第65章 — グラニスの王の前で
サエル・ヴァンデリアンとアリア・エルンステッド、そしてジョアナ・ベルフォードは、
ドワーフの大地グラニスの首都ガラニスデルにそびえ立つ城の玉座の間にいた。
そこは、グラニス全土を治める王が座する場所だった。
今回、ジョアナは王の召喚を受け、南方への派遣任務に同行することになった。
その任務には、十二聖騎士の一人であり、王の側近として知られる厳格なドワーフ――ガルクと、
彼の長年の友であり、陽気な弓の名手エルフ――ガフィエルも参加する。
ジョアナはこの機会を利用し、
自らの部下としてサエル・ヴァンデリアンとアリア・エルンステッドを正式に紹介した。
もちろん、サエルが〈刻印者〉であるという事実は、王や側近には告げなかった。
扉が開き、重厚な足音と共にガルクが現れる。
その姿は堂々たるもので、ただ立っているだけで空気が張り詰めるほどの威圧感を放っていた。
サエルは一目で理解した――この男は、途方もなく強い。
だがその眼差しには敵意はなく、鋼のような意思と王への忠誠だけが宿っていた。
一方、ガフィエルは若々しく快活な笑みを浮かべ、
厳かな空気の中でもどこか場を和ませるような存在感を放っていた。
彼とガルクは常に言い合いをしていることで有名だが、その絆は誰よりも深い。
「無礼をするな、王の御前だ。」
ガルクは低く、しかしはっきりとした声で告げた。
玉座の間に静寂が訪れ、
その場にいる全員が、これから語られるであろう言葉を待ち構えていた。
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