報われた?
「高橋、大丈夫か?」
先に外に出ていた晴行が、フラフラと警察を後にした僕に駆け寄った。
「うん、悪かったな。いろいろと。」
「いや、なんか困ったことあったら、頼ってくれよ」
「あぁ。ありがとう。でも、しばらく、一人で気持ちの整理をつけたいから・・」
そう言い残して、僕は一人街を歩いた。
茜音は死んだ。もう、この世界にはいない。帰ってこない。誰かに殺された・・誰に?そいつは、のうのうと生きてるのか?茜音を殺しておいて?
「あぁ・・そうか。欲しいものは自分だけのものにしておかなきゃ・・・・他人に取られる前に・・・・」
すべてが吹っ切れた気がした。そう、茜音が殺されたのは、自分が守って、自分のものにしていなかったからなのだと。
”大切なものはこの手で・・・"
****+****
『マンションの一室で男性の遺体発見』
何気なく、TVを着けるとそんなニュースが流れていた。それを見て、男は慌てて携帯を握り締め、履歴からひとつの連絡先を選択し電話をかけた。
「もしもしっ高橋ニュース見てるか!? 」
『うん・・・茜音は報われたかな・・・・』
電話越しに聞こえる友人の声はかすかに震えていた。
「あぁ、きっとな・・・・」
死者の思いを知ることはできないが、犯人が明かされた。こんな形ではあったが・・きっと、彼女は安らかな眠りにつくことができると信じたい。
『よかった。』
友人は一言つぶやくと、ぷつりと電話を切った。
それから、友人は、高橋準は消息をたった。