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第45章 ― 議論の行方
重苦しい沈黙が修道院に降りかかっていた。
それでも会議は続いていた。
聖十字騎士団の十一人の聖騎士たちは、なおも策を探していた。
それぞれが異なる思想と信仰を持ちながらも、一つの恐るべき存在に対して、答えを見出そうとしていた。
その中で、鋭い眼差しを持つ聖騎士――ハウゼン・クロイツが口を開いた。
「……では、もし奴が他の“刻印者”たちと手を組むことがあれば……?」
その言葉に一同が息を呑む。
だが、ジョアナの答えは冷静だった。
「その可能性は、限りなく低い。彼の精神は人間のままであり、意志は明確に孤独を選んでいるように見えます。
ですが――」
彼女は一呼吸置いて、静かに続けた。
「――もし、彼の目的を達成するために必要であれば……彼は一時的に他者と手を組むかもしれません。」
希望ではなかった。脅威の延長だった。
「我々が予測できる範囲を、彼は平然と越えていくでしょう。」
それは、神の秩序を破る存在の特徴だった。
沈黙が再び落ちた。だが、今度は重く、鋭い沈黙だった。
皆が思った。
何をどう動いても、彼が動かない限り、我々は後手に回るだけなのではないか――と。
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