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転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


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4-16

 可憐な笑顔のまま、アリストの呼び方を即座に却下するナターシャ。

 ナターシャだからナタ…シャ、ナタしゃ、ナタしゃん…ほう、なるほどよく考えたな、とはならない。

 アリストに好感を持っているのは確かだが、それはそれ、これはこれ。前世で『豪傑の悪役令嬢』とまで言われた彼女が、ナタしゃん呼びはさすがにキツい。

 ナターシャの無言を圧を感じたのか、アリストも大人しく引き下がった。


「では、アリスト、改めて、これからどうぞよろしくお願いいたしますわ」


 ナタしゃん呼びを回避したところで、ナターシャはアリストの膝辺りに置かれた右手に両手を伸ばす。

 そしてそれを包み込むように、キュッと優しく握った。

 その白く冷たい手に、生の証である脈を感じ取ると、ナターシャは妙に安心した。

 しかし、なぜかアリストの反応がない。

 ナターシャのすぐ目の前にあるアリストの顔は、時が止まったかのように固まっている。

 

「……あ、アリスト? アリスト??」


 不思議に感じたナターシャが首を傾げながら凝視しても、やはりアリストはナターシャを見たままびくともしない。

 が、そのうちアリストに変化が現れる。

 すっと筋の通った鼻の片穴から、ツウ…と流れ出る赤い雫――。

 それに気づいた途端、ナターシャは驚いてアリストを食い入るように見た。

 

「あ、アリスト!? 大丈夫ですか!?」

「だ、だっ、だいじょぶっ、ち、ちかづくと、よけい」

「動いてはダメですわよ!」


 心配してさらに距離を縮めるナターシャに、アリストの鼻血は量を増すばかり。

 まずいと思い焦って身を引くアリストだったが、ナターシャの右手でローブの袖を掴まれ阻まれる。


「じっとしてくださいませ、すぐに治しますわ」


 ナターシャは落ち着いてそう言うと、アリストの顔に開いた左手を寄せた。

 するとすぐに溢れ出す、黄金色の光。

 まるで陽だまりに包まれているかのような、温かな癒しの感覚をアリストは味わった。

 

「さあ、これでもう大丈夫ですわよ」


 あっという間に治療が終わると、ナターシャはアリストから手を離す。

 するとアリストの白い肌を汚していた赤は、綺麗に消え失せていた。


「あ、ありがとう……」

「いいえ、そもそもわたくしのせいですもの……ねぇ?」


 アリストの前で正座をして、妖艶な笑みを浮かべるナターシャ。

 鼻血が出た理由がナターシャにバレていると悟ったアリストは、情けないやら恥ずかしいやらで地面に埋まりたい気持ちになった。

 ――手を握っただけでこんなことになるだなんて……キスでもしたら、一体この方はどうなってしまうのかしら……?

 癖が強すぎる団長とそのメンバーの領地で、ナターシャの追放生活が幕を開けた。

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