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「アリストも同じ気持ちだと思いますわよ。それに、ここにいるパトリックも、他の団員たちも……それは、ここに来たばかりのわたくしなんかよりも、長いお付き合いをされているあなたの方がよくご存知なのでは?」
ナターシャの言葉の一つ一つが、ガネットの心を打つ。
反論の余地がないほど、その通りだ。
漂着した自分を、みんな戸惑いながらも受け入れてくれた。男衆の魔術団で、魔力を持たないただの女児が一人。違和感この上ない組み合わせだが、それでも居心地がいいと思えたのは、みんなが優しく接してくれたおかげだろう。
いかんせん、魔術に特化した男だらけなので、女の子の気持ちを察したり、細かい配慮は専門外。
アリストに至っては、とにかく言葉足らずなので誤解を生むこともしばしば。
『……も、もう、に、二度としないで』
ガネットがチミチミ池に落ちて帰ってきた時、アリストが口にした台詞。
それをガネットは単に怒っていると思い込んでしまった。
だけど本当は、心配だから危ないことはやめて、という意味だったのだと、ようやく理解したガネットは違う意味で泣きそうになった。
「人に必要とされることは理屈ではありませんわ。特別な能力なんてなくても大切にされる……そう、例えば野に咲く花のように、ただそこにあるだけで尊い存在……それって、最強だと思いませんか?」
ナターシャは穏やかに微笑みながら、柔らかな物腰で歌うようにガネットを諭した。
――そっか、理由……なくていいんだ。あんなに家のこと、がんばってやってて、それでも親に捨てられたのに……ここは、がんばらなくても……そうだ、みんな……ぶっきらぼうだけど、いい人ばかりで、あたしを捨てる人なんて、ここには、いないんだった……。
ガネットの視野が広くなり、物事を冷静に捉えることができる。
当たり前のことを、当たり前に受け止める。
そんな子供らしい素直さがガネットの中に息づいた頃、ナターシャは彼女のまだ小さな肩に両手を置いた。
「大丈夫、もっと自信を持って、あなたはそのままでいいんですわ」
ブワッとガネットの視界が輝きに満ちる。
凛々しい面持ちでキッパリと言いきったナターシャは、バリアーの光を凌ぐほど美しくガネットの目に映った。
気高く、豪傑な女騎士。ナタリーの勇ましさを纏ったナターシャに、ガネットはすっかり見惚れてしまった。




