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コミュ障と大学生活  作者: 片嶋 耕也
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コミュ障とバイト

 大学生になれば、たいていの人はバイトをする。目的は金を稼ぐことにあるのだが、それだけではなく社会勉強のためや出会いを求めてバイトをする人もいる。


桜木も俺もバイトをしている。桜木は高校の時から地元のスーパーのバイトをしていて、今もそこで働いている。俺も大学の近くにあるスーパーでバイトをしている。スーパーでバイトしていると、お客さんから話しかけることがある。その度に俺は、桜木は話しかけられたらどうしているのか気になっていた。

 「今日はバイト、面倒くさい」

と電車の中で桜木がつぶやいた。

「俺も今日バイトだよ。……桜木、スーパーでバイトしてたよな」

「ああ、今年で4年目」

「なんで、そんなにつづけていられているの」

「別に理由はないよ」と桜木は素気なく答えた。

「でも知らないお客さんに話しかけられないの「この商品はどこにありますか」とか」

「うーん、そういうコミュ力が必要なことは全部後輩に任せてるし、俺は大体裏で作業している」

「えっ先輩とか社員に頼まずに後輩にまかせるの?」

「そう、先輩は仲悪いし、社員はあれだし、後輩なら別に任せても困らない」

俺は桜木が言っていることが理解できなかった。

「困らないってだれが困らないの」

「俺だよ」と顔を上げて自信満々に桜木はいった。

俺は少しの間、言葉を失った。

「まじで、言っての、後輩が困るだろ、それにお前先輩だろ、」

「あのね、何がいけないの」

と俺の目をじっと見つめて言ってきた。これ以上何も聞くな、聞いても無駄とその目で訴えている。そして考えた、桜木は自分が言っていることやっている事に疑問をあまりもっていない。周りの意見や評価などを気にせずに、桜木は、それでこれまでうまくやってきたのだろう。

 

 桜木と別れてから、家によらずににバイトに行った。時間ぎりぎりだったので、いそいで着替えた。そして庶務室でタイムカードをきって店長に挨拶をした。

「おはようございます、店長」

「おはよう」

店長はいい人である。あまり会話はしないけど、たまに休憩中に飲み物をおごってくれる。ここは地元のスーパーで、自分が小さい時から使っていたところだ。だからバイトを始めてすぐに慣れた。知り合いもいて、新人の頃、仕事内容を教えてくれた先輩も中学校の時の部活の先輩だった。仕事内容は主に品出しと清掃である。清掃は慣れるまで、結構きつかった。慣れたら、においとか気にならなくなった。

 今日は新しく入ってくる子がいて、俺がその子に清掃を教えるのだ。

「木野君、こっちにきて」

店長に呼ばれた

「この子が新しい子だから、よろしくね」

「川田です、お願いします」

俺はまず驚いた。清掃だから男性だろうと考えていたから、新人が女性とは考えていなかった。それにふつうにきれいで、自分はいくらか嬉しさを隠せなかった。

 ただ、左手の薬指に指輪がはめられていた。


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