プロローグ①
初連載投稿!
どうもオカリンです。
不定期連載カメ更新ですがよろしくお願いします!
東側の空が白み始める中、遂に勇者と魔王の闘いが終わりを迎えた。
その場所は魔王城の最上階にある魔王謁見の間である。その場所には満身創痍ながらなんとか立っている人族の男と左肩から右脇腹にかけて大きな傷を負い、倒れている魔族の男がいた。
立っている人族の男は仲間と共にこの魔王城までやってきた女神から加護を得た勇者であるユーゴ、倒れている魔族の男は魔神から加護を得ていた魔王ゾーラ。
二人の戦いは半日にも及ぶ一騎打ちの闘いであった。勇者の仲間達がこの部屋に一緒に入ることが出来ていれば、もっと早く倒せていたかもしれない。だがこの部屋に入る前の場所でゾーラの執事と幹部達に足止めを喰らっていた。
キーン、ドサッ
「ハァー、ハァー、‥‥‥やっと、終わった‥‥‥」
ユーゴは持っていた剣先が折れている剣を音を立てながら片手と共に床に置きながら座り込んだ。何とか座り込んだ姿勢を維持していると魔王との戦いで空いた壁の穴から朝日が差し込み、剣を持ちながら身体を支えている手と逆の手で顔に当たる朝日を遮り、眩しそうに目を細めた。すると、
ガコッ、ゴゴゴ
と言う音と共に扉が開き一人の男がミスリルの短剣を携えながら入ってきた。
「ユーゴ無事か!」
「‥‥‥ライヤか?」
入ってきたのはフォールキン王国の第一王子ライヤ・フォーキンである。
「あぁー。俺は無事だし何とか魔王は倒したよ」
「‥‥‥そうか、ついにやったな」
「‥‥‥まー、そうだな‥‥‥」
「‥‥‥どうした?」
「‥‥‥いや、何もないよ」
「そうか?まー、ほらよ」
ライヤはユーゴの言葉に首をかしげながら何でも無いと聞き、座り込んでいるユーゴに手を差し伸べた。
「ありがとう」
ユーゴはそう言いながら差し出された手を掴み、引かれるがまま身体を起こすが魔王との戦いの疲労もありそのままライヤに身体を預ける形になってしまった。
「‥‥‥スマン。疲れてて自分で身体を支えられなかった」
ユーゴは気まずい顔をしながらそう言うと
「まー、確かに野郎に身体を預けられるのは嫌だな」
「本当にスマン‥‥‥」
「まーでもこれはこれで殺り易いな」
「えっ‥‥‥」
ライヤの言葉のすぐ後に左脇腹に感じる焼けるような傷み、その感覚からすぐに刺されたと思い、ユーゴは何とか手を動かしてライヤを押し退けようとした。
だが魔王との戦いの疲労があまりにもひどくユーゴの方が倒れてしまいそうになるのとと同時にヒヤッとした感覚を首元に感じ、そのまま倒れてしまったことで首元に添えられていたミスリルの短剣が首を切り裂いてしまった。
「グッ‥‥‥」
「ハハハッ、ユーゴ無様だな!」
「ラ、ライヤ‥‥‥何の、つもりだ‥‥‥」
ユーゴは首元を押さえながら怒気を込めた声で質問をする。
「何のつもりかって?お前が生きているのが悪いのさ。お前なんかに国王の座は渡さない」
「国王の、座だと‥‥‥そんなことのために‥‥‥」
「そんなことだと!お前に俺の気持ちは分かるまい!平民のくせに、勇者だからって次期国王は父上も母上も皆、お前だって言ってる」
「俺は‥‥‥王座なんて、興味ない‥‥‥。それに、俺を、殺したところで‥‥‥マークがいるから‥‥‥」
「ふんっあの愚弟は今頃、死んでるだろうさ。バカな奴だよ、あいつもお前を国王にして、お前の役に立つなんて言い出さなきゃ、ベッドからでられないくらいの大怪我ですませてやったのにな」
ユーゴはその言葉に目を見開く。ライヤの腹違いである弟の王位継承権第一位第二王子のマークはフォーキン王国国王の第一王妃の息子であり大変優秀であった。ユーゴとは同じ年齢だったこともあり仲が良かった。
そしてユーゴが魔王を倒すための実践と仲間集めの旅に出る直前、マークはユーゴが魔王を倒して戻ってきたときにはユーゴを英雄としてフォーキン王国の国王にし、自身は宰相となりユーゴを支えていくと言った。
「お前が死んでもあいつがいたら俺は国王になれないからな」
「グッ‥‥‥」
ライヤはユーゴをけり飛ばしてうつ伏せにした。
「取り敢えず聖剣は貰っておく。これはもともとフォーキン王国に代々伝わっていたものだからな。あと、そっちの折れた剣も貰っておこうかな?折れていても材料になったのは良いものばかりだしお前が使ってた剣だから言い値で売れるだろう」
ライヤはユーゴのそばにある剣先の折れた剣を拾おうとかがみ込んだがユーゴが先に手を伸ばし自身のスキルであるアイテムボックスの中に入れた。
「悪いけど‥‥‥これは渡さない。これは‥‥‥仲間たち皆と、作った、ものだからな‥‥‥」
「───ッ、出しやがれ!」
「グッ、‥‥‥嫌‥‥‥だね」
「‥‥‥まーいい。聖剣さえ手に入れば。じゃーな、ユーゴ」
「グッ‥‥‥」
ライヤはユーゴの背中から心臓のある位置に短剣を刺し去っていった。
「ハァー、ハァー‥‥‥。クソ‥‥‥が‥‥‥」
ユーゴには女神の加護がある。だからといってユーゴが人間であることには変わりない。加護のお陰でギリギリで生きているが、それも後数分保てば良いものだろう。そうしてうつ伏せになって苦しんでいると
「ハァー、ハァー‥‥‥。仲間に、裏切られるなんて‥‥‥無様だな、勇者よ」
途切れゆく意識の中その声は聞こえてきた。
「まだ、生きてるのかよ‥‥‥。魔王‥‥‥」
ライヤが第一王子なのに兄がいると言う発言があったので修正しました。
まだ一話ですが面白そうと思ったら良い評価をお願いします。嬉しくなって更新頑張る‥‥かも?あと感想もお願いします。