表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/64

第1章 — 鎖の音


シリーズ紹介


鎖が断たれるその先に?


> 彼は棺を引きずる。


鎖は彼を縛り、過去は彼を焼く。


言葉が響かなくなった世界で、彼は歩き続ける。

運命のためではない。

栄光のためでもない。


自分でも理解しきれない「重さ」のために。


彼の目は、正しさも罪も映さない。

体は動いても、心は——おそらく、どこかに置き去りにされた。


一歩ごとに、虚無が鳴る。

夜ごとに、砕けた鏡が揺れる。


そしてその内側には、目覚めを待つ「何か」が静かに潜んでいる。


傍らには棺。

その中には秘密。


鎖が断たれ始めたとき、世界は思い出すだろう——


いくつかの道は、救いへと続いてはいない。

真実へと続いているだけだ。

最初に聞こえたのは風ではなかった。


石に引きずられる鎖の音だった。まるで、大地が死者を運ぶ者を忘れまいとしているかのように。


少年は歩いていた。


一歩。

もう一歩。


その背後には、影より重い存在があった。

焦げた木でできた棺。ひび割れ、重厚な鎖で腰に繋がれている。


空は灰色だった。雲のせいではない。

それは、青を思い出せなくなった空の色。


少年の目は開いていた。

だが、世界は彼を見ていなかった。

そして彼自身も、何を見ているのか分からなかった。


右目が疼く。

赤い虹彩に刻まれた円形の封印。中から伸びる鎖が、まるで肉に食い込むように絡んでいた。


封印。それが一つ目なのか、唯一なのか、彼には分からない。


「まだ…壊れていない。」


あるいは、もう壊れているのかもしれない。


物語をここまで読んでくださり、心から感謝いたします。


この作品「鎖が断たれるその先に?」は、

“失ったものの重み”と、“選び続けることの痛み”をテーマに綴られています。


主人公には目的がありません。

ただ、重い棺と過去を引きずりながら歩く姿は、

何かに縛られ、迷いながらも進む私たちの姿そのものかもしれません。


正しさとは何か。

悪とは誰か。

この世界に本当に「選択の自由」があるのか。


それらを読者の皆さまと一緒に問いかけ、見つめていけたらと願っています。


まだ物語は始まったばかりです。

彼の鎖がいつ断たれるのか。

その先に何が待っているのか。

私自身も、恐れとともに書き進めていきたいと思います。


どうか、これからも彼の旅路を見届けていただければ幸いです。


――霞の日(Kasumi no Hi)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ