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食材世界  作者: 坂戸樹水&十月由弥
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人間関係を食材に置きかえて書いてみました。


主人公はプチトマト。プチトマトはプチトマトなりに悩みがある。

友達が欲しかったり、プチトマトとして成功したかったり。

そんなプチトマトの日常物語。

ネガティブですが頑張ってます。





 この地球は、食材が住まう。

沢山の食材が、意志を持って生活している。


 プチトマトである私は『キミは甘すぎるんだ』何て、上司のレモンに毎日どやされるんだけど、

どの辺が甘いのかサッパリ分からないから聞き流す。

コロコロ転がってたまに傷を作ってしまうのだけど、自然や世界ってそんなものでキレイばっかりじゃいられない。

トマトなのに、何だか錆びそう。(トマトは酵酸化作用があるのにね)


 そんなある日、幼馴染みの伊勢海老チャンが私のハウスに遊びに来た。



「私、結婚するの!」



 この第一声には驚いたけど、わざわざ報告しに来てくれたんだ。

何か、嬉しい。


「へぇ、おめでとう! お相手は?」

「サーロイン君!」

「そう! って、……え? サーロイン君と?」


 伊勢海老チャンとサーロイン君は、食材祭りで知り合った。

お互い名品だった事もあって、意識しあったみたいで、

アッと言う間に意気投合して、アッと言う間に付き合う事になったっけ。

ちなみに、私もその食材祭りに呼ばれてチョロっ添え物で参加したのだけど、

誰にも見向きされずに終わってしまった。


 私、物見知りなんだ。


「プチトマトぉ、式には必ず出席してね!」

「勿論だよ!」


 幼馴染みの晴れ舞台。見ないわけにはいかないよ。

名品である伊勢海老チャンの友達として、恥じる事なく、キレイに磨いてピカピカにして行こう!



*



 式の当日は天気も良くて、海をバックに伊勢海老チャンはキレイに輝いて、何だか安心した。

実は、サーロイン君との結婚を聞いた時、私は ちょっと、何て云うか……


 合うのかな? って。そんな風に思ったから。


 だって、そりゃ、サーロイン君は肉業界では注目を浴びているけれど、

伊勢海老チャンだって、海老業界では目立つ存在で……

その辺はお似合いなのだけど……

トマト業界ではプチな私が、兎や角 云う事じゃないけれど……


「質が合わないって言うか……」


 思わず口から飛び出していた、私の独り言。あぁ良かった、誰も聞いてない。

折角の良き日だもの、2人の門出を祝う事に専念しよう。


そうして、お祝いも二次会になれば、何となく場の空気に飲まれる。

友達の1人くらい出来ないかな……贅沢を言えば、ステキな方とお会いしたい。

私だって、恋愛したい。


 例えば、長ネギのような渋い方。逆に、金柑のように、私と目線が合う方。

そんな方を期待しちゃう。

だから、物見知りは隠して、なるべく多くの皆サンとスキンシップ。

笑顔。笑顔。笑顔。それなのに……


「隣に座ってもイイかなぁ?」

「え!? ぁ、はい! どうぞ!」


 何故か、たまごチャンとお友達になっちゃった。


 でもね、このたまごチャン、とてもステキな たまご何だ。

真っ白でツルツルで、ちょっとやそっとじゃ傷にもならないような美しさ。

磨き抜かれている! そんな感じがした。『お姉サマ』と呼びたい。

ステキな彼氏候補とは出会えなかったけれど、ステキな友達が出来たから、

今日の結婚式に来て本当に良かったと思う。頑張って笑顔でいて、良かったと思う。


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