表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/309

5-23

 驚くナターシャをよそに、アリストはなんの躊躇いもなく足を踏み出す。

 すると、アリストの身体は黒い歪みに飲み込まれるように消えてゆく。

 その時、ハッとしたガネットが勢いよく走り出した。


「あ、あたしも行くっ、待ってお兄様ーー!!」


 しかし、時すでに遅し。

 ガネットが到着する直前、アリストを飲み込んだ空間は刹那の間に縮み、跡形もなく消え失せた。

 おかげでガネットは、なにもない空間を走っているだけの状態になった。

 しかも、ものすごい勢いで走り出したため、なかなかブレーキが効かず、やがて直線上にあった壁に正面からぶつかった。

 それを見ていたパトリックが、あーあといった表情を浮かべる。


「大丈夫ですか、ガネット」


 壁の前でペタンと座り込んだガネットは、膝に置いた両手を握りしめ、プルプル震えた。

 ある程度減速していたので、壁にぶつかった痛みはそれほどでもない。

 ガネットが震えている理由は痛みではなく、悔しさや寂しさなどの複雑な感情のせいだった。


「……ぜんっぜん、大丈夫じゃない! なによ、なによっ、みんなで勝手に決めて、楽しんじゃって! お兄様の付き添いならあたしがするもん!!」

「勝手にうろついてチミチミ池にハマって呪われて、自分のこともまともにできないような子供が、団長のサポートなんてできるはずがないでしょう」

「うっ……」


 怒りを露わにするガネットを、冷静に嗜めるパトリック。

 正論すぎて反論できないガネットは、壁を向いたまま言葉に詰まった。

 ここで一連の流れを黙って見ていたナターシャが口を開く。


「あ、あの……一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「なんです?」

「今、アリストが使ったのって……法で禁じられている転移の魔術では……?」

「ああ、そうですよ」


 ……やっぱりーー!! とナターシャは思った。

 先ほどのアリストの魔術に、ナターシャは覚えがあった。

 見たことはないが、魔力で出入り口を作り、好き場所に移動することができる、そんな魔法……もとい、魔術が存在すると、修道院にいた頃、習っていたのだ。

 しかし、転移魔術は法で禁止されている。犯罪に利用できたり、人のあるべき暮らしを乱してしまう……ということもあるが、一番の理由は太るからだ。先代の王……現テレス王の父が、宮廷魔術師の転移魔法に頼りすぎたため、運動不足になり、激太りした上早死にしたということで、法が改正されたのだった。

 と、まあ、禁止された理由は少しおマヌケではあるが……法であることに変わりはない。

 それなのに、このパトリックのあっさりした態度といったら。


「え、いや、ああって……」

「バレなきゃ問題ありませんから」


 子供の教育に一番悪いワードをさらっと述べるパトリック。

 人間、誰かしらそんな気持ちがあるだろうが、こうもあけすけに言われてしまうと、ナターシャはポカンとするしかない。

 そんな彼女を前に、パトリックはさらに続ける。それはもう、癪に障る顔で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ