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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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095 砂漠の国のIGYO (2)

 ホテルに館内放送が流れた。

「皆様、本日は当ホテルをご利用いただきありがとうございます。砂漠の夜は危のうございます。ホテルの外には出ないようにお願いいたします。玄関は間も無く施錠します」


「あんた。何この放送は。まだ明るいわよ」

「あああ、災難が寄ってくる苦労誘引症がぶり返した」


「何それ」

「災難が勝手に寄って来て俺が苦労するんだ。電話する」


「どこに」

「ハントのところのルーシーだ」

「ハントってハント伯爵?遊び相手でしょう。何やっているの」

「すぐわかる」


「ルーシー。今どこか?神社?そうか。危なそうだ。観察ちゃんに来てもらえるか。え、いるってか。わかった」


「観察ちゃん」

 小動物が部屋の中に現れた。


「まあ、可愛い」

「支配人室にいく。ついて来てくれ」

「なんで」

「おまえじゃない。観察ちゃんだ」


 タイソーが出て行った。小動物と一緒に。小動物は言葉がわかるのか?それとも旦那が躾けたのか。奥さんは疑問だらけだ。

 かねてよりおかしいと思っていた旦那。ついに政府を首になって今度は動物園に転職かと思った。


 急いで支配人室に向かうタイソー。支配人室に押し入る。

「おい、何があった。教えろ」


「お客様、部屋にお戻りください」

「いいか。俺の思っている通りなら、早く手を打たなければホテルは全壊、宿泊者は全滅するぞ。この間政変があった大国があるだろう。あれの原因と同じようなものがいるんじゃないか。俺は英国政府の高官だ。助かりたければ知っていることを教えろ」


「・・・壁画の案内に行ったレンジャーと連絡が取れなくなったそうです。ハサミのついたでかい化け物と言って電話が切れたようです。30センチ程度のサソリと思いますので玄関を閉めておけば」


「くそ。いつだ」

「午後」


 支配人室のドアが開いた。今日二人目の支配人室への侵入だ。

「おい。おかしい。見に行かせた二人も帰ってこない。ビジターセンターは閉鎖した。職員は皆こっちに来た。ここに銃はあるか」


「銃など役に立たない」


「あんたは誰だ」

「タイソーという。英国政府のものだ」


「なぜここにいる」

「今は休暇だ。それより連絡があった最後の時間は何時だ?」


「二時ごろ現地のレンジャーから大きな鋏を持った化け物と連絡があったっきりだ。それからビジターセンターの日本人の見学者に帰ってもらって様子見に二人を送り出したのが三時頃だ」


「壁画からここまで何キロだ」

「15、6キロだ」


「今は五時半、来るならとっくに来ているな。食事をしたろうから休んでいるのか。砂漠の夜は寒い。うまくいけば日が昇ってからだろう」


「何が来るんだ?」

「地球の兵器が役に立たないIGYOという生き物だ。リューア神様とその眷属しか討伐できない」


「お客さん、それはなんでも作り過ぎじゃないでしょうか。とにかくお部屋にお戻りください。当ホテルは安全です」


「いや、待て。極秘扱いの書類が届いていた。IGYOに関する自然保護区監視所・ビジターセンター追加マニュアルだった。リューア神と書いてあった」


「こんなホテルは木っ端微塵だ」

「もしIGYOが出たら、」


 支配人はやっと危機を認識したらしい。所長の説明の途中に口を挟んだ。

「出たら?」


「逃げろ。食われる前に。と書いてあった」


「そのIGYOの可能性が非常に大きい。ハサミを持った大きな化け物だぞ。30センチであるはずがない」


 支配人室のドアがノックされる。

「どなた?」

 ドアが開いた。


「おじ様」

「おお、ルーシー来てくれたか」


 若い女性が入って来た。足元に黒い子犬がいる。

「観察ちゃんが教えてくれた。異形が居るそうです。今、宗形さんが見に行ってます。すぐこちらに来ると思います」


 遠くからエンジン音が聞こえる。黒い子犬が玄関に走っていく。

 タイソーとルーシーはすぐ玄関に向かった。バイクが近づいて来た。


 黒龍がちょいちょいと玄関に向かって前足を振るった。

 玄関の自動ドアが開いた。バイクが入って来てスッと止まった。狐面の隣に犬の顔だ。


 巫女さん宗形がバイクから降りてバイクを収納した。


 自動ドアの鍵を持った支配人が唖然としている。確かに鍵はかけたはず。

「鍵は?狐犬??バイクは???」

「失礼するわね。犬は黄龍」

 ポンと宗形の肩から黄龍が飛び降りた。


「IGYOはいたのか?」

 タイソーが聞いた。


「たくさんいた。20匹くらいだ。ハサミを持っている5メートルくらいの体長の蠍型。ただし尻尾はない」


 ルーシーが聞く。

「行く?」

「動きが少し鈍い。寒さに弱いのかもしれない。今の方がいいか。しかし、リューア教信者のタイソーと山城稲荷神社の氏子のツアーなんてついてないわ。討伐料金取りっぱぐれになりそう。初めての形の奴らだから全員でやるかな。電話するか」


 宗形が愛ホンを出す。

「みんな聞こえる?今アフリカの砂漠。珍しい異形がいるんだけど来る?蠍型の尻尾がないやつ。討伐代は貰えそうにない。放っておくとタイソーさんとツアー客の山城稲荷神社の氏子さんが食べられそう。来るなら来てくれる。タダ働きよ。タダ。タイソーさんが連絡くれるから悪いのよ。もう少しレンジャーが食われた後だったら大金だった」

 緊迫感が全然ない宗形である。


 稲本夫妻と勝婆さんが観察ちゃんと来た。次から次へと転移して来て、全員揃ってしまった。初物は面白いらしい。

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