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転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


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1-7

「ジオバール様がお目見えよ、あなたに通達を届けに来たみたい」


 ナターシャがセシリアと同じくらい、聞きたくない名前が出てきた。

 魔力テストの結果、合否はその場で直接伝えられるが、後の処遇は書面で知らされる。

 それにしても早すぎではないかと、ナターシャは思う。

 過去最低の成績を残した聖女見習いには、即座に王都を去ってほしいという意気込みが感じられた。

 

「さあ、今すぐ一緒に行きましょう、聖騎士団長を待たせてはいけないわ」

「……わたくし一人で」

「ダメよ、あまりのショックで倒れてしまうかもしれないのだから、支える私がそばにいれば安心でしょう?」


 やはり、セシリアはなにか知っているかのような口ぶりだ。

 これからものすごく悪いことが起きる。だからそれをこの目で見たいとでもいうのだろうか。

 ナターシャがそう感じるほどに、セシリアのタレ目は三日月型に歪んでいた。

 ナターシャは部屋を出ると、仕方なくセシリアと廊下を歩き、階段を下りた。

 修道院の広間には、未だ興奮冷めやらない聖女たちが集まって会話をしている。

 その横を気にせず通過しようとするナターシャだったが、セシリアはなにを思ったのか足を止めた。

 そして広間にいる聖女たちに向かって声を上げる。


「今からナターシャの処遇が発表されるそうよ、みなさんも一緒にどうぞ!」


 溌剌とした声でみんなに呼びかけるセシリアに、ナターシャはギョッとした。

 まるで面白いことを見物しに行くかのように、みんなに誘いかけ、連れ立っていくというのか。

 聖女たちはおしゃべりを中断して、セシリアの方を見た。

 そして刹那の沈黙を破ると、みんな顔を見合わせてクスクスと笑い始めた。

 

「一体どこに飛ばされるのかしら」

「気になるわね、見に行きましょうよ」


 聖女たちのヒソヒソ話は、すべてナターシャの耳に届いていた。

 ――どうぞどうぞ、お楽しみくださいませ。わたくしはあなた方以上に楽しみにしておりますからね!!

 ナターシャが暗い表情の下でそんなことを宣っていようとは、誰も想像できないだろう。

 こうして大勢の野次馬たちとともに、ナターシャとセシリアは修道院を出た。

 正面の扉を開くと、すぐ前方に馬に乗った男性が見える。

 短めの黒髪に茶色い瞳、キリッとした顔立ちの青年は、先ほどテレスの傍らにいた、王直属のミカエリアス聖騎士団の長である。

 聖とつくだけあって、聖女と同じような、純白に金の刺繍が入った騎士服を着ている。

 その中身は、清廉な白に反して真っ黒だったが。

 ――そうそうそうそう、こいつ、こいつですわ、わたくしを陥れたもう一人の輩は……。

 ナターシャはジオバールの顔を見ると、改めて前世を思い出す。

 ナターシャが断罪された原因、それをセシリアと一緒に捏造したのが、このジオバールなのだ。

 前世の名はジオフォード。今世と同じ貴族であり、セシリアとできていた。

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