脱出の準備
周りの景色がもとに戻ったが二人は呆けていた。
「なぁ空、女神様に聞いた最後の質問の答えまさかとは思うけど‥‥‥、プリンって言ってたか?」
「‥‥‥あぁ、言ってたな‥‥‥」
「二人して聞き間違えたってことは‥‥‥」
「確実にプリンって女神は言ってた」
「‥‥‥マジかー」
雄吾は女神からの答えを聞き間違いと思いたかった。だが、それは一緒に聞いていた空によって否定されてしまい頭を抱えてしまうくらいにショックを受けた。
前世でまだ自分が5,6歳の時に家族達と引き離されて、この城に連れてこられて戦い方を教え込まれた。仲良くしてくれる奴らや師匠が出来たとはいえ、最低限の戦いの基礎がができるようになるとすぐ実践に放り込まれた。ほぼ毎日魔物を殺し、たまに出てくる魔獣に殺され掛け、7歳にして動けなくさせてたとはいえ盗賊討伐つまり人殺しをさせられ、そばに誰かがいなければ悪夢を見て何度も目が覚め、熟睡することが出来なかった。だが、そのおかげでレベルも上がり魔族に襲われている場所に向かいその魔族たちや魔族に使役されている多くの魔物を殺し、その中で裏切ったライヤ以外にも仲間もできた。そしてその仲間とともにかつて魔王であった空とも何度も戦い、女神からは止めても良いと言われたが最後には魔王城で空に闘いに挑んだ。
なのにその原因が予想だにしなかったプリン。おそらくは女神様が自分で食べようとしていたプリンを魔神様に食べられたとかだろけどと雄吾は完璧に正解を言い当てたが本当に自分の前世は何だったんだろうと深く考えてしまい更に落ち込んだ。
その落ち込む雄吾の肩に空は片手を置いた。
「雄吾、深く考えるのはよそう」
雄吾が振りかえると死んだ目をした空が首を振りながらそう言ってきた。
「‥‥‥そうだな」
空も前世では自分よりかなり年上だったとは言え、今は自分と同じ気持ちなのだろうとその目から感じた雄吾はそう言うしか無かった。
「取り敢えず、俺はここを出るけど空はどうする?」
「うん?俺もここは出ようと思っているけど、でもここは王城で今は夜だし出入り口は閉じてるだろう。まぁ、夜警の騎士とかは闇魔法で気絶なりさせれば良いけど‥‥‥。あと、他の奴らはどうする?」
「出入り口に関してはさっき女神様が伝えてくれた伝言で言ってた道を使う。他の奴らに関しては今は連れて行けないだろう」
「‥‥‥理由は」
「俺らが転生したなんてラノベみたいなこと誰が信じる?それにライヤが信じられないっていっても優と正義は特にライヤの話を聞いてからにしようって言ってくるだろう。それに、こっちの世界では自分の命は自分で守るのが常識だけど、途中で死なれて文句言われるのもゴメンだからな。」
「‥‥‥菜乃花はどうするんだ?お前好かれてるだろ」
「逆に聞くけど、桜さんはどうするんだ」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「取り敢えず、まずはお互いのステータスを確認するか」
「そうだな」
お互いに好かれている人のことは後回しにして雄吾と空はステータスと口に出しステータスを表示させた。
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御剣 雄吾 17歳 人族人間種(異世界人) 男
レベル 1
体力 350/350
魔力 200/200
武力 300
俊敏 300
魔耐 250
、を取得しました”
“称号を取得しました”
スキル 料理LvⅧ、掃除LvⅦ、近接格闘術LvⅧ、勇者の威光Lv-、状態異常耐性LvⅧ、限界突破LvⅧ、全属性魔法LvⅥ、超偽装、超鑑定、異次元収納
特殊スキル(本人以外確認不可 現在on)
前世の記憶(完全開放)、神との交信(‐‐:‐‐:‐‐)
称号 勇者、魔獣の友、妖精族の友、世界樹の守り手、魔物の厄災、魔族の敵、魔王(神)殺し、全属性使い
加護 女神の加護、魔神の加護
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御剣 空 17歳 人族人間種(異世界人) 男
レベル 1
体力 250/250
魔力 350/350
武力 250
俊敏 250
魔耐 350
スキル 料理LvⅦ、掃除LvⅨ、近接格闘術LvⅧ、魔王の威圧Lv-、使役術LvⅦ、状態異常無効、全属性魔法LvⅦ、超偽装、超鑑定、異次元収納
特殊スキル(本人以外確認不可 現在:on)
前世の記憶(一部解放詰み)、神との交信(2:53:55)
称号 魔物使い、魔物の厄災、愛妻家、親馬鹿、魔王、人族の敵、嫌われ者、全属性使い
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「うーん‥‥‥お互いの見ても今すぐ確認しないといけないのは無いな」
「‥‥‥空、異次元収納を意識してみろよ」
「?‥‥‥なんかあるのか?」
「あぁ女神様達、前世でアイテムボックスに入れたままになってたものをそのままにしてくれてる」
「マジかよ」
そう言うと空は異次元収納の意識した。するとステータス画面が異次元収納に切り替わった。
異次元収納(雄吾)
剣先の折れた剣
折れた剣の剣先(聖剣の力)
短剣×8
財布(銀貨5枚、銅貨3枚)
干し肉×5
手作りの地図
異世界の食材が入った袋
異世界のカバン
異世界の道具
異世界の衣服
異次元収納(空)
ゴブリンの死体
オークの死体
オーガの死体
手作りのお守り
似顔絵
異世界の食材が入った袋
異世界のカバン
異世界の道具
異世界の衣服
「取り敢えず子供のころ作った地図はあるから確実に脱出は出来るな。空そっちはなんか良いのあるか?」
「あぁ、あった。俺らを死んだと偽装できる」
「‥‥‥、そこまでする必要あるか?」
「何言ってんだ。ライヤだっけか?あいつは俺から見ても信用できない。だったら俺達以外の奴らにも最低でも疑問をもたせるために俺らの死体を作っておくんだよ」
空のその言葉に雄吾は一瞬考えたがすぐに答えは出た。
「俺らは来たばっかりだからこの城以外に知っている奴はいない。逆に言えば俺らの死体が見つかれば怪しまれるのはこの城の奴らってことか?」
「あぁ、ついでに俺らが死体で見つかれば俺らが数値を合わせた奴も殺されるかもって思って必死になるだろうよ」
「なるほどな。‥‥‥っで、どうやって死体を作るんだ」
「まぁー、見てろ」
そう言うと空は異次元収納から魔物の死体を二体取り出した。
「これ少し小柄だけどオーガだよな。こんなのどうすんだ?」
「だから見てろって『シャドーウォーリヤ』」
空はオーガの死体の片方に手を向け、闇魔法で使うことのできる魔法を唱えた。するとそのオーガの死体全体がうごめき始め、そのうごめきが止まるとオーガのその姿は空の姿と同一になっていた。
「空、これってもしかしてお前の偽物を作る魔法か?」
「あぁ、これは魔法を掛けた本人の姿に変化させる魔法だ。だからユーゴももう一体の方に魔法をかけろ。本来は確か、自分の姿に変化させたい魔物とかに手をかざして『その姿を変化させ、わが影武者となれ。シャドーウォーリヤ』‥‥‥だったはずだ。まぁ一度、無詠唱でやってみてダメだったら今のを唱えてみな」
「分かった。‥‥‥『シャドーウォーリヤ』」
空に言われ、雄吾も同じようにオーガの死体に手を向けて無詠唱でやってみると、先程と同じように問題なくオーガの死体に変化が起こり雄吾の姿になった。
「ふぅ、じゃーこれにタンスにある服を着せて、ベッドに寝かせて首元でも切っておくか。自分の姿をした奴の首を切るなんて変な感じだけど。空のももうここで死んだように見せれば良いんじゃ無いか」
「そうだな。さっさと出るべきだし、他の奴らに見つかると厄介だしな」
そう言うと二人は会話を止め、雄吾は自分の姿をしたオーガをベッドに寝かせ、空は自分の姿をしたオーガを椅子に座らせてそれぞれ返り血を浴びないように首元を切った。
「じゃー、行くか」
「そうだな」
そして二人は音を立てないようにドアを開けて部屋を出て行った。
次で10話なのにまだ1日目が終わっていないという文章力のなさ申し訳ありません。取り敢えずこの1日目が終われば(第一章はまだ続きます)もう一作品の方を進めていき、交互に進めたいと思っています。どうかご理解下さい。