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思い出話、師匠との再会

すみません少し遅くなりました。


「でっ、本当に道は分かるんだな?」

「あぁ。少し待てよ‥‥‥」

部屋を出てすぐに空に尋ねられ、雄吾は異次元収納から他人から見れば落書きのような物を取り出しながら答えた。


「えーっと‥‥‥こっちだな」


雄吾はそれを数秒見つめ、周りを見てから少し考える素振りを見せると廊下を進み始めた。


「それは?」


空は隣を歩きながら尋ねた。


「俺がまだこの城に来てすぐの頃に第二王子に手伝って貰いながら作った地図さ」

「へぇ~‥‥‥。その第二王子ってのはまさかとは思うけど、今のこの国の国王のあいつじゃないよな」

「当たり前だろう‥‥‥。この国の前国王と第一王妃との間に産まれた。今の国王の腹違いの弟だったマークって奴だ」

「‥‥‥確か、前世でお前を殺した今の国王が今頃は死んでるとか言ってた奴か?」

「‥‥‥あぁ、俺とそいつは同じ年でな。俺が六歳の時に女神の加護と勇者(神)の称号を故郷の村にある協会で得て、半ば強引にこの城に連れてこられたんだ。そして、魔王(お前)を倒す為の特訓がすぐ始まったんだけど、その初めての特訓後に疲れて倒れている時に年子の第一王女と一緒に声を掛けてくれてくれたのがマークさ」


雄吾は進みながら周りにばれな声の大きさで空にマークとの思い出を話した。


辛いときいつも話を聞いてくれたこと。

一人での訓練が辛いと言えば訓練に参加してくれたこと。

与えられた休憩の時にはよく第一王女と一緒に来てこの地図を作ったり色んな話をしたこと。

第一王女も自分が来て約二年後ぐらいからつたないながら光や水魔法での回復魔法を覚え、第一王女が王族としての勉強そっちのけで訓練後に必ずと言って良いほど自分に使ってくれたこと。

そして自分が魔王(お前)を倒す旅に出る数日前に帰ってきたら第一王女を妃にしてユーゴ()を次の国王になってくれと、自分(マーク)は宰相になって(お前)を支えると言われたこと。


雄吾が昔の思い出を楽しそうに話すのを聞きながら空はふと、疑問に思うことがあり質問することにした。


「ふーん、良い奴だったんだな‥‥‥。なのに手紙は出せなかったのか?」

「手紙‥‥‥?あぁ、来たばかりの頃に何度か家族に出そうとしたんだが俺がここに来たときから前国王と前王妃以外の手紙は王子であろうと内容を確認されてて師匠に気を付けろって言われたことがあるんだ」

「へぇー、‥‥‥あれ?何でお前の言う師匠がそんなこと言ったんだ」

「そりゃー、あの頃は師匠はまだ副騎士長だったからな。あの時の騎士長に仕事を押しつけられたんだろうな‥‥‥」

「‥‥‥。なるほどなユーゴの師匠ってのはあいつか」

「‥‥‥。多分、空が想像してるやつで会ってる。‥‥‥っと部屋が変わってなければここだな」


雄吾はドアの前で立ち止まり、音を立てないように開けた。


「‥‥‥やっときたかユーゴ」

「気づいてたんですね」

「そりゃーな」


雄吾は気づかれないように開けたつもりであった。だが、中にいた人物は雄吾たちが来ること自体を気づいていたらしく、ドアを開け目に飛び込んできたのは椅子に座っている雄吾が師匠と呼ぶ人物であった。


「ふぅー、やっぱりラモンド師匠は凄いですね」

「元とはいえ勇者にまだそう言ってもらえるのは嬉しよ、ユーゴ。だけどほんとは謁見の間で目が合わせたときに何となくお前だと思っただけだ」

「‥‥‥それでもすごいですよ」

「ふっ、ありがとよ。とりあえず中に入れ」

「ありがあとうございます」

「失礼する」


そう言い雄吾と空はラモンドの部屋に入り、雄吾とラモンドは握手を交わした。


「まぁー、取り敢えず師匠お久しぶりです」

「まぁーそうだな」

「で、そっちはファミリーネームから察するに兄弟か?」

「あぁ、俺はユーゴとは双子で空って言うんだ。俺もユーゴと同じようにこの世界で生きていたことがある。ユーゴが最後に戦った()()()()と言えば分かるんじゃ無いか」

「‥‥‥なるほどな。まぁー、よろしく。ソラ」


ラモンドはそう言うと空とも握手を交わした。


「‥‥‥師匠、驚かないんですか」


ラモンドが驚かないことに対して雄吾は驚いてしまった。


「驚くも何も、お前が異世界人として生きていた時点で驚いてるよ」

「そ、そうですか」

「ところで、わざわざ()()()に俺の所に来たのはこうして話すためじゃないよな?」

「‥‥‥。よくわかりましたね。俺たちが脱出するって」

「まぁー、元とはいえお前の師匠だったからな。‥‥‥っと言いたいところだがお前らがステータスを偽装して宰相に見せていたからな。ライヤ様の手伝いはしないだろうと思ってた」

「ライヤの手伝い?」

「あぁ、ライヤ様は今以上に自分が贅沢に暮らすために魔族だけでなく、いろんな国々に難癖をつけて金とかを払わせたりする気らしい」

「‥‥‥、あいつならやりかねませんね。俺が仲間と作った剣を俺を殺して奪おうとしたくらいですし」

「‥‥‥。偽の魔王に殺されたって聞いてたが嘘だったようだな」

「そうですね‥‥‥」

「ところでなんで俺たちが偽装してるってわかったんだ」

「そういえば」


雄吾がラモンドの言葉にうなずいていると、空はなぜ自分とユーゴが偽装を使ったのがバレていたのか気になり、雄吾も空の言葉で気が付き尋ねた。雄吾も空もかつて勇者と魔王であったとき誰からも見破られたことはなかった。そのためなぜかわからなかったため非常に気になった。


「‥‥‥わかったのは単純に俺の方がレベルが高いからだとしか言えないな。スキルの鑑定と偽装はレベルに依存するってのは知ってるだろ」

「‥‥‥そうか。俺と空はまだレベル1だから‥‥‥。あれでも俺が勇者の時、師匠俺の偽装、見破れませんでしたよね」

「確かにな‥‥‥」

「‥‥‥」

「‥‥‥」

「‥‥‥」


ラモンドは勇者であった時の雄吾の偽装を見破ることはできなかった。だが謁見の間では見破られた。その疑問に三人が考えていると、空が答えがわかったようにあっと声を出した。


「空、分かったのか?」

「あぁ、考えてみれば単純だ。俺とユーゴが転生する前はそれぞれ魔神と女神の加護を持っていた。だが、転生してまた転移で戻ってきた時にはまだその加護は無かったからじゃないか」

「なるほどな。確かに()()()()()()()()()()()()()()()は無かったしな」

「‥‥‥今すごくやばそうなことが聞こえたんだが‥‥‥」


雄吾の言葉に頭痛がするかのようにラモンドは頭を押さえた。それはそうだ女神様の加護を持っている人物などかつて勇者だった目の前にいるユウゴ以外は知らない。もしかしたらいるかもしれないが数えることができるくらいであろう。しかもそのユウゴが魔人様の加護まで持っており、それと同じ人物が目の前にもう一人いる。これで頭の痛くならない人物がいるだろうか。ラモンドはそこまで考え深く考えるのをやめなかったことにした。


「‥‥‥さっきの話の続きだがな。ライヤ様にはお前らの偽装がバレている。だから俺も長々と話して悪かったが早くこの城を出ろ。特にユーゴのスキルには見たことがない魔法あったからな。お前らと一緒に来た奴らは絶対とは言えないができる限りのことはしてやる。あぁそれとユーゴ、マーク様が死ぬ数日前に俺に預けたお前宛の手紙ある」


そう言うとラモンドはタンスの引き出しから服に挟んであった少し膨らみのある封筒を取り出し雄吾に渡した。


「‥‥‥ありがとうございます」


封筒を受け取った雄吾はすぐにそれを異次元収納にしまった。


「じゃー、すみませんが俺たち行きます。それと俺らと一緒に来た奴らをできる限りで良いんで無茶しないように見てやってて下さい。お願いします」

「俺からも頼む」


雄吾と空はラモンドに深々と頭を下げる。


「任せときな。流石に何もさせないってのは無理だし、さっきも言ったが絶対守ってやるなんて言えないができる限りのことはしてやるよ」

「ありがとうございます。師匠」

「ありがとよ」


雄吾と空は感謝の言葉を口にして、再度頭を下げようとした。


「ほら頭なんか下げなくて良いからさっさとバレないうちに行け」


だが下げる前にラモンドは早く行くように言った。


「あっ師匠、俺の部屋に俺と空の偽の死体を置いてますけどそのままにしておいてください。ライヤに俺らのことが警戒されていても、何かの役に立つかもしれませんので」

「‥‥‥そうか分かった。じゃー元気でな。ユーゴ、ソラ」

「はい、師匠もお元気で。それといつか俺の住んでたところに来てください」

「ラモンド、今度会ったら手合わせを頼む」

「わかったわかった」


雄吾と空はそう言うとラモンドの部屋を出ていき、再度雄吾は地図を取り出して月明かりの中進んでいった。


「ユーゴ‥‥‥、姿は変わったとはいえ生きててよかったな」


ラモンドは二人が角を曲がるまで見守り、そう呟いた。

次回から最新話を書いていきとりあえず雄吾と空の長すぎる一日が終わるまで出します。その後はもうひと作品の方に取り掛かり交互にする予定ですが、ほかの話を出す可能性もありますのでご了承ください。


たった一日の出来事に十話以上もかかってしまい本当にすいません。

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