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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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089 中心国 異形に核ミサイルを打つ

 最高指導者は小型核をちまちま使うから討ち取れない。最初からドカンと行くのが王道だ。でも100キロトンではやり過ぎだろう。50キロトンくらいか。そう思った。


 今討ち取らないとその先には二千万都市がある。数十万人の犠牲ならなんとかなるが流石に二千万人はまずい。


 さらにその先には人口三千万の商業都市がある。

 その先には考えたくもないが巨大ダムがある。もし破壊されると数億、いや5億に近い被災者が出る。

 我が国最大の都市、金融都市も水浸しだ。誤魔化しようがない。

 今のうちに核で蒸発させてしまうに限る。


 現場は大混乱である。核ミサイルが撃ち込まれると知り、我先にと逃げ出した。幸い人口はほとんどない。なんとか退避は完了した。


 四つ足怪物の上空には無人偵察機が飛んで位置確認をしている。


 24時間経った。最高指導者が核ミサイル発射の命令を発出した。50キロトンである。


 無人機の映像は巨大な太陽が出現したところまで捉えた。すぐ無人機が故障したらしく映像が途絶えた。


 すぐ待機していた無人機を飛ばす。


 巨大なキノコ雲が爆心地を中心に成長している。

 四つ足怪物がどうなっているのかわからない。

 やがてキノコ雲は風に流されて行く。


 映像が鮮明になった。

 爆心地の深い穴に四つ足生物が立ち上がって怒気を孕んで吠えていた。500メートルはある。


 ここに至って初めて最高指導者は核が効かないという噂が真実であったと知った。


 龍愛が怒って山城稲荷神社に転移して来た。

「どうしたの」

 境内を掃除していた宗形が聞いた。


「あたしの、あたしの星が壊される」

 メガホンを取り出した。


「もう怒った。核兵器などなくなってしまえ」

 あちこちに向かって叫んでいる。


 深く潜航していた原子力潜水艦。

「艦長、原子炉の出力が急速に低下しています。まもなく停止します」

「艦首上げ、浮上」

 十分余裕があったのでソナーで探知しながら浮上した。

 海面近くなって潜望鏡も使用。ゆっくり浮上し停止した。

 ぷかぷか浮いているだけである。


 艦長の対応が明暗を分けた。原子炉の出力低下の原因究明を命じ、完全に原子炉が停止しても原因の究明を続けた。そうこうしているうちに艦内のバッテリーがなくなり、メインタンクブローだけで浮上した。ソナーは使えず海上にいた船舶と衝突した。


 原子力空母は停止した。


 某独裁国の独裁者は核爆弾の地下実験場の制御室にいた。カメラが回る中、満面の笑みを湛え爆破スイッチを押したが何も起こらない。何回も押すが何も起こらない。激怒した。側近の持っている拳銃を取り上げ、実験の責任者を撃ち殺した。


「原因を究明しろ」

 技師が放射線防護服を着て、爆弾に近づく。周りの機器は機能停止していた。決死の思いで爆弾を分解した。放射線測定器は無反応である。ただのガラクタになってしまっていた。


 さらに激怒した独裁者。開発に関わった者の処刑を命じた。


 やっと世界は気づいた。全ての核兵器からウラン、ウラン関連物質が消えガラクタになってしまった。


 さて中心国の最高指導者。

 次々と連絡が入る。核ミサイルのサイロから、ミサイル発射システムが動かなくなった。ミサイルは発射できないと報告がある。


 最高指導者はミサイル発射システムの修理を命じ、さらにまさかとは思ったが核弾頭の点検を命じた。

 放射線測定器は無反応と報告があった。


 現場では慎重に弾頭を分解。どこまで分解しても放射線測定器は反応しない。やがて大胆に分解。ただのガラクタとわかった。防護服を脱いても異常はない。


 核弾頭は核物質がなくなりガラクタになったと報告。


 最高指導者は真っ青。500メートルまでに育った四つ足怪物が腹を空かせて怒り狂って二千万都市を目指している。


 最高指導者の機嫌を損ねるといけないから黙っていた取り巻き。

 お前言え、お前言えと押し付け合いをした結果、ナンバーツーがおずおずと言った。


「討伐を頼んだらどうでしょうか」

「どこに頼むんだ。北の大国か、壱番国か。頼めるか。馬鹿者。軍は何のためにある。空軍を出動させろ」


 側近たちは核でダメだった怪物に何をしても無駄だと思ったが軍に出動命令を出した。戦闘機が飛び立つ。


 無人機の映像では、戦闘機が数十機、ミサイルを四つ足めがけ発射する。火薬の煙が流され、四つ足は無傷とわかり、機関砲を撃つ。四つ足が怒って岩を戦闘機に投げつけた。次々に撃墜される。弾切れになった戦闘機は引き上げる。


 四つ足はさらに怒り狂って二千万都市に近づく。

「毒ガスだ。毒ガス攻撃をしろ」

 無いことになっている毒ガスがあるのである。自国のものではない、某半島の国のものということになっている。


「同志。すでに都市に近い。都市の住民に被害が及びます」


「うるさい。その次は三千万都市だ。いまここで討伐しなければ損害が大きい。やれ」


 陸軍大臣が渋々命令に従った。

 現場は大混乱。毒ガスを使えば都市に大被害が及ぶ。渋った。


 しかし、どこにも上におもねる人間はいるもので、毒ガスを弾頭に詰めたミサイルを何発も発射した。


 四つ足生物に命中したが一向に効かない。毒ガスが都市に流れて来て多くの人が死んだ。


 次々に死者数が報告されてくる。軍にも被害が出始めた。

 毒ガスで死んだ死体は不味いらしい。ペッと四つ足が吐き出した。さらに四つ足は進む。二千万都市を蹂躙した。食い尽くすまでしばらく時間がかかるだろうと思った。


 四つ足は予想に反して二千万都市を去った。毒ガスに犯された人間は不味いらしい。


 三千万都市にむかって歩みを早める。すぐ三千万都市に到着した。


 しばらく居座るかと思ったら動き出した。大ダム湖に向かう。水が飲みたくなったらしい。


 大ダム湖に首を突っ込んだ。ダムを大波が襲う。かろうじてダムは耐えた。もう一度大波が襲えばダムは決壊しそうだ。

 ダムが決壊したら数億いや五億人近く被災する。


 四つ足怪物は喉を潤したので次は食事の時間である。三千万都市に引き返した。

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