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転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


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6-8

「魚釣り? どうやってするんですの?」

「さっきガネットを釣り上げた時と同じ要領ですよ、集中して生き物の動きを察知したら、そこに魔力をあててチョチョイッと」


 右手人差し指をクイクイッと動かしながら、真剣な面持ちで説明するパトリック。

 聖女にとって魔法とは、世のため人のために使う神聖な能力……とされているので、個人的な利便性のために使用することはよしとされていない。

 が、パトリックおよび、ロッドベリルのメンバーは、かなり自由に魔力を活用しているようだ。

 国で禁じられている転移魔術から、バレたらちょっと注意される程度の食料調達にまで。


「……なんだか、本当に魔力って便利ですのね」


 そう呟いて一拍置いてから、ナターシャはなんだか面白くなってきた。

 修道院では妬みを買わないために、自分の能力を最大限抑えてきた。

 だが、ここではそんなことをする必要はないのだ。

 セシリアもジオバールもいない、修道院のように窮屈な制約もない……ナターシャにとってここは、本当の楽園になりうるかもしれない。

 そんな予感がしたナターシャは、俄然やる気が出てきた。


「そうと決まればわたくしもやってみせますわよ! どうせなら、どちらがたくさん釣れたか勝負……」


 ナターシャが腕まくりをしながら、聖女らしからぬ勝負を持ちかけようとした時だった。

 海辺を見渡したナターシャは、ふと、ある気配が消えていることに気づく。

 突然言葉を切り、丸くした目をあちこちに動かすナターシャに、パトリックも同じことを察した。

 ガネットがいなくなっていたのだ。

 

「ガネット、ガネット! どこにいるんですか!?」


 パトリックが急いで砂浜を蹴り、声を張って周辺を見回す。

 ナターシャもそれに続き、忙しなく頭を動かしながら、海辺を小走りに行く。

 そうして二人があちらこちらを探索しているうちに、海辺の端の方まで来ていた。

 するとそこで、パトリックが目当ての人影を見つける。

 砂浜に立つパトリックの視線のずっと先、白い砂と黒い石が混在する波打ち際に、その姿はあった。

 ここは広大な入江のようになっていて、平らに続く海を、突き出した背の高い岩場が挟む形になっている。

 ガネットはその小さな崖のようになった岩の下に立っていたのだ。

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