのかそう声を掛けられ雄吾は目を擦りながらそう言うことしか出来なかった。

そして雄吾は手紙を異次元収納に入れ、目を瞑り手を合わせ黙祷をすると空は無言で同じように黙祷をした。


「ありがとな。マークに祈ってくれて」

「あぁ‥‥‥、まぁー、元魔王の俺が祈ったところでマークって奴は喜ばねぇーだろうけど」

「それでもだよ」


一分ほど黙祷をして雄吾は空に感謝するが空は肩をすくめながらそう答えた。

そして雄吾と空は道を進んでいき、他の所と違いの無いように見える場所で先程出した小瓶の中の血を少し掛けるとゴゴゴッという音をしながら壁が開き通路が現れた。

雄吾は小瓶をポケットに入れ、その道を進み空もそれに続いた。


「それにしてもよく覚えているな」

「うん?何が」

「この道のことだ。マークって奴に教えて貰ったとしても大体二十年位前だろ。よく覚えていたな」


雄吾が昔この城に来てすぐにこの道を教えて貰ったとして魔王(自分)と最後に闘うまでの期間、そして異世界転生してから今日までを合わせてそのくらいだろうと空は考えた。だからこそいくつもの枝分かれする通路を一度も迷わずに進んでいく雄吾の後ろ姿を見てそう口に出す。


「まぁーな。マークにお前も覚えといた方が良いって言われたのもあるし。師匠が与えてくれた休憩の時によくここでマークやエマとも遊んでたしな」

「‥‥‥それだけで覚えれるもんかぁ?」

「まぁー、できてたからこうして進んでるだろう」


マークの問い掛けに雄吾は後ろを振り向かず前を進みながら答えた。そうして進んでいくと広くなっている場所に出た。この場所は王族達が城の外へと逃げる前に一時休憩する場所であり、緊急時にはそうしている間に出口を確認させるのを手はずになっている


「やっと広いとこに出たな」

「‥‥‥」

「どうした?」


雄吾の後ろから通路を出た空の言葉に雄吾が反応しなかったので尋ねるが雄吾は一点を見つめたままであった。そして空も雄吾が見つめる方を見てみるとそこには一本の槍が地面に刺さっていており、その槍からその後ろには台座のような形の岩を覆うように魔力が包み込んでいた。そしてその上には自分たちと同じ年くらいの女の子が寝かされていた。


「‥‥‥ユーゴ、あの子がエマって奴か?」

「えっ‥‥‥あぁ、そうだな」


そう言うと雄吾はその場所に近づいていき空も後ろからついて行った。

雄吾が近づいてその女の子を見てみると、最後に会った姿からかなり成長しているがその女の子がエマだと確信した。

そしてユーゴはポケットから小瓶を取り出し残しておいたマークの血を地面に刺さっている槍に掛けけると岩ごとエマを包んでいた魔力が霧散して無くなった。だが、魔法が解除されたにも関わらずエマは寝たままであった。


「魔法は解除されたのに寝たままだな」

「さっきのは無魔法の状態を変化させない魔法だったからな。他の魔法も感じないし、さっきの手紙に()()()()って書いてあったから睡眠薬でも飲ましたんじゃないか」


雄吾はエマが寝たままを疑問に思ったが、空がエマを覆っていた魔法と、先程のマークからの手紙に書いてあったことから考えられることを言ってみると納得した。そしてユーゴはエマから目を離し地面に刺さった槍を引き抜いた。そしてそれを片手で持ち穂先から眺めた。


「‥‥‥空、槍術のスキルはあるか?」

「あぁ、あるな。それに昔は物理攻撃で一番鍛えていたな」

「そうか。だったらこの槍使ってくれないか」

「‥‥‥良いのか?」

「あぁ、ほんとは俺が使ってやりたいが槍術のスキルレベルが高くない。それに思い出の品として使わずにいるよりちゃんと使った方が言い気がする」

「‥‥‥そうか。だったら使わせて貰おう」


雄吾は持っていた槍を空に渡し、受け取った空も雄吾と同じように穂先から眺めた。


「超鑑定を使わなくても分かる。これはかなり良い槍だな」

「そうだろうな。確かかなり良い素材を使って作らせたって言ってた気がするな」

「そうか‥‥‥まぁー鑑定は後にするか」

「そうだな」


そう言うと空は槍を異次元収納に入れ、雄吾はエマを優しく抱き上げた。そして雄吾は空に声を掛け、出口に向かって歩き出した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

雄吾が槍に血を掛け魔法を解除した直後エマからほんの少し漏れていて、解除した魔法によって留まっていた魔力が同時に霧散した。魔力というのはこの世界で世界中に漂っている魔素が魔法を使える生物に吸収されることによって魔力となる。この魔素の吸収は動いていても()()行われるが、それよりも休憩時が吸収されやすく、魔力回復スキルがあれば更に速い。そしてその最大量はレベルを上げるしかないが最大量に達した時どうなるのかというと。その体内にある魔力が魔素の吸収量と同量放出されしばらくすると魔素に戻る。さらに一人一人指紋が違うように魔力もまた違いがある。それは攻撃使ったときなどに違いが出ると言ったことはない。ただそれが一人一人を判別するのに使われるくらいだ。


そしてそのエマの魔力を感じ取った生物が反応した。


「GURURURURU」


その生物は嬉しかった三年ぶりにその魔力を感じ取ることができたのだから。

できるだけ早くとか書いておきながら一ヶ月以上もも音沙汰なくすいません。

正直に言います。仕事がしんどい。他の方々は仕事と両立できていると思いますが自分には出来ませんでした。

しかもそれだけでは無く、自分でやる気という名をつけた気まぐれがなかなか起こりませんでした。

次の話もまたいつ出せるかは分かりません。

本当にすいません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ