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転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


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6-19

「こ……これは……?」

「な、ナターシャの、ど、ドレス……ぼ、ボクが選んだ」


 そのアリストの言葉で、ナターシャは彼がどこに行っていたのか、ようやく理解した。

 そう、アリストは、ナターシャのドレスを探しに、衣装屋に行っていたのだ。

 どうしてもナターシャと一緒に建国式典に行きたかったアリストは、ならば早く準備をせねばと急いだわけだ。

 ナターシャはアリストからそっとドレスを受け取ると、間近でそれを確認してみる。

 見れば見るほど美しい。露出を控えた上品さと、女性らしい可憐さが融合した、淑女に相応しい衣装だ。

 なによりナターシャが驚いたのは、あまりにも自分好みだったこと。

 自分が衣装屋にいても、絶対にこれを選んだだろうと言いきれるくらい、色合いもデザインもドンピシャであった。


「……なんて素敵なドレスなのでしょう、わたくし、紫が大好きなんですの」

「ほ、ほんとっ?」


 気に入られなかったらどうしようと、緊張していたアリストは、ナターシャの言葉にパッと顔を上げた。

 するとナターシャはアリストと目を合わせて優しく微笑む。


「ええ、まるでわたくしの好みをご存知だったかのようですわ」

「な、ナターシャに似合うと思って……」

「嬉しいですわ、ありがとうございます、アリスト」


 嬉しそうにするナターシャを見ていると、アリストは買ってきてよかったと心から思う。と同時に、心臓が早鐘を打って、顔がポポポと温かくなってくる。

 こんなことは、ナターシャに会ってからだ。

 恋愛経験皆無のアリストは、ボクはなにかの病気になってしまったのだろうかと、ボケたことを考える。


「き、気に入ってくれて、よ、よかった……こ、これで、い、一緒に、行けるね」

「そうですわね……ところで、アリストの衣装はどうしたんですの?」


 ナターシャの問いかけに「あ」と短い声を漏らすアリスト。

 ナターシャのことばかり考えていて、肝心な自分の衣装のことは頭から抜け落ちていた。


「……わ、忘れてた」

「まあ、わたくしの分だけ用意して、ご自分のを忘れるだなんて……ふふふっ」


 ナターシャはドレスを抱きしめながら、しょうがない人ね、といったふうに穏やかに笑う。

 バカにする感じはまったくない、毒のない親愛に満ちたそれに、アリストはなんだか嬉しくなって、照れながら自分の頬を人差し指で掻いた。

 そんな二人の様子を、ナターシャの隣でガン見していたガネットは。

 ――なんか、お兄様とお姉様、いい感じ……?

 ナターシャとアリストに交互に視線を巡らせながら、すでに女の勘を光らせていた。

 そんなギラギラしたガネットの目に気づいたナターシャは、あることを思い出す。

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