表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/65

第44章 ― 空の修道院での審判

エゼリアの空の修道院は、眠ることのない森と浮かぶ丘に囲まれてそびえ立っている。聖十字教団の重大な審問と会議は、常にこの神聖な場所で行われてきた。

そして今、ジョアナは残された十人の聖騎士たちをここに招集した。


その呼びかけに応じ、各地から集った聖騎士たちの名は以下の通りである。


ヴェリッド・サロン(炎の盾)


イレン・ヴェルハルト(ミスラの眼)


セルカ・ドンマーレ(天の刃)


ベルカン・ノルド(沈黙の剣)


エステル・ラザロ(光の審判)


アガスト・メルロス(鉄の律法)


ノワ・リーヴァル(灰の祈り)


ラデン・クヴァルス(獣の咆哮)


マリュス・エインフィル(神託の盾)


ルーメ・ナダレス(流星の舞)



彼らは皆、国家や種族を越えて選ばれた者たち。

人間、エルフ、そしてドワーフ――信仰によって結ばれた十一の盾だった。


会議の場には、聖十字教団の最高権威であるヘルモール・グランスタイン大司教の姿もあった。


ジョアナは、一人静かに歩み出て、戦いの全てを語った。

エリアスの死、神の顕現、そして――サエルという名の“刻印者”。


「……私とエリアスでは、彼に触れることすら叶いませんでした。

あの者は、悪魔の八つの封印を完全に保ったまま、神を斬り伏せる力を持っていました。

そしてなお、自我を保ち、人としての言葉を話していたのです。」


沈黙が場を包んだ。

誰もが言葉を失い、ただ彼女の声に耳を傾けるしかなかった。


ついに、ヘルモール大司教が重く口を開いた。


「――十一人の聖騎士全員が力を合わせれば、その者を討てるのか?」


ジョアナはわずかに目を伏せ、答える。


「いいえ。彼は戦う理由を持っていません。

彼の望みは、ただひとつ……『故郷に帰ること』だけです。」


その言葉に、会議の空気が一変した。

驚愕、動揺、恐れ、そして…どうすべきかという葛藤。


それでも誰一人、否定する者はいなかった。

なぜなら、彼女の言葉には嘘がなく――

彼の歩みに、敵意がなかったことを、誰よりもジョアナが知っていたのだから。



---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ