表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ障と大学生活  作者: 片嶋 耕也
2/5

 出会い



 桜木との出会いは、大学の入学式のあとである。入学式が終わるとガイダンスがあり、クラスごとに分かれる。その時使った教室は自分が通っていた高校の教室を少しきれいした感じだったので物怖じずに入れた。そこで桜木に出会う。

 クラスの先生がガイダンスなどでは説明しなかったことを詳しく説明したりして、それらが終わると先生が

 「じゃあ、皆自己紹介をしようか」

 この言葉に俺も含めてクラスの大半は、少し緊張が高まった。そう、ここで大学生をおくる上で大切な『コミュ力』が試されるのである。ここでしくじれば大学生活は死んだも同然である。だから、無駄に目立たずに自己紹介をするのがベストである。

 ほとんどのクラスメイトは「私・自分はコミュ障なので話かけてください」という自己紹介でのもっとも便利なフレーズを使っていた。このフレーズは自分の位置を低くし、相手から話かけやすくするものである。しかし俺はこのフレーズが嫌いである。嫌いな理由は少し姑息だなと感じてしまうからである。

クラスメイトはみんな無難に自己紹介をした。ただ桜木を除いて。

桜木の自己紹介はとても『ずれていた』。

「名前は桜木 芳樹といいます。趣味はアニメ鑑賞です。ニックネームはチェリモクでもいいです。どうぞよろしくお願いいたします。」

先生も含めてみんな「チェリモクってなんだ?」と考えたが、誰も分かってなさそうなのを先生が感じて、桜木に質問をした。

 「桜木君、チェリモクって何」

 「あ、あの・・桜の英語のチェリーブロッサムからチェリを取り、木はモクとも読むのでそれらを合わせてチェリモクです」

それを聞いてみんな理解して合点がいった様子だった。俺は正直、あほだなと思った。

みんなの自己紹介が終わるとみんな連絡先の交換をした。そのあとクラスごとの説明は終わり、解散した。


 帰り道

不思議なことに、俺は桜木と友達になりたいとおもった。だから途中まで電車が同じだった桜木と途中まで一緒に帰った。その時は、ほとんど俺が一方的に話をして終わった。たまに小さな声で返事をしてくれた。クラスの自己紹介の話になった時

「みんなすごいな」と桜木はすこし強調して言った。この言葉が本気で言ったのか、それとも皮肉で言ったのか俺には分からなかった。

これが桜木と出会いである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ