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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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090 中心国はクーデター後、龍愛に異形討伐依頼をする

 このままだと四つ足怪物に三千万都市を食い尽くされ、次はダムの決壊による五億人被災だ。いくらなんでも放置できない。


 最高指導者の取り巻きは目で合図した。一斉に最高指導者に飛びかかり、最高指導者は圧死した。


 最高指導者の執務室の外では反最高指導者派と軍が結託した。こちらも被害の大きさにもはや最高指導者に従えないと思った。そして最高指導者執務室へ雪崩れ込んできた。


 最高指導者の取り巻きは銃撃されて死亡した。クーデターはあっけなく成功した。中央の最高指導者派の官僚、党人、軍人は粛清された。


 中央を掌握したクーデター派、地方の最高指導者派の主だった者を粛清した。

 やっと四つ足怪物に取り掛かり、現状把握に努める。


 二千万都市は毒ガスで被害甚大、三千万都市には四つ足怪物が居座って食事中、時々周辺を回って逃げ出す者を食べている。住民は逃げ出せない。


 次は大ダムだ。大ダムが決壊すると5億人程度被災、下流の商業都市も遠からず水浸し、機能不全に陥いることが予想される。


 もはや一刻も猶予がない。英国、壱番国、北の大国が四つ足怪物の討伐を依頼したという龍愛神に頼る他ない。主義主張など5億人の被災予想の前には塵芥である。


 最高指導者代行を選出し、日本国に駐在する大使にメールを送った。


「穏やかな人物を山城稲荷神社に派遣、龍愛神様に我が国に出現した四つ足怪物の討伐を依頼せよ」


 メールを受け取った大使はびっくりした。神様と書いてある。故国は重大な危機に直面して追い詰められていると理解できた。


 大使は、日本に馴染みすぎてアニメに脳を侵食されたので、本国に送り返し、強制労働をさせようとしていた女性官僚に出張を命じた。


 女性官僚は、急ぎ武蔵西南市に向かった。電車もちゃんと山城稲荷駅で降りた。すぐ神社に向かう。神社の階段下までタクシー。そこから階段を登り始めた。階段を登り切ったところで一礼。社殿でも一礼。賽銭も投げ入れた。


 コロコロした子犬が、こっち、こっちと案内してくれる。

 社殿の隣の家に向かった。一礼すると玄関があいて老婦人が迎えてくれた。


「どうぞ」

「失礼します」


 アニメ脳の女性官僚。ちゃんと靴を脱いで上がった。

 応接間に案内された。中には白と赤の服の巫女さんがいた。

 アニメ脳の女性官僚は巫女さんを認識できるのであった。


「こんにちは。どうなさいましたか」

「はい。実は本国で四つ足怪物が出現し、核で攻撃しました。そうしたところ怪物は立ち上がった大きさが500メートルになりました。二千万都市の手前で毒ガス攻撃をしましたが効きませんでした。都市の住人がだいぶ毒ガスでやられました。怪物は毒ガスがかかった人間は不味いらしく、都市を素通り、三千万都市に至り、水を飲みたくなったらしく、大ダム湖に首を突っ込んで、水を飲み、大波がダムを叩きました。喉を潤したら戻って三千万都市にいすわって住人が犠牲になり続けています。次に水を飲みに行ってダム湖に首を突っ込むと大波が発生。ダムが決壊し5億人程度の被災者が見込まれ、下流の商業都市も水浸しになると予想されます。ぜひ一刻も早く討伐をお願いいたします」


「あれは異形というんですよ。異形に核を使い、毒ガスも使った。龍愛が怒っています」


「申し訳ない。命じた最高指導者とその一派は死亡しました。我が国は今後核兵器を使いません」


「聞いてませんか。龍愛が怒って、核兵器を無効にしました。今後も核兵器は形は作れても核物質を装填出来ません。全世界の核兵器は実質的になくなりました」


「なんとか討伐をお願いできませんか」

「龍愛がいいと言ったらね」


 龍愛が転移して来た。串焼きを頬張っている。

 手には5本持っている。稲本夫妻、宗形、黒龍、黄龍の分である。


 稲本奥さんが皿を持って来て串焼きを乗せて、黒龍と黄龍にあげた。前足で器用に串を押さえ食べている。


 稲本奥さんがお茶を淹れて来てくれたので宗形と稲本奥さんは串焼きを頂く。稲本神主さんも戻って来た。もちろん串焼きに手を伸ばす。女性官僚の分はない。


 稲本奥さんが教えてやる。

「意地悪しているんじゃないんですよ。これは他の星の食べ物ですから、この星の人間が食べると毒です」

 あなたたちはこの星の人間ではないのでしょうかと思った女性官僚である。


 女性官僚には煎餅が出された。串焼きは美味しそうだがしょうがない。バリバリと食べる。やけに硬い。これは草加煎餅か。アニメ脳の女性官僚は詳しいのである。


 串焼きを食べ終わった龍愛。

「核を使用して、毒ガスを使用して、それで討伐して欲しいの?」

「ぜひお願いいたします」


「まあいいか。5億人被災するのはかわいそうだ」

「はい」


「じゃあいいよ。料金、いや初穂料はしっかり払ってね。海外隠匿資産を使えばいい」

 龍愛は転移して行った。お姉ちゃんと遊ぶのだろう。毎度思うがどこの神なのだ。


「龍愛がいいというから、ええと、前回は200メートルで一体五千億円だったわ。今回は500メートルだから、一兆二千五百億円ね。それに出張費と言いたいところだけど、今回は出張費はまけておくわ。そのかわり移動手段はそちら持ちよ。それから今は三千万都市にいるんでしょう。討伐した時の周りの人的物的被害はそちら持ちね。これが口座。四つに分けて振り込んで。税金は処理しておいてね。手取り一兆二千五百億円ね。核など余計なことをしなかったら一体一億円だったわ」


「そんなお金は」


「5億人被災を考えれば安いものよ。それに龍愛が言っていたわ。富裕層、偉い人が海外にたくさん隠しているでしょう。それを使いなさいよ。人民に皺寄せが来なくていいんじゃない」


「電話していいでしょうか」

「もちろんどうぞ。支払いが確約されなければ討伐はしません」


 女性官僚は電話した。最高指導者代行である。

「はい。そうです。初穂料一兆二千五百億円です。出張費はない代わりに移動手段はこちら持ちです。それから討伐時に発生する人的物的被害は我が国持ち。ええ。あの一兆二千五百億円は海外隠匿資産から賄えと言うことです。龍愛様が富裕層や幹部の海外資産を把握されているようなので、はい、隠しても無駄です。なお余計なことをしなかったら一体一億円で済んだようです。はい。わかりました」

 電話を切った女性官僚。


「お支払いします。よろしくお願いいたします」

「わかったわ。ターゲットが大きいから全員だわね」


 手にスマホを取り出した。

「どこのメーカーですか。見たことはありません。たいていわが国で作っているのですが」


「これ。これはね。この頃龍愛が色々作れるようになってね。神式愛ホンよ。ちなみにこの星の電波は使ってないから料金はなしよ」

「はあ」


「一斉通話しよう。ええと」

「世界の中心と思っている国からの異形討伐依頼を受けた。大きさは500メートル。全員で今から行く。成田集合。武蔵西南市にいる人は神社下に集合。成田から現場までは向こう持ち。いいわね」

 電話を切った。


「黒龍、黄龍。ルーシーを迎えに行って来て」

 黒龍と黄龍が消えた。


「消えた」

「ルーシーは異形バスターズの一員よ」


「何人いるのでしょうか。一応手配の都合がありますので」

「それはそうだわね。ええと、私が宗形薫。稲本利夫、和子、荒木田剛、江梨子、円、舞、大井明日香、榊原強、勝、ルーシー ハント、塩井阿闍梨、祓川崇、姫乃愛子、常陸若子、高倉武子の16人と黒龍、黄龍だわ」


 女性官僚がスマホで電話している。

 「成田からわが国まで一機確保。これから一時間経ったらいつでも飛べるように。行き先は三千万都市近くの基地。乗るのは私を入れて17名。子犬2頭。子犬は乗客扱い。乗客はすべて子犬も含め我が国の命運に関わる最重要人物。失敗は許さない。頼んだわよ」

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