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転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


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5-6

「では、浄化いたします」


 そう言って間もなく、ナターシャの両手のひらから黄金色の光が漏れ出す。それは次第に濃い金色に変わり、ガネットの上部を覆うまでに範囲を広げる。

 まるで太陽の光を浴びた宝石のように、眩いほどの輝きに、アリストを含む団員たちはみんな目を奪われた。

 他の聖女の光はエメラルドグリーンなので、団員たちが金色の魔法を見るのは、もちろん初めてだった。

 僅か数秒のうちに、ガネットの内に入り込んでいた呪いの影が消えてゆく。

 すると同時に、ガネットの身体が収縮を始めた。

 まるで水面が広がるように、静かにすーっと全身の幅が増していく。

 ガネットの本来の姿はどんな感じなのか、もしかしたらものすごくセクシーな熟女だったりして……。なんて、ナターシャが考えを巡らせる間もなく、ガネットの動きはあっさりと止まってしまった。

 ナターシャの中ではこれからだ、というところだったのだが、やはりもうピクリともしない。

 相変わらず椅子に座って俯いたままのガネットは、先ほどより身長は二十センチほど伸びただろうか。ただ、体型は薄っぺらいままなので、そこまで劇的な変化は見られなかった。

 ――あんまり変わっていませんが、これでよろしいのでしょうか?

 もしや中途半端に呪いが解けて、失敗したのではと心配になったナターシャだったが。


「すごい! よかったな、ガネット!」

「大したもんだ! すっかり元通りじゃないか!」


 ――あ、これが元々のサイズでしたのね。

 団員たちの反応により、きちんと成功していたとわかって胸を撫で下ろした。

 五歳くらいの幼女が十歳くらいの少女に戻ったということだ。ゆったりとしたワンピースを着ていたので、身体が戻っても破れることなく、ちょうどいい感じになっている。

 魔術師たちが喝采する中、ガネットがようやく重い腰を上げた。

 そして椅子の前に立つと、初めて真っ直ぐにナターシャを見上げる。

 礼を言われるに違いないと思ったナターシャは、いいんですのよ、なんて謙遜の台詞を胸に用意しながら微笑んだ。が――


「ブス」


 現場の空気が凍りつく。

 驚愕の表情を浮かべる団員たちに、笑顔のまま石像のように固まるナターシャ。

 ――今……なんとおっしゃったのかしら? なにか『ぶ』と『す』を組み合わせた文字が飛んできた気がしますが、きっと勘違いですわね、うふふふふ。

 ナターシャが現実逃避するのも無理はない、ナタリーであった前世から今まで、どれだけ悪口を言われようと、その言葉だけは浴びせられたことがなかったのだから。

 しかし、ガネットはそんなことお構いなしに、ナターシャに詰め寄ると、思いっきり指差してきた。


「ブスブスブース! ドブスブスブスブスブース!!」


 ブスと言いすぎてスブにも聞こえるし、なんならリズムに乗った歌の一種のようにも聞こえる。

 さすがのナターシャも現実を受け入れ始めると、ピキピキと聖女の笑顔にヒビが走った。

 ――わたくしがブスなら、あなたは馬糞以下ですわね。

 貼りつけた笑顔の奥で毒づくナターシャ。

 自信家の彼女は自分が美しいことを認めているので、こんなふうに貶されると腑が煮え繰り返る。

 しかし、ここで生きていくためには摩擦は避けたいところなので、どうにかして反撃を堪えた。

 そんな様子を黙って見ていられなかったアリストが口を挟む。

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