第1話 俺の嫁登場!?
「お兄ちゃん!朝だよ!!起きて〜!」俺の妹、清水 美結が俺の部屋に入って起こしにきたみたいだ。
昔のこと思い出してたらいつの間にか寝落ちしてたのか。まだ頭がぼーっとしているが妹が起こしていることは認識できた。
うむ、妹が起こしにくるシチュエーションというのは聞こえはいいがあいにくこれは妹がメインヒロインのラブコメでもなければ二次元でもない。
だから俺は興奮することなく起きた。
「おはよう、美結。朝ごはん食べるか。」
「うん!食べる!」
美結は元気な声でそう言って俺とリビングへ向かった。
「おはよう〜、幹彦、美結」
俺の母さん清水 真美が朝ごはんをつくってくれていた。
父は俺が小さいときに事故で亡くなっている。
だから俺は女手一つで俺と美結をここまで育ててくれた母さんにはとても感謝している。
ピンポーン
俺が朝ごはんを食べ終わりそうなときに家のインターホンがなった。あいつか......
俺の小学校からの幼なじみ松浦 朱音だ。家が隣で親同士も仲がいいというのもあって小さい頃から一緒にいた。
高校も同じと知ったときは正直びっくりした。
「幹彦〜!学校行くわよ〜!」
俺はまだ準備ができていないにもかかわらず朱音は俺を呼び続けた。
「み〜き〜ひ〜こ〜!」
ガチャッ!俺は思いっきりドアを開けた。
「うるさい、まだ準備してないんだから先行ってろよ」
「は〜い」
ふぅ、朝から疲れるな。そんなことを思いながら準備を終わらせた。
「行ってくるね、彩火ちゃん♪」
俺はアニメ『俺の彼女はかわいすぎ!』に登場する俺の嫁、月見里 彩火ちゃんに愛の言葉を捧げた。よし、今日も1日がんばれそうだ!
そう思い後ろを振り向いたら、
「お兄ちゃん、また変なことしてる...」
美結が不安そうな、そして少し引いた顔でこっちをみていた................................................恥ずかしい!
「べ、べつにいいだろっ!は、はやく学校に行ってこい!遅刻するぞ!」
ほんとに朝から疲れるなぁ。
まぁ気を取り直して学校に行くか。
ガチャッ。今度はゆっくりとドアを開けた。
ドアをでた先には朱音がまだいた。
「先行ってろって言っただろ」
「わすれたっ」満面の笑みで言った。
そんな顔で言われると反応に困るんだよ少女よ。
結局一緒に登校することになったのだが、
「そういえば朱音ってなんで光凰高校に入学したんだ?学力的には近いかもしれないけどもっと近くでも同じくらいのところはあるだろ?」
「へっ!?え〜っと〜、あ、そうだ!高校でびゅーだよ高校でびゅー!あたしも高校生になったら新しい自分にうまれかわろうと思ったわけよ」
そうだ?
「まぁ俺と似たような感じか」
「幹彦は中学でやらかしちゃったもんねぇ〜」
ニヤニヤしながら言ってるけど俺的にはほんと笑えない話だからな?
まぁだけど、朱音はあんなことがあったあとでも変わらずに接してくれた。他の女子はほとんど俺を避けたりしていたのに。だから、そこはちょっとだけ嬉しかった、なんてこともあった。
「それはさておき時間があまりないから急ぐぞ!」
俺は話を逸らした。時間がないのはほんとだ。
「話そらした〜あっでも時間たしかにあんまりないじゃん!急ごっ!」俺達は早歩きでなんとか間に合った。
退屈な授業も終わり、帰りの用意をすると俺の一番仲のいい友達の多部 勇樹と一緒に帰った。
多部とは高校で知り合って好きなアニメのジャンルがよくかぶり、話も合う。体型は、まぁ普通だな。
多部と話しながら帰って俺は家が遠いのもあって電車通学だから駅でわかれた。
「まぁ、いつも通りだよな」
俺はそう呟いた。
そう、いつも通りだ。
いつも通りに起きて、いつも通りに学校に行き、いつも通りに授業を受け、いつも通りに帰る。
それは当たり前のことであってこうやって思い返すほどのことではない。
だけど俺は、まぁ年頃だってのもあるかもしれないけど、やっぱり非日常があったりしてほしいなと思う。
アニメをみてても、バトルシーンがカッコイイから俺もやってみたい。こんな面白い学校あるならいってみたい。ラブコメ人生に憧れるetc......
そんなことを思っていたらいつの間にか家の前に着いていた。
「ただいま」
俺は自分の部屋にいき録画していたアニメ一覧をみた。
「う〜ん、もう一回オレカノ!(俺の彼女はかわいすぎ!の略)1話からみるか」
そう言って俺はリモコンでオレカノ!の1話のところで軽やかな指で決定ボタンを押した。
大体1話の三分の二くらいが終わったくらいのころだろうか?
事件が起きた。
アニメをみていたのに急にTVが止まってしまったのである。
TV画面は彩火ちゃんの全体が上手く映るように止まっていた。
「な、なんだこれ?このTVそんな古くないはずだけどな。」
そう言って俺はどこか故障しているのかと思い、TVに顔を近づけた。
すると、TV画面が光り、俺の目は開けることができなくなるくらいの輝きを放った。
「眩しい!!どうなってるんだ!?」
どうにかして目を開けようとしてほんの少し瞼を上げるとうっすらと美少女が見えた。
その美少女は段々と近づいてくるような気がきてきた。
そして、
「いてっ!」「いたっ!」痛いという声が2つ重なった............................................................2つ?
気がつけばTV画面から光は消えていて電源も切れていた。
「なんだったんだよ、今の」俺はぶつけた頭をおさえながらそう言って体をおこして、目を開けた。
俺が目を開けた。俺の目の前にあった光景はあまりにも日常とはかけ離れていた。
「う、うそ......だろ......?」
有り得ないかもしれないが、俺の目の前にいたのは
彩火ちゃんだった