表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/65

第63章 — 常に見えるところに

アーリアとサエルは、徴募所で手続きを済ませるために進んでいた。そこでは、到着したばかりの冒険者たちの名簿が整理され、登録が進められていた。ジョアナ・ベルフォードは、まさにその最中で指示を飛ばしながら慎重に記録を取っていた。


そのとき、彼女の目が彼ら二人に留まると、顔色が一変した。

慌てて群衆から引き離すように、二人を別室へと連れ込んだ。


廊下を抜けて戸を閉めると、その姿はまるでコメディのようだった。


「あんたたち、何してるのよ!ここは“マーケド”にはふさわしくない場所よ!そんな…悪いことをしてるんじゃないでしょうね?“マーケドらしい”こととか…」


普段の荘厳で高潔なパラディン像からはほど遠い、まさに素のジョアナの姿がそこにあった。


アーリアは苦笑しながら答えた。

「生き延びるにはお金が必要なんです。棺を引いているだけではどうにもなりませんから。」


サエルはその騒ぎを黙って受け流しながら、彼女の“崩壊演技”を観察していた。

あの強固なイメージが音を立てて崩れていくのが、彼には驚き以上に滑稽に映っていた。


ジョアナは落ち着きを取り戻し、険しい表情で二人を見据えた。

「あなたが“マーケドである”ことを、人々は知らされるべきではない。大騒ぎになる! それに…助けを必要としている皆の前で、あなただけ特別扱いはできないわ。」


彼女はさらに声を硬くして続けた。

「言っておくけど…私はあなたたちを信用していない。もし、あなたがこの街で私の使命に邪魔をするようなことをしたら――私は自分自身であなたを排除する。

だからこれからは、あなたたちを四六時中監視します。あなたがどこへ行こうと、私の視界から外れないように。」


アーリアはため息をつき、サエルもうなずいた。

ジョアナの提案は――少なくとも今は――疑いを避けるための戦術的妥協なのだと理解して。



---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ