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メシア

作者: まこと
掲載日:2014/05/19

「あ~ぁ、なんて退屈な授業なんだ。」


みんなが、授業を真剣に聞く中、少年は、窓の外に

視線をやり、校庭から体育館そして駐輪場へと・・・その時



「お-い」


窓の外から少年を呼ぶ声が聞こえる。


教室のみんなには、聞こえないのか

それとも、授業に集中していて聞こうとも思わないのか?

そんな事を考えながら、少年は、その声の主を

必死に探すが見つからない。


「お-い、ここだよ!」


「えっ?」


「上だよ。ず~っと上!!」


少年は、フッと空を見上げると、そこには、UFOが浮上している。

しかも、そのUFOとは、誰もがみんな想像する程の

月並みで典型的なUFOだ。

その中から虹色の光線と共に出てくる生物も又

一昔前の映画に出てきそうな、タコ型の生物だ。


 「・・・で、でも、宇宙人? いや、そんな事はない。

 だって、もう既に22世紀に入り、太陽系は、もとより

 その周り数億光年と地球の最先端テクノロジ-を駆使しても

 見つからなかった宇宙人がなぜ?

 しかも、なんで日本の、ましてや僕の所なんかに・・・」


 「少年よ、何をゴチャゴチャと言ってるんだ。

 現に私は、ここに居るし、ここに来た理由は、ある重大な指令

 を受けて来たんだよ。」


 「えっ!!じゃ-本物の宇宙人!?」


 「ま-地球を基準に考えれば、宇宙人であるのは、確かだよ。」


 「いっ・・いったい何をしに?何でここに?」


 「ま-ま-、そんなに急ぐな。時間は、タップリとあるんだ。」


 「え!時間?」


 「いやいや、こっちの話しだよ。

 いいか、少年よ、これから10分間だけ全世界の時間を止めてやる。

 その間、お前は、地球の王様だ!誰に気兼ねする事なく、何をやっても

 何処へ行こうが、お前の自由だ。」


 「はぁ~?指令って、そんな事。」


 「もちろんだ!」


 「いったい何の利益が有って、こんな馬鹿げた事を?」


 「ばっ馬鹿げた事だと!我々宇宙を基準に考えれば、お前達の学校や

会社それに朝起きて、夜に寝る行為こそ馬鹿げていて、何の利益にも

ならない事なんだぞ!!」


 「ふ~ん。宇宙を基準にね~」


 「まあいい。地球人には、この指令の重大な意味がわからないのは

当然だ。じゃ-存分に自由な時間を楽しむがいい。」


宇宙人は、話しが終わるか終わらないうちに、あっという間に空の彼方へ

と消えて行ってしまった。



 「何か、忙しない宇宙人だったな-。本当に時間を止めたのかな?」


少年は、教室を一望する。


確かに誰もが、動かない。先生も黒板とお見合いをしたまんまだ。

黒板の上の時計は丁度「2時」を指している。


 「あの時計が2時10分になるまでが、この世界の王様らしい。

 と言っても10分間じゃ-せいぜい、この教室の王様でしかないけど。」


少年は席を立ち、隣の人の顔を覗き込も。

顔の前で手を振ってみるが、何の反応も無い。


 「ヒュ-本当に動かないでやんの。へっへっへっ・・・この間に憧れの

 ミッチャンのパンツでも覗いてやるか。しかし、しけた王様だよな。」


少年はミッチャンの元に近寄り、顔を覗きこむ。

みっちゃんは、無言のまま、ある一点を見つめている。


その時、少年の頭になにかが、よぎった。


 「あっ!!待てよ。もしかして、みんな、動けないだけで意識は

ちゃんとあるんじゃないか!?もしそうだとしたら、ミッチャンは、おろか女子全員に軽蔑されてしまうじゃないか!?


 で、でも、本当に時間が止まっているのかもしれないし?

 クッ、クソ~これじゃ-王様といったて何の意味も無いじゃないか~!

 時間だって、あまりにも少な過ぎる!だいたい、あと何分残って

 るんだ?」


少年は、黒板の上の時計を見上げた。


 「あっ・・あれ??時計は、まだ2時を指したまんまだ?


 あれから、少なくても2、3分は、たっているはずなのに・・・・

 もっもしかして!時間が止まるという事は、時計自体も止まってしまう

 という事なの?


 イヤ、時間そのものが・・・全ての時間が止まってしまうという事なの

 か・・・

 もし、そうだとしたら、一体何を基準にした10分間なんだ。

 きっ・・基準!!


 も・も・もしも宇宙を基準とした10分間だとしたら!?

 な、なんて事だ!・・・

 お~い。誰か~居ないのか!?

 誰か~ 助けてくれよ~

 頼むよ!・・・お~い・・・・・

 ・・・・・・・・・



 「しかし、校長先生、何も巨額な資金を費やし、生徒一人の為に

 あそこまで・・・」


 「何をおしゃいますか!!これは、国家プロジェクトですよ!!

 今や22世紀に入り、生徒達は、一切感情を持たずに退屈な授業も

 真面目に聞いて、何の疑問も持たずに社会に出て

 これまた、退屈な仕事も真面目にこなす。平均化された人間ばかり

 じゃないですか。

 このままでは、人間社会は崩壊ですよ。


 そんな中、私は、何千人という生徒達から、ついに発見したのです。

 退屈な授業を素直に退屈と感じる感受性。あのヘンテコなUFOや宇宙

 人を本物と思い込む想像力。そして、本当に時間が止まったかどうかを

 疑う猜疑心。

 彼こそ、本物です。彼こそが、世界のメシアなのです!!」


 これから、このビデオを文部省に提出して、彼を支援する組織会議を

 開き、国家レベルで、この少年を育成しなければ。

 さっ-忙しくなるぞ~!!」


学生時代に授業を受けながら

もしも、こんな事が実際におきたら!?なんて思いながら書きました。



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