9 依頼道中①
細々した更新が続くかもしれません。
盗賊が潜んでいる場所……、魔物の巣窟となっている洞窟は王都より馬車で二日ほどの位置にあるらしい。
リク、エリス、ノクファイト、セネカ、ヴァルカの五人はギルドに借りた馬車でその場所へ向かっていた。
すでに王都を出てから数時間が経過していて、一度だけ魔物と遭遇した。数匹の蛇の魔物だった。ほとんどがただの蛇で、違うところといえば少し鱗が固いくらいであるため全部切り捨てた。こんなものが切れない壬生ブランドではない。
のどかだ。
「エリスさんは旅人だよね。 なんで冒険証もってないの? フードもずっと外さないし、訳あり?」
「ヴァルカ、すこしデリカシーというものが欠けすぎておる質問ではないかの?」
「……気にしないでいい。実際に訳ありだから」
「あー、そっか! ごめんね!」
「……ん」
御者をノクファイトが務め、隣にリクが。荷台にはエリスとヴァルカ、セネカがおり、話し声が聴こえてくる。
「貴方は。リク殿は、いつごろに師匠と知りあったのだ」
「ずっと前だよ。昔って言ってもいいかもな」
「そうか、私よりも付き合いは長いのだろうな。貴方はだいぶ若く見えるが……」
「見た目なんて気安めの指標にしかならんだろう。君の師匠もな」
「ああ。私の師匠もだ」
男二人、ほんの小さく、笑いあった。
とてものどかだ。昼時でまわりが草原だから、というのもあるだろうが人数多めのパーティだと安心感も大きい。
二匹の馬が引いているため、馬車は安定していて、その分は荷台も大きく後ろの三人のほかに食料などの荷物やそれぞれの武具が乗せられている。
リクは常に帯剣しており、ノクファイトも背中側、腰に二本の小太刀を佩いている。
リクの剣はノクファイトに手入れをしてもらったことによりコンディションがとてもいいように思う。師弟というのは本当のようだ。
エリスも魔剣は常に佩いているが、盗賊相手とはいえ、即死させてしまうエリスの魔剣は危険すぎる。仲間に掠ってしまってはどうにもならない。というわけで戦闘中は工房にあった短剣を貸して貰うことになっている。
本当に貰うことはできないだろうか。見た感じでは相当に値が張る物だろう。ノクファイトが打ったのだろうか。
その貸し出されたエリスの短剣、ヴァニカの攻撃用の手甲。それとセニカが乗っていた大きな杖と短杖が後ろに積み込まれている。他にはちょっとした防具なんかも。
かなりの重装備だ。
王都を出発するときに聞いたことだが、ノクファイトたちは三人共が銀等級冒険者らしい。そのときに自分が金等級だということをノクファイトたちに知らせていなかったことに気づいた。言うと驚いていたが、クノカクの壬生ブランド武器は金等級くらいでないと打ってもらえないのだ。まあそれだけ金等級が珍しいのもあるだろうが。
ちなみにエリスはそのとき門から、ギルドの臨時冒険証をつかい堂々と出国した。
やっぱり便利だし、冒険証つくろう。