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転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


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5-8

「すみません、ナターシャ、ガネットは聖女が嫌いなんです」


 振り向いたナターシャの前には、副団長であるパトリックがいた。

 彼は少し憂いを帯びた表情で、ガネットの暴挙の理由を語る。


「今までの聖女は、みんな王都に指示されて嫌々来たのがあからさまで……魔獣を毛嫌いする者も多かったですし、なにより、団長への態度がひどかったものですから……」

「アリストに対して……?」

「ええ、団長は優秀すぎるゆえに、恐れられてもいますが……それだけではなく、団長の話し方や振る舞い、外見などが不気味だと言って、まともに話そうともせず、早く帰りたがる者ばかりだったんです」


 パトリックが告げた事実に、ナターシャはあきれて短いため息をついた。

 今まで来た聖女がみんなそれでは、聖女によい印象を持つはずがない。

 どうやらガネットの暴言は、ナターシャ個人に対してではなく、『聖女』に対して向けられたもののようだ。

 聖女とは本来、誰に対しても平等であるべきもの。それをアリストの見かけや話し方で判断するとは、不届き千万である。


「それはなんとも、失礼かつ愚かな行いですわね……外見や噂なんかに囚われていては、本質を得ることはできないというのに……」


 眉間に皺を寄せて渋い表情を作るナターシャに、パトリックは閉じた唇に力を入れると、静かに、だが深々と、彼女に頭を下げた。


「……聖女、ナターシャ、昨日は大変失礼いたしました」


 パトリックの予想外の言動に、ナターシャはいささか面食らった。


「昨夜、すべて団長から聞きました。あなたがとてつもない力を秘めた大聖女であること、慎ましい暮らしのために、その力を隠してきたこと……そして、ガネットの呪いを解くために、自らの希望を犠牲にする覚悟で、正体を明かし申し出てくださったこと」


 最後の一文に疑問を持ったナターシャは目をパチクリさせた。

 ガネットの呪いを解くために、自ら本当の力を明かした……?

 いや、違う。単純にアリストにバレたから、ガネットの呪いを解く流れになったはずだが。

 そこまで考えたナターシャは、ふとある結論に至り、アリストに目を向けた。

 するとナターシャの視線に気づいたアリストは、なにを勘違いしたのか、目を逸らしながら、低く持ち上げた手を僅かに揺らした。

 ――いや、かわい……ではなくて。

 恥ずかしそうに手を振るアリストに、和みそうになったナターシャは自分にツッコミを入れた。

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