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「そんなしおらしくしても無駄ですよ、私は団長にしか興味がないので」
ようやく口の中のものを全部飲み込んだパトリックが、テーブルのそばに来て言った。
さっかまでまふまふ言っていたくせに、今は何事もなかったかのように振る舞っている。
相変わらずアリストはナターシャの方しか見ておらず、パトリックの問題発言には慣れきっているようだ。
「……ああ、パトリックさんは、そういう……」
事を荒立てまいと思ったナターシャは、適当に話を合わせるために頷こうとしたのだが。
パトリックはこれが気に障ったらしく、クワッとトパーズの瞳を見開いた。
「そういう、とはどういうことですか? 恐らく今、あなたは激しく勘違いされてますね? 私の団長に対する想いはそんな低俗なものではないんですよ、団長はすべての始まりであり創造の神でありながら破壊の神であり全人類の頂点に君臨する大地の息吹の代弁者であるお父様なのです」
「ちょっと、なにをおっしゃってるのかわかりませんわ」
聞き取れないレベルの早口でアリストに対しての情熱を述べるパトリックに、ナターシャはついにポロッと本音を漏らした。
「なんと、団長のよさをわからないポッと出の輩がたまたま食事を完食したからといって団長に気に入られようだなんて調子のいいことを」
「……パトリック」
ピリッと電気が走るようだ。
低く重い声がパトリックの名を紡いだ瞬間、場の空気が一瞬にして変わった。
アリストはゆらりと振り向くと、鋭く尖らせた目でパトリックを射抜く。
「うるさい、黙れ」
刹那、パトリックはピタッと硬直し、その後恍惚の表情を浮かべた。
もうここまで来たらただの変態なので、ナターシャはなるべくパトリックには関わらないようにしようと決める。
同時に、アリストの急激な変化に瞬きを繰り返し、自分の目を疑った。
――い、一体、今のは、なんだったんですの……?
ナターシャが驚いているうちに、他の団員たちが別の話題を始める。




