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転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜  作者: 碧野葉菜


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4-7

「だ、大丈夫ですか!?」


 驚いたナターシャが、隣にいるアリストに飛びつくようにしゃがみ込む。

 すると、魔獣たちの隙間からニュッと手が出てきたかと思うと、のそのそとアリストの頭も見えてきた。

 魔獣たちに抱きつかれた勢いで、フードが脱げている。

 ナターシャは目の前に晒された白髪に釘付けになった。

 アリストはやっとのことで魔獣たちから這い出すと、壁を背もたれに足を伸ばして座る。

 すると、すかさずデビルラビットがアリストの膝に乗り、他の魔獣たちは彼を囲むように伏せたり寝転んだりと、まったりし始めた。

 どうやらこれが、アリストと魔獣たちの関わり方のようである。


「へ、平気、い、いつものこと……」


 やけに視線を感じたアリストは、言葉を切ってナターシャを見る。

 すると彼女のまっすぐな瞳と同時に、なにか足りないことに気づいた。

 焦ったアリストは、脱げてしまったフードを、両手でいそいそと被り直す。

 せっかく露わになったそれを隠すアリストに、ナターシャは眉を下げた。


「いつもフードを被っておられるんですの?」


 フードについて触れられたアリストは、肩をビクッとして、瞳をウロウロさせる。


「……こ、この方が、お、落ち着くから」


 フードを被っていないと、なんだか頭がスースーして、変な感じがする。

 そう思うくらい、アリストにとっては、フードを被っていることが当たり前なのだ。

 その気持ちはナターシャにも伝わった。しかし、ナターシャはあんなに美しいものを隠すだなんて、もったいない気がしてならなかった。

 

「それは残念ですわ、もっとよく見ていたかったので」


 少し寂しげに微笑むナターシャの声が、アリストの耳に届く。

 ――も、もっと、よく見たいって、な、なんでだろう……。

 そんなことを初めて言われたアリストは、戸惑ってフードの縁を持つ手に力を込めた。

 ナターシャがなぜ、そんなことを言ったか、アリストにはわからない。

 だが、少なくとも、ナターシャが人の容姿をバカにするとは思えなかった。

 なによりも、ナターシャが見たいと言うなら、見せてあげたいと、アリストはなぜかそう思ったのだ。

 黙り込んでしまったアリストに、機嫌を損ねたかと勘違いしたナターシャは、謝罪しようと考える。

 そしてナターシャが口を開こうとした時だった、アリストがフードを掴んだ手を後ろに動かしたのは。

 アリストの頭のてっぺんから、後頭部にかけて滑り落ちる漆黒の被り物。

 刹那のうちにふわりと溢れ出す柔らかな髪は、真夜中を照らす銀光を浴びてキラキラと輝いていた。

 ナターシャは目を細め、ほうっ……と息を漏らす。

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