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「あれ、でも、魔術学校って……」
「五歳から入学可能で、二十歳まで在籍可能です、が、団長は十歳ですでにすべての課程をクリアされていたので、さっさとご自身の魔術団を作られたわけです」
ピシャーンと雷に打たれたように、ナターシャの脳に衝撃が走った。
パトリックが言ったことと、ナターシャの認識に相違はなかった。
魔術学校の生徒は五歳から二十歳、小学校や大学といった概念はなく、できる者はどんどん上の過程に上がり、自分のレベルに合わせた授業を受けることができる。
だから極端な話、才能がない者は二十歳でも幼児レベルのまま卒業するし、アリストのように有能な者は、十歳で魔術団長になって、自主卒業することも可能ということだ。
とはいえ、アリストの場合はかなりのレアケース。それまで全課程クリア最年少記録は十五歳だったのに、それをアリストが十歳に塗り替えてしまったのだから。
おそらくこの記録が更新されることは、永遠にないだろう。
それを知ったナターシャは、なるほどと胸の内で頷いた。
そこまでわかりやすい実力が認められていたなら、戦争時に手を貸してほしいと頼んでも不思議じゃない。
「それだけ飛び抜けた才能を持っていたから、陛下に助太刀を依頼されたんですのね」
パトリックはゆっくりと視線を下げると、少し間を置いてから返事をする。
「それも理由の一つです、が……もう一つの理由は、私の口からは言えません」
スノークロウが運んできた、アリスト宛の招待状の最後にあった直筆メッセージ。
それを書いた人物を知っているパトリックは、アリストに繋がる秘密も知っていた。
だが、自分から言うべきではないと思った。
昨日出会ったばかりだからとか、そんな理由ではなく、アリストから話すのを待つべきだと考えた。
ナターシャなら、いつかアリストがすべてを話す日が来る気がしたのだ。
だからこそ、パトリックはナターシャにこんな話をした。
一方、ナターシャは空気を読んで、これ以上突っ込むべきではないと思った。
パトリックが言えないということは、まだ自分が知るタイミングではないのだろうと。
だからパトリックが教えてくれた内容だけ、整理して自分の中に収めようと考えた。




