5-4
「い、一緒に、き、来てくれる……?」
「もちろんですわ」
ナターシャはニコッと笑って快諾すると、部屋を出てドアを閉めた。
そしてアリストに従って足を進める。
「それで、ガネットさんの行方はわかったんですの?」
「も、もう、戻ってきてる」
「あら、そうだったのですね、ご自分で戻ってこられたんですの?」
「う、ううん……探して、み、見つけた」
「それはまた、いつの間に」
「き、昨日、な、ナターシャと、バイバイした後……ま、魔獣たちに、た、頼んで」
「なるほどですわ」
一体どんな魔術で探し出したのかと思いきや、まさか魔獣に探索依頼を出していたとは……。
ティルバイトを知り尽くした知性高き魔獣たち、人間が血眼になって探すよりも、確実に効率がいい。
アリストはナターシャの部屋近くにある階段を素通りし、真っ直ぐな廊下を歩いていく。
どうやら今から向かうところは、二階のどこかにある部屋のようだ。
しかし、そこに着く前に、ナターシャは聞いておかねばならないことがある。
「あの、ところで……わたくしの能力の件は、他のメンバーの方たちには……?」
アリストは認めてくれているが、他の団員たちの反応を知らない以上、まだ安心はできない。
そう思って身構えるナターシャに、アリストはあっさりと返す。
「も、もう、言ったよ、そ、それも、夜中のうちに、す、済ませた」
魔獣にガネットを探す指示を出したり、団員たちに話をしたりなど、ナターシャがぐーすか寝ている間に、アリストはいろいろ動いていた。
「それで……みなさんの反応は、どうでしたの……?」
「だ、大丈夫だよ、い、行ってみれば、わ、わかるから」
アリストの台詞にナターシャの気持ちが少し軽くなったところで、真っ直ぐな廊下の中腹に差し掛かった。
恐らく一階にある食堂の真上かと思われる、漆黒の重厚な扉の前でアリストが足を止める。
それに気づいたナターシャも、アリストの隣で立ち止まると、目の前の扉を見上げた。
食堂の扉よりもさらに立派なそれはマットな黒塗りで、ナターシャの目線よりやや高い位置に星の紋が入っていた。
一つの角を起点に、内側を通って結ばれた左右対称の星。五つの三角形の中央に、五角形があり、その全体を円が囲んでいた。漆黒の扉に、銀色の紋がよく映えている。




