家
家の中に入ると、広めでオシャレな玄関が私たちを迎え入れてくれた。少し広い吹き抜けの空間が有りその先に扉がある扉を開くと白を基調にした部屋にカラフルなオシャレなインテリアに配置された広いリビングが現れた。
そのリビングの革張りの真っ赤なソファーに私を座らせると、皆が私を囲むようにその周りに座った。
「さて、これからのこと話していこうか。」
鶴野さんの合図で皆が真剣な顔になる。
「ここは僕達の宿舎で、君はここに住むことになるんだけど・・・」
皆が顔を見合わせ頷きあう。
「君には、男としてここに住んでもらうことになる。」
私は思いがけない言葉に目をクリクリさせ皆を見回した。
「お・・・男ですか?」
「うん。さっきも説明したけど、僕達はアイドルsilverstarと言うグループで活動してる。僕達の仕事は皆に夢を売る仕事。そんな僕たちと女の子が一緒に住んでるとなると非常に都合が悪いことになる。君を警察に連れて行くことも同様なのは解ってくれるかな?」
私はコクコクと頷く。芸能人がどんなものなのかは全く解らないけど、私が居ることで迷惑をかけるのは途轍もなく申し訳ない。
「かと、言って、君をここから追い出して、俺達の事をある事ない事記者に話されても困る。」
鶴野さんの隣に腕を組でいた金城さんが言葉を発した。
その言葉に私は俯く。知らない相手にましてや自分の素性を全く明かさない相手に信頼をもてという方が無理なのは分かっていても、こうして言葉にされてしまうと心は酷く傷んだ。
「帝!」
嗜めるように鶴野さんが金城さんに声をかける。
「そんな訳で君にはココで男として生活してもらうことになる。身の回りの物なんかは僕たちで用意するから安心してね。で、ここで生活するにあたって、どうするべきか整理しようか。」
そう言って鶴野さんはまた、紙とペンを取り出した。どうやら彼はそうやって書く事で色々をまとめる癖があるらしい。