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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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096 砂漠の国のIGYO (3)

 熱帯号と雪原号に分乗したジェナ、チルドレンとポクポクと歩くポニーに乗って不貞腐れている龍愛がやって来た。


 ポニーの足は太い。そして小さい。体高130センチくらいだ。日本の在来農耕馬のようだ。


「乗り物が欲しいと言ったらお父さんがこのポクポク歩くポニーをくれた」

 鞍は親神様がつけてくれたようだ。


「可愛いわね。名前をつけてやったら。アンクレットもしてやらなくては死んでしまうよ」

「そっか。死んでしまうと大変」

 龍愛は根は優しく素直なのである。


「それじゃ名前は、龍愛の馬だから、龍馬、リューマよ」

 ヒヒンと鳴いて体が光る。大きさは大して変わらないが農耕馬からバトルホース、いやバトルポニーに雰囲気が変わった。

 喜んだ龍愛。


「それじゃアンクレット。あたしの眷属だよ」

 アンクレットをしてやると体が光る。また強さが増したようだ。


「よくできました」

 宗形になでなでしてもらって龍愛はにこにこだ。単純。


「じゃあみんな行くよ。砂漠だから狐面だよ」

 龍愛がシンからもらった狐面を龍馬にしてやり、龍馬に乗って走り出した。ジェナ達も一緒だ。


 農耕馬改めバトルポニーだ。早いしガタイが良いから小さくても迫力がある。ジェナ達の熱帯号と雪原号に負けていない。龍愛はご満悦である。


「それじゃ行くよ」

 宗形マネージャーがバイクを出した。気がついて聞く。

「タイソーさんも行く?」

「行きましょう」


 支配人達はとうに気絶している。


「劉さんも呼ぼう」

 観察ちゃんが劉を連れて来た。タイソーと劉に宗形が狐面を渡す。


「それじゃ、はい。狐面。劉さんは私のバイクの後ろに乗って」

 劉を乗せた宗形のバイクが走り出す。


 勝婆さんもバイクを出す。言われなくてもタイソーが後ろに乗った。

 「仕方ない」

 勝婆さんのバイクも走り出す。

 他の連中は駆け足である。


 すぐIGYOが見下ろせる高台に着いた。

「20匹いるね。20億円だった。タイソーのせいでタダだ。大損だ。タイソーさん訓練ね。訓練が終わったら最初に突っ込む。訓練は劉さんと一緒。龍愛は龍馬の訓練もあるからよろしく」


 ああ、やっぱり災難が来たと思ったタイソー。俺は苦労誘引症ではなくて、疫病神症か貧乏神症なのではないか。宗形の誤診ではないかと疑うタイソーであった。


 龍愛が時間遅延訓練ドームを作った。

「中はドラちゃん達、ゴードンさん達がいるから」

 ジェナ達とタイソー、劉が消えた。


 バトルポニーに乗った龍愛もドームに入っていく。宗形マネージャーを引っ張って。

「あーれーー」


「行ったね。美味しいお茶にしよう」

 勝婆さんが言ったが、気がつくと草原である。ゴードンさん達がニコニコして手招きしている。


「しまった。参加になってしまった」

 と勝婆さん達。


 ちなみに武器は、劉は青龍偃月刀である。憧れていたが重いので振れなかったそうだ。今度は楽々振れる。それと神式92式手槍QSZ-92-5.8、神式191型5.8mm自動歩槍QBZ-191。強そうな眷属が出来てしまった。


 姫乃と常陸がぶつぶつ言ったので、龍愛が姫乃に神式20式5.56mm小銃、常陸に神式SFP9 Mを加えた。三人とも小銃と拳銃持ちになった。


 タイソーはショートソード。タイソーの名前はエドワードというのだそうだ。略してエド。面白みはないが特技は災難を呼び込むことである。


 誰も見ていないが、10分ほどしてみんな訓練ドームから出て来た。中は10日。ちゃんとお風呂に入って着替えて来たのですぐ出陣可能である。


 バトルポニーに乗った龍愛。指揮官然として偉そうにふんぞり返る。落ちた。黒龍と黄龍がペロペロしている。


 チラッと見た宗形マネージャー。

「ではエドワード タイソー、略してエド。20億円損した原因だから先陣ね。訓練もしたし、眷属になったし、頑張ってね」


「あの、20匹いますが」

「寒いから固まって暖をとっている。動きが鈍いだろう。それに後をついていくから大丈夫よ。ただ初見だからね。どんな攻撃があるか、どんな毒があるか不明だから先頭は大切よ。相手の攻撃手段を全部引き出してね」


 宗形マネージャーは龍愛を拾い上げて汚れをポンポンとしてやって、頭を撫でてポニーに乗せてやった。龍愛の気分は回復。


「行けー。突撃ー」

 ポニーの上から号令をかける。

 砂漠に秡川の法螺貝が響く。


 渋々異形の元へ走り下るエド。

 バングルからショートソードを出して、切りかかる。


 ハサミを一本切り飛ばした。順調である。だが好事魔多し。残りのハサミで胴体を挟まれる。ハサミで胴体を切ろうとしたのだろう。チョキチョキされる。

「ぐえ、ぐえ、ぐえ」


 IGYOは、こいつ悲鳴の割にはちっとも切れないと思ったらしく、胴体後部から赤黒い針がヌメヌメと光る尻尾が伸び出し、反転して来てエドを刺す。

「うわ」


 ルーシーが追いついてハサミを切り放ち、舞が針を切ってエドを救出した。


「痛い。痛い」

 毒のせいか気のせいか。


 宗形がエドを後ろに放り投げる。


 エドの犠牲で十分IGYOの攻撃方法を学習した面々。ハサミを切り落とし、後部から伸びてくる尻尾を切り落とした。最後に頭を落として終わり。


「キエー」

 江梨子夫人はハサミを気にせず、掛け声もろとも薙刀で一気にハサミごと頭を二つにして討伐。IGYOは毒針を伸ばす暇もなくご臨終である。

 「怖えええ」

 旦那の感想である。


 祓川が同様にやろうとしたら錫杖をハサミに挟まれてしまった。

 塩井阿闍梨がハサミを切り落としてやる。勝婆さんが尻尾を切った。

「すまん」

「未熟者め」

「手がかかる」


 劉はハサミを切り落とし、足を切り払って、小銃を異形の口に突っ込み連射。威力を調整して最後尾の針を吹っ飛ばした。

 皆殺し愛子と銃オタが続く。弾丸の出力、方向をうまく調整して針を飛ばして他の異形に刺して喜んでいる。一体につき一本限りの生体吹き矢である。


 唐獅子がニターっと刀の刃先をなめ異形の胴体に突き刺した。突き刺された異形は悶え苦しんでひっくり返って足をピクピクしてすぐ死亡した。急所を刺したのか、それとも唐獅子の唾液が猛毒なのか。周りの異形が逃げる。


 それを横目で見て忍者刀で異形を切りながら、ないだろうが万一唐獅子に恋人ができたら恋人は即死だと思った荒木田と榊原である。


 円は、大井先生が頭の方で苦戦している異形の尻から出た針をツンツン突いてからかっている。異形は後ろを見たり前を見たり忙しい。


 稲本夫人はお茶請けは何がいいかしらねと言いながら、夫と異形の相手をしている。


 宗形には異形が寄ってこない。怖いらしい。

「こいつオスなのよ」

 男が近寄らない宗形、日頃の恨みを込めてバッサリと二つにした。


 さてエド。まだ刺されたところが痛い痛いと言っている。

 タイソーが刺されたと言っているところを宗形が見ると、なんともない。大層大げさなのである。元々針が刺さらなかったのではないかと思う。


 宗形がエドを残った一体の前に放り投げた。今度は無事両方のハサミを切り落とせた。しかしまた尻尾の針に刺された。ルーシーが尻尾を切り落とし、舞が頭を落とす。手がかかる。


 全部退治が終わったのを見たのかどうかわからないが、エドは立ち上がって埃を払っている。

「ルーシー、マイ、ありがとう」

「「どういたしまして」」

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